2015.01.12
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NPO法人アスペ・エルデの会「楽しい子育て応援団」です 2015、1号
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堀田あけみ先生の「子育て応援エッセイ」 第104回
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◇◆物語の楽しみ方
堀田あけみ
この連載でも、ときどき映画の話題が出ます。オハラ家にとって、映画はおとうさんがいない = 車が使えない休日の格好のお出かけイベント。名古屋駅の109シネマズに行けば、帰りにはゲームセンターにも寄れます。イオンよりも、大きいお友達の多いゲームセンターは、クレーンゲームの景品が、大人可愛くて、ちょっと背伸びしたいコトコに、ぴったりなのです。
小さい頃は映像全般も、暗いところも駄目だったカイトですが、いつの間にか、映画大好きに。おやつ目当てかと思ったら、どうやらちゃんとストーリーを楽しんでいるようです。ドラマも見るようになりました。朝の連続テレビ小説も、ぼやっとしてるのかと思ったら見てるようです。いつもとリズムが変わる土曜日の朝には、教えてくれます。
「『マッサン』始まるよ」
それは、とても正確で。
時刻だけでなく、タイトルもきちんと変わります。
毎日曜日に、
「なんで、『あまちゃん』の時間に起こしてくれないんだよ、もー」
と怒りながら起きて来るおとうさんとは、えらい違いです。
でも、カイトのドラマの楽しみ方は独特。
カイトの就寝時間は、午後9時30分です。そこはそれ、きちっとしているこの子達のことですから、もうしっかりと。何もすることがないけど、まだ9時28分だというときには、2分間、うろうろ歩き回ってから、時刻を確認してベッドに入ります。
だから、土曜日の9時台「地獄先生ぬ〜べ〜」(アニメ世代のおかあさんにしてみると、違和感が拭えない。だって、教え子が小学生だから成立していた物語ですもん。おとうさんは、アニメ見ていなかったし、そもそも妖怪とか嫌いだから)をみるときに、困ります。そもそも、ついてるけど見てないと思ってたんだけどな。苦手そうだし。でも、見てるんだってわかったのは、9時半に、
「全部見ます」
って宣言したから。ほんとに見たかったんだと思います。だって、いつものカイトなら、
「全部見ていいですか」
っていうもの。許可してくれなかったら、見るのやめるよ、ではなく、見るよ、なのです。ときどき、マナトやコトコが、
「トイレ行っていい?」
って訊くんだけど、駄目って答えたら、どうするつもりかしら。
カイトが、ストーリーを最後まで追いたいと思うのは、良いことなので、もちろん許可します。30分頃って、一番続きが見たい感じにできてますもんね。このドラマで言うと、様々な怪異が起きて、その奥に何があるかが見えて来る部分。そして、クライマックスである対決シーンとなるわけです。戦いの序盤は主人公劣勢ですが、最後には勝利します。
ところが、カイトはこの途中で寝に行っちゃうんですね。主人公劣勢で、怖いシーンが続くと嫌になるみたいで。これって、一番ストレスがかかる見方じゃないでしょうか。主人公勝利のカタルシスを味わわないんですよ。それなら、見るのをやめても良さそうなのに、結局最終回まで、
「最後まで見ます」「もう寝ます」
だから、カイトはカイトなりに、このドラマを楽しんでいたのでしょうね、きっと。
時間があって、おとうさんがいなくて、お天気がそれほどじゃないのに、見たい映画が無い日は、なんだか、損した気分です。それは、見たい映画を見られなかった損と、きっと同じくらいの大きさ。見たいね、って言ってた映画を子どもと見られなかったのもあるけど、自分一人の時間が作れなくて、見たい映画を逃したり。「ジャージーボーイズ」、見たかったなあ。
私達夫婦宛には、よくプレス試写の案内が届きます。先日、おとうさんは能年玲奈主演に惹かれて、「海月姫」の試写に行って来ました。とても面白かったので、原作マンガを14巻、大人買いしました。ある日、帰宅したら卓袱台を囲んで、私を除いた家族全員が「海月姫」を読んでいる、と思ったら、カイトだけは「スーパーマリオくん」を読んでいました。冬休みの予定が一つ、決まりました。
見逃したら、ツタヤがあるって?
私、時間に対してすごく貧乏性なので、DVDが見られないんです。そんなことしてる暇があったらやりたいことがある。絶対、ながら見になる。
集中して見ようと思ったら、映画館に行って、携帯の電源切るしかないんです。
半日かけて、高いお金払って見る価値のあるものだけを見ることになります。
それもいいなあ、と自分を納得させているこの頃です。