2023.03.10
 私は結構、常識的な人だと思っています。表面的に。同僚とかママ友さんとか、周囲からもそう見られていると思います。多分ね。普通の人。
 でも、平凡ではない。
「それ矛盾してますよね」
 って反応があると、この人とは分かり合えないと思います。そして、別にそれでも全然構いません。なんでわかってくれないの、とは言わない。むしろ、SNSなんかで不特定多数に向かって、私のことわかってよ、私に賛同してよ、って言うタイプの人は気持ち悪いです。まあ、「普通-異常」「平凡-非凡」は違う軸だって、わかる人にはわかる。
 最近では、「立ち直らねえ」を旗印にしているので、場合によっては心配されます。夫を亡くしてもう一年とちょっと、いや、立ち直れよ、前向けよ。てか、立ち直ってんじゃん。めっちゃ元気じゃん。
 そこなんですが、元気なのは立ち直ろうとしないからです。だから、無駄に努力しなくて済んでいる。心は安らか。前を向こうと頑張ってたら、折れるよ、心。

 ただ、わかってもらえないなら、そんでいいや、で済ますことができない問題もあるので、そこは真摯に対応を考えたいと思います。
 私の場合、「発達障害を悪いことだと思っていない問題」「ところが世間様は結構、障害は何であってもいかんと思っている問題」「なので、私がニュートラルに発する発達障害に関する情報が曲解される問題」の三段構えです。

 思えば、これは次男の入園式からありましたね。我が家の場合、幼稚園に入園する直前に愛護手帳を取っています。このように、明確に「障害」を持っている、と認定されると、保育園でお世話になることがほとんどです。障害児の受入枠があり、加配の保育士さんもついていますから。そして、入園に関しては行政に任せることになるので、それぞれの園で独自の面接を行う幼稚園よりは、全体に安心できる預け先です。
 我が家では、私の「同胞は環境をシェアすべき」という当時の信念により(今は無用とまでは言いませんが、過ぎた拘りだったと思っています) 、長男と同じ、私の勤務先の付属幼稚園を受験しました。当時は、「家の近い子から順にとる」と言われていたので。だから、幼稚園の近くにマンションを買って、住民票をとる人もいたとの噂。それから、男子が少ないので優先的に入れてもらえるとの噂もありました。なのに、幼稚園のお受験塾に行ってた子もいました。そうまでして入ったのに、どうして障害児がいるのって言われたこともありますね。
 そして入ってみると、診断書を提出すれば、幼稚園でも加配の先生はつきました。子ども達を自由に遊ばせる園だったので、特に大きな問題もなく過ごせました。
 でもって、入園式で親による一言紹介があるのですが、その際に、
「障害があって、上手く話せませんが、よろしくお願いします」
 と言ったんですね。後から、ママ友さんと先生から驚いた、と言われました。今まで、障害のあるお子さんの受け入れがなかったわけではないけれど、こんなにはっきり言う人は初めてです、と先生から。
「あ、言うんだ、この人」
 との印象を伝えてくれたのは、私がとても信頼していたママ友さんです。ご自身もお子さんの発達が少し遅れているのかな、と思っておられたところだったので、印象に残っていたそうです。 
 こちらとしては、淡々と事実を述べただけです。
 でも、聞き手の側は「だから」を補足してしまうものなのですね。
 だから、配慮してほしい。
 だから、特別扱いして欲しい。
 と言っているのか、この人は、と。
 いや、別にその事実だけ理解しといて欲しい、ですよ、現段階では。あと、問題が起こってから、実はですね、って切り出すと、後出しジャンケン感強くて、嫌だなあって。

 これは、受け入れる際にもあって、こう言う人だ、と言う認識の元、私のところには診断を持っている学生もよく来ます。報告を受けた私の反応はと言うと、「わかりました。今の時点で、こういった配慮が必要、と言うのはありますか」です。
 それで上手く行くこともあれば、淡々とし過ぎている、と感じる人もいるようです。
「えー、そんな風に見えない」とか「でも気にすることないよー」なんて反応、一番して欲しくないようでいて、これが通過儀式になってる子もいるような。ここから、「いえ、違うんです」を通って、一区切り、みたいな。
 そんなに簡単にわかったなんて言うなよ、ってことなんでしょうね。
 もしかしたら、淡々としているが故に、「本当はわかっていないのでは?」と疑われているのかもしれません。
「いや、息子自閉だし、そういう仕事してるし。いろんな例見てるからね」
 くらいは言っておいて良いのかも。
 年々、このずれが大きくなっていくように思えているので、ここらで引き締めんとね。
 年をとると、なんでもアバウトになんのよ。

 でも、私の加齢より、世間の理解の進度が遅いらしいのは、ちょっとなあ、と思います。
 多様性を認めるのは言うほど簡単ではないってことですね。
 LGBTQの理解なんか見てても、あ、まだそんなこと言ってます?って感じですから。障害へのハードルは、多分、もっと高いです。
 心して進まねば。



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