2026.04.10
 さて、先月は学年の変わり目にセンチメンタルになるお話でしたが、いよいよ新しい年度が始まります。
 私の敬愛する文章家にナンシー関さんという方がいらして、消しゴム版画にエッセイという唯一無二のスタイルを持っておられました。ご自身は自分の書くものはエッセイではなくコラムである、との位置付けでした。エッセイというと、ウェットな感じになるからかもしれません。この方の視点に私は共感することが多く、例えば「日本人の年齢観は学年に支配されている」というのもそうです。2学年違う=2歳違う。
2学年違っても、実際には1年と10日違い、ということもあるわけですが、学年を基にして、同学年の絆が強調されたり、年上マウント、もしくは若年マウントを取られたりするんですよね。私は義理の妹より3ヶ月年下なので、彼女からは同い年という扱いでしたが、実はちょっと不満だったりします。2月と5月。学年違うから、一歳下では。我ながら何をこだわっているんだか。61歳と62歳のどこが違うんだ。同様に、12月生まれで1学年下の担当編集さんから2歳違い扱いされているのも、釈然としておりません。勝手だな。
 日本人は年齢に関しては、そもそも「数え年」という独特のシステムを持っていましたから、学年で区切りをつけるのは、日本人の思考に合っているのかもと思います。今は、「数え年」をご存知ない方も多いと思いますので説明しますと、かつての日本では「生まれたときに1歳」「元旦に1つ年をとる」というシステムでした。当然、生後2日で2歳ということもありました。昭和25年に現行の満年齢に切り替えられていますが韓国では2023年まで使われていたそうです。
 ざっくり言って、ほとんどの人が満年齢より2歳上という状態で生活していました。少し前にネットで論争されていたのが、「鬼滅の刃」の年齢設定が満年齢か数え年かというものです。正解が作者から提示されたわけではありませんが、満年齢だろう、ということで落ち着いたようです。いくらなんでも、設定年齢マイナス2はないだろうと。煉獄さん18歳とかないわ。それぞれのキャラクターの誕生日も設定されていますし、大正時代を誠実に再現した作風ですが、こちらは敢えて現代風にしているのではないかと。わかりにく過ぎるから。
 当時は当然、誕生日を祝う習慣もなかったんです。

 まあ、年のどこかに区切りを作って、1学年としなければどうしようもないわけですが、そこにこだわり過ぎってことなんでしょうね。学年の呪縛には我が家も悩んだ口です。一事が万事、親に手をかけない主義の長女は9月生まれと日本においては一番悩みのない時季。次男は4月です。それも9日。初期に切迫流産を経験しました。予定日が4月5日とわかって、
「4日早まっただけで、年子になっちゃうな」
 と呟いたら、
「まずは無事に産まれることを考えてください」
 と嗜められました。確かに。
 結果的には4日遅れでしたが、まだ障害があるとわかっていない3月末、いつ陣痛がくるかの緊張感はただ、予定日が迫っているだけではなく、「今来たら年子になる」からでもありました。これが5月(長男の生まれ月)だったり、9月だったりしたら、あんなに緊張しないで済んだと思います。
 結果的に、彼には遅れがあったので、幼稚園では4月生まれだからこそ同学年の子に大きな遅れを取らないで済んでいたけれど、3月生まれだったら、もっと歴然と「障害児」という様子になっていたでしょう。小学校に入ってからも、1年生のときには夏休みの課題がほとんどできていたのに、2年生以降は全然できませんでしたから。
 幼稚園では、立場上、受診を勧めることが多くあります。すんなり行くこともあれば、難色を示されることもあり、ぶち切れられることもあり、です。
 難色でよくあるのが、
「うち、早生まれなので」
 知っとるわ、それくらい。
いや、早生まれでも、心配なのでお声がけしてるんですよ。3ヶ月を残して年が変わってしまうというシステムも、こうなると便利なような不便なような。
 逆に、早生まれの友達ができてることが、4月生まれのうちの子にはできないんですが、大丈夫でしょうか、というのもあります。
 その強い呪縛に似た「同い年(同学年)」があって、強制的に「ある年の4月2日から翌年の4月1日までに生まれた人達」が一塊になって教育されて、それって一生続くんですよ。みんな結構、同窓会好きだし。大学ではちょっと緩くなります。浪人してたり。会社でも「同期」という区切りがあります。少しは緩くなりますけど。浪人とか留年とか留学とかあって。

 そんなふうに、同い年で固まってきたのに。同じ年齢のときに同じ経験をして、あらゆる文化を共有して。
 そんな日本人の生活の中で、いきなり出現する異年齢集団が「ママ友」です。今は「パパ友」という言葉もあるし、自主的に「パパ会」を結成する動きもあります。でも、以前は「ママ友」は子育てに関わる女性だけが関わる異年齢集団でした。
 背景が全く異なる人々が、子どもの年齢が同じだというだけで、毎日のように顔を合わせます。私の勤める園は送迎バスがないので、多くの保護者同士が顔を合わせることになります。
 そこで新しい発見が生まれたり、居心地の悪さを感じたり、いろいろあります。私は32
歳で産んだ長男のときには(20年前にしては)ちょっと年上の部類でしたが、39歳で生まれた長女のときには相当年長のママ友でした。特に居心地が悪いと感じたことはありません。
 そして、かなり年下のママ友さん達から「あけみちゃん」と呼ばれています。
 ちなみに、年上の仕事仲間の間では「あけみ姐」です。
 理由は不明。


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