2016.01.10
サンタクロースって
堀田あけみ
オハラ家の子ども達の、子ども扱いは長いです。いろいろと、今どきの子どもにしては遅いことがある。
早寝早起きは原則。子ども達が全員寝付かないと、おかあさんが仕事に専念できないこともあって、そして、全員に子ども部屋を確保するほど広くない家に住んでることもあって、とにかく寝る。寝ないと徐々に、おかあさんの機嫌が洒落にならなくなってきます。
携帯は持たせない。高校生になるまで我慢です。なくたって、生活してたもん。メールも携帯もない時期に、学校帰りに東京行って仕事する高校生だったもん。しかし、その主義が行きすぎて、マナトは携帯を持たない高校生になってしまいました。コトコは多分、携帯が欲しくてたまりません。ゲーム大好き。おかあさんが帰宅すると、何よりスマホです。おかあさんのスマホで「Show By Rock」しないと気が済みません。友達ともメールしたいです。でも、
「スマホ買って」
なんて、平凡で俗っぽいこという女子ではいたくないので、別にいらないよって顔しています。あ、カイトは見守り携帯持ってますよ。ほぼいらないけど、万が一の時の為に。これは、子どものタイプによっては、本当に重宝だそうです。どっかいっちゃう子はもちろん、動かなくなっちゃう子もいますから。カイトは、決まった道しか歩けないタイプ。
過保護すぎない? 大丈夫? って言われることもあります。純粋培養すぎない?
大丈夫。子どもは、ほっといてもいろんなこと、覚えていきます。親が隠したって、友達が教えてくれる。我が家は隠してませんがね。逆にっていうか、私はコトコの反抗期を機会に、子ども達にカミングアウトしました。
おかあさんは、腹黒のどSの変態だとね。だからこそ、やってられるんですよ、心理学者も作家も。聖人君子の書く小説が面白いわけあるか。
そういうわけで、かなり長いこと、サンタさんはいることになっていました。オハラ家では。
近所に、お父さんが完全にサンタのコスプレして、別人であると主張して、子どもにプレゼント渡してるお家があって、我が家にも来てもらっていました。このときには、お昼のうちに渡しておいた、お菓子をもらうだけです。だって、本物のプレゼントは朝起きたら枕元、ですもん。
じゃ、夜きたサンタはなんだったんだ。
との疑問をマナトが抱く前に、そこのお家はお父さんサンタをやめてしまいました。大きいお兄ちゃんのいるうちでしたから。うちのマンションの玄関から、部屋までご案内する間に、
「そろそろ長男が、あれはお父さんじゃないかと言い出しまして」
「中学生ですもんね」
という会話があってから、2年後くらいまででした。察するに高校生になったらもう、騙しきれない、と。
私は、ずっとサンタさんはいることとしていました。
信じてるわけじゃないよ。そもそも、私が子どもの頃、サンタさんいなかったから。クリスマスプレゼントは、お父さんに買ってもらうものだったから。キリスト教徒でもないし。
面白いじゃないか、いつまで信じさせることができるかって。
だから、先日、マナトに尋ねられたときも、そういうことにしておいたのですが。
「ぶっちゃけ、どっちなん、正体は。おとうさん? おかあさん?」
ここまで言われたらしょうがありません。
「金が絡む問題は、すべておかあさんです。我が家では」
で、マナト自身は中1くらいで気づいたと。きっかけは?
「いらんよ、そんなもん。わかるじゃん。いろいろ、物理的に無理って」
そりゃそうだ。誰に言われなくてもわかるわな。
そして今は、コトコがそのお年頃。サンタさんって本当にいるんでしょって、クラスで言ったら、
「コトって、ピュア」
と言われたそうな。
「本当にいるのかな。お手紙とは違うプレゼントが届いた友達いっぱいいるよ」
「どんなプレゼントが、もらえなかったの?」
「嵐のコンサートチケットとか、関ジャニ∞のコンサートチケットとか、Hey Say Jumpのコンサートチケットとかが、DVDなんかになってたって」
「サンタさん、ファンクラブに入ってないんじゃない? 会員でないと、チケットとれないとか」
「でも‥」
というので、
「サンタさんは、信じてる子のところにしか、来ないんだよ」
と駄目押し。
きっともう知ってるな。だから来年からは、戦法を変えようと思います。
もう、いるいないの話はしない。
オハラ家のサンタさんは、良い子のことろにだけ来ます。
でもって、今度はいつまでクリスマスプレゼントをあげるかってはなしになりますね。玩具類はおいといて、身の回り品とかに変えていきましょうか。