2025.07.10
頑丈な体が自慢です。他になんかないかと思うんですけど。多分、母系の遺伝。
先日、母88歳が階段から落ちたと聞いて、ああ、このときが来たかと思いました。真剣に。
転倒で骨折、そのまま寝たきり、というパターンを、本当によく聞きます。義母もそうでした。しかし、姉からの最初の連絡がLINEというのが腑に落ちず。電話しますよね、そこまで緊急なら。次のメッセージが、
「で、自力で接骨院行って、どっこも悪くないって言われて帰ってきた」
よかった。てか、またこのパターンかい。覚悟を決めても、だいたい空振りする、幸いなことに。だから、夫の家系にもその法則を応用しようとして、裏切られるわけです。
いや、晴天の霹靂はそれで回収できていない。本番は私です。
月に一度、教授会という長ーい会議があります。今は、少し合理的に運営されて4時間くらいで終わるようになりましたが、以前は夜までやってた。毎月第2火曜日は、ピザのデリバリーを予約してました。絶対、普段の晩ご飯の時間に帰れないから。
6月の教授会が始まるというとき、隣の席の先生から声をかけられました。
「堀田先生、鼻血出てますよ」
「あらま、50年ぶりくらいかしら。お恥ずかしい」
「ティッシュどうぞ」
「恐れ入ります」
「てか足りないなあ」
返事は、しませんでした。大量の血液が出てきて、呼吸の確保が第一になったので。
トイレットペーパーをロールごと受け取ったのと、ストレッチャーを持ってきますという声に、仰向けになれないので車椅子でお願いします、と言ったのは覚えています。最近の体調を訊かれて、昨日、頭を強打しました、と答えたのも覚えています。
とにかく、止まらない。このとき一番したかったことは、スマホで「鼻血 止まらない」を検索することでした。医務室から看護師さんがいらして、人事課の付き添いでタクシー乗って救急に行きました。出血始まってから1時間。やっと止まったところで受診。
「止血上手ですね」と言われました。下手だったら、もっと出とったんかい。鼻に違和感覚えて強めにかんだら、小さめの人参くらいの大きさしたゼリー状の血の塊が出てきました。よく鼻の穴、通ったな。
「血、止まったから頭のC T撮りましょう」
と言われて、え、平日の昼間から横になっていいんですか? とちょっと嬉しくなるあたり、普段どんな生活してるかわかりますね。
骨にも脳にも異常はないし、血は止まったし、200超えてた血圧も160くらいになったし、意識あるし、歩けるし。帰っていいですよと言われたら、また血が出ました。結局、この日は合計5回。1時間くらいずつ出血。大きな血の塊は、どうやら「これで終わりです」の合図のようです。
そして、この歳になって初めて知ったのですが、救急は救急の先生が診るので、耳鼻科と脳外科には翌日改めて行かないといけないんですね。翌日きちんと診察を受けた結果、消去法で頭を打ったのが原因の外傷性ショックと推測されるという結論になりました。もう一箇所、血が出そうなところがあるけど、そっちはよくある、すぐ止まるタイプなので、大丈夫。ただ、運動と入浴と刺激物は様子見してから、とのことでした。くれぐれも無理をしないように。
確かに、その後も3回出血しましたが、いずれも20分で止まりました。大出血を経ているから、「あ、こんなもん?」と対処しています。でも、周囲からすると、20分出続けてる鼻血って相当ですよね。
なんで教授会の最中に、とも思ったのですが、これも考えようによっては、一番のタイミングです。研究室や自宅に一人でいるときだったら、助けを求めるのに時間かかってたと思うし、授業中なら学生大パニック、幼稚園なら園児のトラウマ。運よく、その日は古いワンピースを着てたので、潔く捨てちゃいました。もう、真っ赤なの洗うのめんどくさい。
今でも一応自粛した生活をしていますが、そもそも私の無理ってなんだろう。17歳でもの書く仕事始めてから無理しかしてない。
夫が亡くなってから、自分もいつそうなるかもしれないからと終活に力を入れようとしたけど、園長職が降ってきて、それどころではない。1時間の出血が5回もあると、止血している間は本当になんにもできないので、考えごとするしかなくて、どうせそういうときは碌なこと考えない。遺伝的に100まで生きるつもりでいるけど、明日死ぬかもしれないもんな。次男は制度が守ってくれる。娘は自分で生きていける。長男が一番心配。だって、うつ病患者は病人であって障害者ではないので、制度が守れるのはほんの少し。
生まれてから3回くらいしか熱を出したことがないのも自慢(になるのか?)ですが、今回も頑として熱は出なかった。病院での検温は36.9度。ぎりセーフ。それから、出血の前後で体重は1.2kg減ったけど、貧血にはならなかった。
そして、一応多めに寝て、仕事を少なめにする日々を続けること2週間。体調はすっかりよいのですが、仕事に支障は出始めています。急ぎの仕事からすると、結局、メールの返事が遅れる。これ、どのタイミングで通常に戻しましょうか。
今回、つくづく自分の弱みを知らされました。
自分以外の危機には素早く対処できるし、精神的にもタフだけど自分のことになると駄目。自分が体調崩すことを全く想定していない。晴天には霹靂がつきものと考えて、生きていったほうが良さそうです。