2014.09.10
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  NPO法人アスペ・エルデの会「楽しい子育て応援団」です 2014、9号

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     堀田あけみ先生の「子育て応援エッセイ」 第100回
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◇◆夏休みがやって来た

 とか言いつつ、この原稿を書いている時点で、夏休みは終わりつつあります。カイトが日間賀島に行っていますから。日間賀合宿が、オハラ家にとっての、夏休み最終コーナー回ったサインなのです。
 ここ15年の間、夏休みは確実に我が家を訪れていました。マナトが幼稚園に入ってから。それまでも、私はずっと学生扱いだったので、長期の休みは存在していたのですが、大学院生の生活なんて、めりはりないもんでしたし。当時は。おとうさんはもともと、世間のカレンダーを知らない人ですし。いつもはどこかへ行く子ども達が、ずっと家にいると言う非日常は、マナトの入園から始まったのです。
 ずっと、そういうものだと感じてしまっていたのですよ。いつかは終わると知っていたくせに。いつまでもそうじゃないんだとの思いが現実になったのが今年です。カイトの養護学校高等部への進学準備を始めたことで。
 そうなると、今年の夏休みがイレギュラーであることが、ちょっと惜しい気がします。まず、天候が変ですよね。からっと晴れた、すっごく暑い日が少なかったと思います。いつも、雨を気にしていたような。台風でオープンキャンパスが中止になるという、非常事態も生じました。それから、これほどそうめんを茹でない夏もなかったのでは。つまり、私が在宅して、きっちりお昼を作る日が少なかったと。それこそ、台風でも来ないことには、家にいられないように思います。
 毎年、大きなプールに行くのも恒例でしたが、今年は行ける日が一日しかなく、その日に雨が降ったので、ラグーナにいくつもりがモリコロパークになってしまいました。子ども達には、大きなプールさえあれば、どこでも同じですが、おとうさんにとっては、年に一度、若い女性の水着姿を観察出来るチャンスがつぶれてしまう、痛恨の出来事でした。

 それでも、回って行く夏休みでもあるのです。夏休みと言えば、子どもの宿題。親が必死にならないと、子どもはやらないですもん、我が家は。自分できちんとやってた、昔の私を褒めてやりたいです。でも、今年はそんなに必死になっていません。
 マナトには、親の出番はもうありません。カイトは、自分でペースを決めて、毎日、真面目に取り組んでいます。以前に較べると、わからないと訊きに来ることがとても少なくなりました。
 コトコの「夏の生活」も、マナトのときとは、明らかに違います。ゆとり教育時代のこういった冊子には、「○○してみよう」「行ってみよう」「探そう」といったページが多く、それにつき合うのが大変でした。特別に何かをしなければいけない頁に付箋を貼って、計画を立てないと、とても終わらなかったものですが、今は、机に向かってする勉強がほとんどです。おとうさんが、星の撮影に嵌って、帰って来ないので、おとうさんの仕事部屋を自分の部屋のようにして、すいすい、捗らせて行きます。

 今年は、いつもに増して留守が多いおとうさん、ごめんね、というのですが、もう、妻と子は「元気で留守」の有難みというか、旨みを身にしみて感じております。今、現在もいない。
 ごめんね、どころか、いいんですか、と思っているのですが。
 3人暮らしがこんなに快適だって、知らせちゃって、よかったんですか?
 カイトとおとうさんがいないと、ゆっくり時間が過ぎて行きます。やっぱり手がかかるのは、あの二人だったのか、と実感させられます。随分長いこと3人暮らしを満喫しているように錯覚するほどです。たった3日なのに。残り1日。

 ラジオ体操、大きなひまわり、窓一杯の朝顔、盆の迎え火・送り火、満天の星を見上げる盆踊りの帰り道。
 私が通って来た夏休みを、通らせてあげられない歯痒さはあるのです。
 でも、それがいいものだっていうのも、こっちの思い込みで、あの子達の中には、プラネタリウムと流れるプール、ポケモン映画、マンションに囲まれた学校の校庭での盆踊り、冷房の効いた部屋での協力プレイだって、きっとしっかり夏休みの思い出として、残って行くでしょう。
 さあ、残りの夏、君たちと何をしようか。


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