2024.02.10
 ありがたいことに、次男は養護学校(しつこいようですが、名古屋市立は、まだこの名称なのですよ)を卒業してから、ずっと同じ職場で働いております。そろそろ丸6年です。時給ですが、社員として厚生年金も共済保険も払っております。
 子どもが小さいうちは、学校をどうしようかと悩みます。その、どうしようか、というのは、将来にどう繋げようか、なのですよね。特に、障害のある子どもだと、この子にどこまでのことができるのか、まだ見当がつきません。そして、その子の将来にずっと責任持って付き合わなければいけないのは親です。そこは、忘れちゃいけない。
 特別支援級で、先生に対して「いついつまでに、これをできるようにしてほしい」との要求をなさるお母さんがいらっしゃいました。どう見ても無理、という内容でした。当然、「無理です」との返事が来ます。
「それをするのが、教師でしょう!」
「いえ、それはご家庭のすることです」
 きっぱり言える先生で良かった。どこまでも付き合うのは、親ですから。

 障害がなければ、無条件に高校受験を考えます。成績に合った学校を受けたらいい。
 自分は考えもしなかった受験対策の塾に子ども達を通わせることにしたのは、そうしないと情報が入ってこないからでした。昭和のように「中統」とかって全員が模試受けるようなことってないので、大手の塾に通わないと模試も受けられない。
 スパルタ式で有名な個人塾が近所にあります。入塾の際、体罰をどこまで許可するか訊かれるとのことです。デコピン・ビンタ・ゲンコツだそうですが、全部やだわ、そんなもん。でも、成績は覿面に上がるとやらで、評判が良い。
 そちらにお子さんを通わせていたママ友さんから訊かれたことがあります。
「うちの子の偏差値知りたいんだよね。期末テストの順位でわかる?」
 偏差値の意味から説明しないといかん。分かりませんよ。
 塾の情報が必要だ、と感じたのは、長男のときは、テストの点が良くても内申が悪いタイプだったので、公立を重視する学校の進路指導ではいけないとの理由でした。これは、男子あるある。長女の場合は、3年生のときのクラス担任が何故か二人いて、どちらかが副担任ではなく、どちらも担任というよくわからないシステムで。その片方の先生の評判がよろしくなかったのです。長女も嫌がらせのようなことをされましたし、その後は、テストでクラス1番をとって、宿題を全部出して、どんな質問にも手を挙げていたのに、ずっと評価は「3」でした。高校受験の際にも、私学の希望を出したら、
「ここは落ちます。おたくのお子さんが受けるような学校ではありません」
 と、受けたい学校を受けさせようとしませんでした。でも、塾で訊くと、
「楽勝っすよ」
 だから、私が、
「何がなんでも受けます」
 と宣言しました。
「忠告しましたからね。本当に、少しも受かる可能性ないですから。お金捨てるのと同時に、お子さんのチャンスも潰すんですよ」
 結局、公立は落ちたので、そちらの私立の特進クラスに行きました。少しも受かる可能性のなかったはずの学校の。
 別のお子さんは、どうしても納得のいかない学校にしか、推薦を出さないと言われて、泣く泣くそうしたと聞きます。ところが卒業式で、別のお母さんに、
「4月からもよろしくね。一緒の学校よね?」
 と話しかけたら、
「違うよ。うちは、パパが怒鳴り込んだら、別の学校に推薦してくれたから」
 との答えだったとか。
 何故、その先生のやりたい放題が認められていたのかは、謎。因みに、アラサーの女性。
 ここまで酷い先生に当たってしまう可能性だってあるんだ。と、半世紀以上生きて知ったわけです。だから、情報は必須。

 それでも高校受験はいわば、一本道です。特別支援教育となると、道が大きく分かれます。
 まず、進学しない、という選択もある。地域によっては、今も高等部の受け皿が小さいことがありますが、東海エリアはほぼ大丈夫でしょう。
 普通に高校を受けることもあります。もちろん、知的に問題がないケースはそうですし、普通科に行けないわけではありません。
 次男の場合は軽度に近い中度の知的障害ですから、高等特別支援学校か特別学校高等部になります。名古屋市の場合は特例的に、守山特別支援学校産業科(何故か産業科だけ、特別支援学校になっています。守山養護学校と同じ敷地内にあります)という選択肢もあります。
 この2種がどう違うかというと、高等特別支援学校や産業科は職業訓練校的な雰囲気です。ほぼ全員が企業に就労します。高等部だと普通に学校です。企業に就労するのは1〜2割程度です。だから、高等特別支援学校の人気は高く、特別支援校の中で希望者が全入できない唯一の区分でもあります。もちろん、不合格だった場合は普通科に行けるので行く学校がない、という事態にはなりません。
 やはり、就労はしてほしい。だから、その確率が高い場所へ行くのか。
 となると、そうとも言えず。私達は、高等部普通科で上位1〜2割に入ることを目標にしました。結局、とても運が良くて、たまたま学校近くの郵便局が新しく実習生を探していて、たまたまうちの次男が行って、たまたまとても相性が良かったのです。
 でも、その後の継続は彼の努力の賜物として、きちんと評価したい。
 変な言い方になりますが、親としては子どもがどんな入れ物に入るかがどうしても気になります。世間体のいい入れ物に入れたい。でも、そこでどんな気持ちで過ごすのかが肝心。
 合っているかどうか、見極める努力が必要です。
 今も、ずっとしていますもの、私も。




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