2025.04.10
 園長になって初めての卒園式が無事に終わりました。
 88名、欠席者なし。無事に式を終えて巣立って行きました。
 私は黒紋付に黒の袴で臨みました。
 
 最初に、どんな格好で出たらいいんだろうってのが、あったんですよ。
 男性だったらモーニングですよね。今までの園長先生はフォーマルなスーツだったり、ロングドレスだったり。私も入園式はロングドレスでした。いや、ネットで調べてさ。ロングドレスか、黒紋付きってあったから。
 でも、私は童顔だし背ちっこいし、和服のが似合うのではと考えた次第。卒園式の方が入園式より、格が上だし。あと、高校・大学と弓道やってたんで、袴は毎日履いてたのでハードルが低い。
 当日は、流石、私立の幼稚園、お母様の和服率高いです。普段と違って、楚々とした仕草が映えます。私の場合ですが、卒園児がいい服着てきたのに、いつも通りに園庭で遊びまわるのを、見守る姿勢が気がつけば腕組みに仁王立ちでした。どうやら体育会スイッチが入っていたようです。
 スイッチの正体は、袴というより帯ですね。帯をぎゅっとしたとき、
「苦しくないですか?」
 って訊かれて、
「大丈夫です」
 って答えたんですが、本音は「懐かしいです」。この、帯の感覚で気合が入るんだよな。

 卒園児の中に、不登園1名。週の半分くらいは、職員室には来れていました。職員室登園、最初の頃はお友達に遊びに来てもらっていたけど、そのうちにこちらから教室に行くようになりました。でも、まずは職員室で、直接保育室には行けないし、出席は相変わらず半分くらい。
 座っていられない子2名。1人は明らかに多動です。もう1人は不機嫌になると、どっか行っちゃうタイプ。修了証書も受け取らないで逃げるし、ちゃんと持ってってって言うと、ひったくっちゃう。
 この3人が本番までにどうなるか、が課題でした。
 修了証書の受け取り方は、「右、左、お辞儀、見つめて、左に持って、ぱたぱたしない」。これができない子(主に、差し出されたらすぐに持ってっちゃう。私は離さないので、両側から証書を引っ張ることになります)も何人かいたけど、これは練習でできるようになるものなんで、多分問題なし。
 当日の課題は、三者三様、@遅刻しないで園にくる、Aとにかく座っている、B機嫌が良い。どれもハードル高いなあ。特にABは運みたいなもんだもの。
 前日の様子は、@私は頑張るけど、お母さんが起きられるかどうか、との発言、Aいつも通り、Bなぜか急に機嫌よく抱きついてきた。
 当日、みんなちゃんと席に着いて、証書を受け取りました。その後の、一言も言えました。パターンは3つ。「幼稚園では〇〇が楽しかったです」「小学校になったら〇〇を頑張りたいです」「大きくなったら〇〇になりたいです」。
 どれもその子らしさが出てて良いけど、私は大きくなったら、が好きです。
 でも、おいでいただいた理事長先生からは、
「女の子の方が、将来の夢の範囲が狭いですよね」
 とのご指摘を受けました。
 確かにそうかもしれません。
 お花屋さん、パティシエ、幼稚園の先生、アナウンサー、お医者さん。スパイは1人いました。「スパイ×ファミリー」見たかな。
 男子は、定番のお医者さんや野球・サッカー選手もいますが、「氷の研究者」「遊園地を作りたい」「ブレイキンの選手」「サスケにでたい」「F1レーサー」。
 女性の仕事はこれっていう思い込みがもう出来ている? とのご意見で、うん、そうかも、と思う一方で、女の子はおませさんなので、目立つことを言いたくないと、もう思っているのかもしれません。本音を言うなら、アイドルになりたい子の1人くらいいてよくない?

 一通り終わってから思ったこと。
 次男、よく6歳のときに、これちゃんとやったよな。よくぞ、じっと座って、証書もちゃんと受け取ったぜ。お辞儀のときに顔を何故か真横に向けたことは鮮明に覚えてるんだが。
 まあ、私は地元の人間なので、卒業してもどっかで会うことはあると思います。
 そう思ってたら、早速、その日の晩御飯の材料を買いに行ったスーパーで会いました。卒園児に。どうしても訊きたいことがあると言うから、何、と屈み込んだら、
「帰りにもらったお菓子の箱に、何が入ってるの?」
 二つ渡してあるんです。お祝いのおまんじゅう(ひよこのを2つ)と、先生たちからのプレゼント。
「まだ見てない?」
「何かと忙しくって」
「内緒だよ。家帰って自分で見てごらん」
 プレゼントの方はバームクーヘンでした。
 ちなみに、ドイツに留学してた娘から、お土産に欲しいものある? って訊かれて、バームクーヘンて答えたら、見たことないって答えでした。ドイツの一部地方にしかないし、あったとしても厳しい基準があるので、高いんだとか。
 書いてるうちにバームクーヘン食べたくなりました。今度の日曜に買ってきます。
 どこのにしようかな。



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