2009.10.01
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NPO法人アスペ・エルデの会「楽しい子育て応援団」です 2009、10月

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ぬけるような青空を見ていると、フラッとお散歩したくなります。
どんぐりをひろってポケットに大事にしまっていた幼子の思い出が蘇って
なごみの午後。
子育てのどまんなかでは、あんまり子育てを楽しむ余裕がないときも
ありますが、先輩ママにとっては幼い子どもと過ごした時間は
至福のとき・・でした。

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 堀田あけみ先生の「子育て応援エッセイ」 第41回
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◇◆がんばったよ
 
 カイトは、この夏「日間賀デビュー」しました。
 アスペ・エルデの会で、4泊5日の日間賀島合宿。
 なんだか、とっても楽しかったようです。意外なくらい。
 カイトにとって、家族から離れて一人きりで外泊するのは初めての経験です。
ある程度大きくなってからは、親の仕事の都合で祖父母に預けられることもあ
りましたが、3人まとめてだと、一団体になってしまいますからね。とりあえ
ず、寂しくはない。
 あっさり出発して行って、すんなり帰ってきました。帰りの船に、乗らない
ってごねたそうですけど。
 カイトのいないオハラ家は、静かでした。
 いつもカイトが一番うるさいわけではないんですよ。コトコの口数がダント
ツで多いです。相手構わず。
 どうしてこんなに静かなんだろう。
 コトコとカイトが喧嘩しないから。まあ、そうだな。
 カイトとマナトがプロレスごっこしないから。うん、これが一番大きな声出
るからね、カイトは。
 カイトが一人芝居を熱演しないから。
 それもあてはまるけれど、マナトとコトコの関係には影響しない筈では?そ
れなのに、この二人もすごい静か。何故か喧嘩をしません。
 カイトがいないと、なんだか調子が出なくて、ふたりで騒ぐ気にも、喧嘩す
る気にも、今ひとつなれないのです。
 おとうさんは、
「カイトがいないと寂しいなあ」 
 を繰り返していました。いつも自分が取材に行くときは、下手すると一ヶ月
以上会わないのに。
 ご近所ではカイトの姿が見えない理由を言うと、こう言われます。
「あけみさんも寂しいでしょう。心配じゃない?」
 後者については当たり。カイトについては何も心配していませんが、なにぶ
ん発話がかなり不十分なため、スタッフさんが疲れるだろうと心配。
 前者については、ごめん、解放されてました。
 結構、なんでも一人でやれちゃう子なんで、放っとけるんですよ。だから、
それじゃいけないと気を遣って、時間も使って、疲れる。
「おかあさん、ちょっと来て」
 って言われると、この子が話しかけて来たときは、対応しなきゃいけないと
思って、ちょっとしたことに手間かけて、疲れる。
 だから、5日くらいは離れてるのにちょうどいい時間だったのかもしれませ
ん。でも、河和の港でカイトを見たときは、嬉しかったなあ。
 そういう目で見るからか、帰って来たカイトはいい子になったように感じま
す。一人でできることがさらに多くなって、とりあえず、お風呂に一人で入る
ようになりました。いつまで洗ってあげなきゃいけないのかなあ、と考え始め
たところだったので、
「一人で行く」
 宣言は嬉しいけど、さて、洗えるのかな、と様子を見に行ったら、大声で歌
いながら体をごしごししていました。
「はあ?おらは峠のかまめしどん」
 ナイスな選曲です。
 がまんもできてるようです。
「我慢する!」
 ってこれも力強く宣言してくれます。どうも、言葉の力が随分ついたようで
す。成果ありあり。
「今度の日間賀島はいつですか。カイトくん、お泊まりする!」
 来年への希望に、既に燃えています。
「カイトばっかりいいなあ」
 というきょうだいの声を聞いて、頼もしく胸を張ります。
「ツジイ先生にお願いする!今度は、カイトくんとおにいちゃんとコトコちゃ
んと、やまでらこういち!」 
 いや、最後の人は行けないと思いますけど。 


◇◆堀田あけみ先生の略歴
 1964年 愛知県生まれ。
 1981年、「1980アイコ十六歳」で文芸賞を受賞、文筆活動に入る。
 その後、名古屋大学教育学部に入学、卒業後、同大学院教育心理学科に進学。
 専攻は、発達心理学・学習心理学。特に、言語の理解および産出のプロセス。
 現在、椙山女学園大学・中京大学で非常勤講師を勤める。

【主な著書(現在、入手可能なもの)】
 「わかってもらえないと感じたときに読む本」「おとうさんの作り方」(海竜社)
 「十歳の気持ち」(佼成出版社)、「唇の、することは。」(河出書房新社)
 「泣けてくるじゃない」「あなたの気持ち」(角川書店)
 「マナティ 夢の人魚」「大草原のプレーリードッグ」(共著、七賢出版)
 「White Smile」(共著、ワニブックス)
 「発達障害だって大丈夫−自閉症の子を育てる幸せ」(河出書房新社)

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   小児科医 宮地泰士せんせいの「子育て応援エッセイ」 第41回
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 子どもにとって“お約束”とは、せいぜい「努力目標」くらいの感じです。
 子どもの発言ってよく考えればとても無責任です。前のことなんか気にしない。
先のことは考えない。それは子どもから見える世界は、ほとんど“目の前のこと”
だけだからです。ところが「今がよければそれでOK」という子どもの発想は、
成長を支えるエネルギーにもなっているのです。過ぎ去ったことにくよくよしない
から、先のことを心配して不安にならないから、生き生きとエネルギッシュに生き
ることができるのです。

「こそだての悩み、みーんな解決!」 荻原光著 主婦の友社より(一部略)

 子どもの成長にとって、この“眼の前の現実に集中していること”はむしろ大切な
ことなのかもしれません。この一見無責任で思慮深いとは言えない子どもの性質は、
逆に見たもの聞いたもの触れたものを何でも素直に吸収し、失敗を恐れず、また失敗
を根に持たず何にでも貪欲に挑戦していく原動力になっているのでしょう。 
 このような子どもの元気やたくましさは親にとって時に困ったことでもありますが、
時にうらやましくてまぶしい、そして時に微笑ましくて愛しい、子どもの持つ最も
子どもらしい最大の魅力なのではないでしょうか。
 物事の前後をよく考えたり、自分の言動に責任を持つことは大人になるためには大
切なことですが、子どもの頃は子どもらしくあることも大事にしてあげたいですね。


◇◆宮地泰士(みやち たいし)先生の略歴
 平成7年3月  名古屋市立大学医学部 卒業
 同年4月    名古屋市立大学病院小児科 入局、勤務
 平成12年4月 医学博士号 修得
 平成15年4月 名古屋市児童福祉センター 勤務
 平成18年7月 子どものこころの発達研究センター 勤務
 現在に至る

 【著書】
 ・可能性のある子どもたちの医学と心理学(共著)
   (ブレーン出版 石川道子、辻井正次、杉山登志郎 編著)
 ・直ぐに役立つ発達障害の診断とサポート(共著)
(東海小児心身医学研究会 発行)

◇◆子育てに難しさをお感じのおやごさん、専門家のみなさんを対象に、
 全国的に発達支援に関するセミナーを開催しています。
 詳細に尽きましては、順次、当会ホームページにてお知らせ致します。
   http://www.as-japan.jp/j/index.html

◇◆「専門情報誌」アスペハート誌のご紹介
 アスペハート誌は子育てに難しさをお感じのおやごさんたちに、専門的で
 先進的な知見をご紹介する専門情報誌です。発達支援に関わる多くの最新情報を
 掲載しています。詳細に尽きましては、当会ホームページをご覧ください。
  http://www.as-japan.jp/j/heart/heart.html

◇◆「楽しい子育て応援団」へのご意見、ご感想をお待ちしています。
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