2024.04.10
もうすぐ60歳の誕生日です。
生きちゃいましたね。長いこと。例えば、これから85歳まで生きるとしましょう。次男が生まれてきてから、今までと同じ時間、生きるんです。だとしたら、頭も体も元気で生きて行きたい。上手くいくかな。とりあえず、睡眠時間はこれ以上、長くできない。そしたら、仕事が回らない。でも、これ以上削ることもしない。
私は2時に寝て、6時に起きます。2時まで起きてるのではありません。2時になったら、何をしていても強制的に寝る。自分のために。
筋トレはスイッチの「リングフィットアドベンチャー」で続けています。痩せるつもりが、腕が太くなった気がする。筋肉ついて。でも、肩凝りと腰痛が劇的に改善したので、これからも続けます。あと、シートを使わずに済むようになりました。わかる方にだけ、わかればよろしいです。これだけでも、高齢の女性に筋トレ有効だと思うんですよ。
遅くに親になったので、子どもより長く生きたくても、それは厳しい。でも、できるだけ元気でいたいのは、紛れもなく生きるのに支援が必要な我が子のためです。
こんな彼が社会人になるにあたっては、様々な葛藤がありました。いえ、本人にではなく、親にです。これは、健常者でもあることですが。それは高校選びから始まります。
保護者の方と接する中で、「うちの子にはもっと可能性がある」と言う言葉にはよく触れます。特別支援教育ではなく、普通にやって行けるのでは、とか、就労は難しいけれど、アートの世界でどうにか、とか。ときにはそういう例がメディアで取り上げられたりします。ですが、それらの成功例は天から降ってくるわけではないのです。
我が家の場合は、高校入試の際の、「養護学校高等部普通科で上位に行くのが良い手では」から全てが始まりました。
次男には、小中学校でずっと同じクラスにダウン症の友達がいました。高校も同じです。但し、1学年10クラスですので、さすがに同じクラスとはいきませんでした。となると、ママ友さんともずっと一緒で。上の子同士も同い年でずっと一緒だったので、自然によく話すことになります。
高校に入ってすぐのP T A総会で、私達がショックを受けたのは、すぐに就職の話になったことでした。普通校に行く子は、大学受験を前提として、でも1年生の間くらいは、高校入試よく頑張ったね、一息つこうか、という時期です。でも、すぐに就職に結びつく実習が始まる。多くは就労継続支援サービスを利用します。
運が良かったと言えば良かったのです。2年生のある日、進路指導の先生からお声がかかりました。
「学校の近くの大きな郵便局から、採用も視野に入れての実習生の話が来ています。小原くん、どうですか」
夫がその話を聞いて、乗り気になったのは意外でした。私は、彼が妙な夢を見ているのではないかと危惧していたからです。それこそ、アート方面でやっていける、と言うような。と言うのは、義母が完全にそのノリだったので。
次男は父が写真家、父方の祖父が音楽家という、そっち方面だったので。
でも夫は言いました。
「いい話じゃないか」
思ってたより、頭お花畑じゃありませんでした。
本人も行きます、と言ったので、3週間、お願いしました。
結果、「1年待つから来ませんか」と言われて現在に至ります。
ときどき、パニックを起こします。そんなときはお迎えに行きます。年に3回くらいですかね。今年は頻繁で、うーん、5回くらいは行ったかな。いつも、帰りのタクシーで泣いて謝るんだけど、そう言われてもね、って感じです。なぜか授業とか会議とかの入っている時には、起こらない。
直近のお迎えは、2ヶ月ほど前です。ちょっとひどかったので、今週いっぱいお休みしてください、と言われました。ジョブコーチさんも、彼一人につきっきりになるわけには行かないので。
例によって、タクシーの中で謝るから、私は言いました。
「海斗くん、実は、お母さんは4月から椙山幼稚園の園長先生になります」
うちの子達は、全員私の勤める大学の附属幼稚園に通っていました。勤める前の話です。
彼の障害を承知の上で受け入れてくださって、よくしていただきました。当時の先生がまだたくさん在職中です。
「だから、今度から海斗くんを郵便局にお迎えに来ようと思ったら、I先生やN先生にお仕事をお願いして来ないといけません」
「それは困ったなあ。僕が泣いているとバレてしまうなあ」
「まったくです」
大学教授なんて結構な肩書きで、まあ、中には特権階級だと思ってる当事者もいらっしゃいますよ。「大学教授にあるまじき」って表現で他人を批判する大学教授を私は信用しない。何様だよ。
でも実態は組織の中の一人。フリーの大学教授なんていません。特任だったりすると、それに近いかな。人事異動でどこにでも行くことになる。
てなわけで私は4月から園長先生です。忙しくなる以前に、上履きとかジャージとか礼服とか、いるものが多すぎて目眩する。全部、娘からの厳しいチェックがあります。
「ちゃんとしてね、園長先生なんだから」
うちの子達は、自分達の代の園長先生がみんな大好きだったから。
さて、どんな日常が待ってるかな。