2009.08.01
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NPO法人アスペ・エルデの会「楽しい子育て応援団」です 2009、8月号
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夏休みいかがお過ごしですか?残念ながら長雨で冷夏の予報が出ていますが
ご家族揃って楽しい思い出がたくさん作れるといいんですね!
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堀田あけみ先生の「子育て応援エッセイ」 第39回
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◇◆ウザコちゃんの気持ち
10年ぶりに、車を買い替えました。8人乗りの、エスティマ。おとうさん
の立場上、ハイブリッドで、高いので中古です。5人乗りのフォレスタでは、
後部座席が修行状態だったので、実に快適です。
さて、問題になるのが、座席の配置。
コトコは、おかあさんか、マナトと座りたい。
マナトとカイトは、少なくとも、コトコとだけは絶対に座りたくない。
おかあさんは、できたら、助手席に座りたい。
なので、3列めに、マナトとカイト。一番広くて快適な2列めは、コトコが
独り占め。
これが、コトコの気にいらないのです。
「一人はいやー」
じゃあ、どうして誰もコトコの隣に行きたがらないのか。
うざいから。
とにかく、黙っていません。常に誰かに話しかけていて、返事が遅れると怒
ります。返事をしないと泣きます。でも、周囲の人間は、四六時中、コトコの
話にのみ、集中しているわけにもいかないので、聞き落としてしまうこともあ
れば。適当な返事をすることもあるのです。また、何にでも突っ込みます。そ
のつっこみが面白ければいいのですが、見当違いで笑えません。はっきり言っ
て、カイト以下です。カイトは、なんだかんだ言って、突っ込みはコトコ以上、
仮名文字はマナトより上手、という優等生なのです。というか、カイトに負け
てんなよ、おまえら。さらに、わざと人を陥れるようなことを言って楽しんで
います。そんなものに陥れられてあげるほど、おとうさん以外の家族はあまく
ありませんが。でも、そこに見える意地の悪さに閉口します。
つまり、学校にいると、かなりつきあいたくないタイプ。母としては、先行
きが心配にもなろうというものですが。
1学期の個人懇談、コトコの評価はいつも通り。誰よりも、我慢強くて、友
達思いのコトちゃんなのです。
コトコは、いつも仲間はずれになっている子に声をかけてあげるいい子とし
て、語られます。幼稚園で他人に手をあげたことは一度もありません。叩かれ
たり、蹴られたりしても、じっと我慢しています。だって、コトコの手足は既
に凶器だから。真に強くあるために、友達に手を出さない。そう固く決めてい
るから、反撃できないことに焦れて、泣けてしまうのです。
んなことしてるから、うちではわがまま放題になるのか、うちでやりたい放
題してるから、外でいい子になれるのか。
「おまえ、ほんっとに性格悪いな!」
「おかあさーん、マナトがいじめたあ」
「いや、マジ性格悪いよ」
と、つい母も返してしまうほどの暴れっぷりですが、コトコ、ほんとは性格
いいんでしょうね。
一番、手に負えないのは、外でやりたい放題するくせに、親の前でいい子に
なる奴だから。
◇◆堀田あけみ先生の略歴
1964年 愛知県生まれ。
1981年、「1980アイコ十六歳」で文芸賞を受賞、文筆活動に入る。
その後、名古屋大学教育学部に入学、卒業後、同大学院教育心理学科に進学。
専攻は、発達心理学・学習心理学。特に、言語の理解および産出のプロセス。
現在、椙山女学園大学・中京大学で非常勤講師を勤める。
【主な著書(現在、入手可能なもの)】
「わかってもらえないと感じたときに読む本」「おとうさんの作り方」(海竜社)
「十歳の気持ち」(佼成出版社)、「唇の、することは。」(河出書房新社)
「泣けてくるじゃない」「あなたの気持ち」(角川書店)
「マナティ 夢の人魚」「大草原のプレーリードッグ」(共著、七賢出版)
「White Smile」(共著、ワニブックス)
「発達障害だって大丈夫−自閉症の子を育てる幸せ」(河出書房新社)
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小児科医 宮地泰士せんせいの「子育て応援エッセイ」 第39回
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みなさんは子どもを注意する時、「そんなことをするとバチが当たるよ。」とい
う言葉を使われたことがありますか?
“バチ“とは人の行いを神様や仏様等が見守っていて間違ったことをすると
それを戒めるために何かしらの罰を与えるということですが、現代でそんな話を
したら「古い。」とか「非科学的だ。」などと一笑に付されてしまうかもしれません。
しかしこの「自分は○○に見守られている。」という感覚は無意識のうちにも自
分の言動を正したり戒めたりして、人が社会のルールやマナーを大切にすることに
つながっているのではないかと思います。また見守るということが、相手の一挙
一動を批評したり見る側の関心のあることだけに偏った見方をすることではなく、広
く深く分かり合い必要な時に手を差し伸べ励ましたり、時には戒めたりするような見
方であれば、見守られている人に安定感をもたらすとても大切な感覚なのではないか
と思います。
成長すると子どもは自分の世界を持ち、親の眼も段々届きにくくなると言われます。
しかしその頃子どもには自分自身を客観的に見る“内なる自分の眼”が育ち、それが
それまで自分を見守っていた親の眼の代わりになり、「自分は○○に見守られている。」
という感覚につながるのではないでしょうか。
8月はお盆などもあって神様仏様を意識する人も多いかと思います。時には古(いに
しえ)の教えやその意義を見直すのもいいかもしれませんね。
◇◆宮地泰士(みやち たいし)先生の略歴
平成7年3月 名古屋市立大学医学部 卒業
同年4月 名古屋市立大学病院小児科 入局、勤務
平成12年4月 医学博士号 修得
平成15年4月 名古屋市児童福祉センター 勤務
平成18年7月 子どものこころの発達研究センター 勤務
現在に至る
【著書】
・可能性のある子どもたちの医学と心理学(共著)
(ブレーン出版 石川道子、辻井正次、杉山登志郎 編著)
・直ぐに役立つ発達障害の診断とサポート(共著)
(東海小児心身医学研究会 発行)
◇◆子育てに難しさをお感じのおやごさん、専門家のみなさんを対象に、
全国的に発達支援に関するセミナーを開催しています。
詳細に尽きましては、順次、当会ホームページにてお知らせ致します。
http://www.as-japan.jp/j/index.html
◇◆「専門情報誌」アスペハート誌のご紹介
アスペハート誌は子育てに難しさをお感じのおやごさんたちに、専門的で
先進的な知見をご紹介する専門情報誌です。発達支援に関わる多くの最新情報を
掲載しています。詳細に尽きましては、当会ホームページをご覧ください。
http://www.as-japan.jp/j/heart/heart.html
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