2014.08.09
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NPO法人アスペ・エルデの会「楽しい子育て応援団」です 2014、8号
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堀田あけみ先生の「子育て応援エッセイ」 第99回
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◇◆元気にお手伝い
5年生になったコトコは、初めて担任の先生が若い男性になりました。正確に言うと、保育園の2歳児クラス以来ですが、当時の記憶は無いと思います。現に、そのときのクラスメートは同じ学校に二人いますが、コトコは年少から幼稚園に変わったせいか、同窓感覚はほとんどありません。今まではずっと、ベテランの女性教員でした。
さて、兄二人が交際下手なのに対し、コトコは社交的な子です。でも、こちらから積極的に行けないのはオハラ家の血。そんなコトコの担任の先生とのおつきあいの極意は、先生の趣味に合わせた話題です。一年生のときは植物。私の実家が花屋(経営は姉の代から)なので、大得意。田舎の家の庭には、祖母の丹精した花や木が一杯だし、散歩に出れば、様々な野草に出会います。二年生のときは、平安時代の歴史と文学。朝日新聞から週刊で出ていた歴史漫画を武器に、おかあさんの知識も借りて頑張りました。三年生のときは、初日から試合放棄。
「先生、一番好きなものは福山雅治なんだって。チャラい好みだね」
コトコさんにとって、スタンダードな大人の男は、道場の一般部の方達なので、チャラ男のハードルがめちゃめちゃ低いのです。で、四年生のときは一年生の先生再びで、今年は。
「八咫烏のマークつけて授業に来る人と、話が合うわけ無いから」
お相手は男子に任せるそうです。
さて、夏になってプールの季節がやってきました。プール学習後、女子の水着の始末があまりにもだらしないということで、先生が結構きつい叱り方をなさったそうです。自分で責任持ってちゃんとしなさい。
「今までの先生は、お片づけ手伝ってくれたよ」
という意見に対し、
「手伝ってあげたいけど、先生が女子の水着触ったら、変態おじさんになっちゃうよ。もう高学年なんだから。自覚もちなさい」
もちろん、外面の良いコトコは、言われる前からきちんとしています。でも、自分が大人の女性の入り口に立つくらい大きくなってしまったんだと、そういう形で一緒に実感したわけです。
まずは、女子としての自覚。もう子どもじゃないんだから。いろいろと。
七月のオハラ家は、おとうさんは蛍取材で留守。そして、おかあさんには、この時期、必ずオープンキャンパスという行事があります。前日には設営があるし、当日は朝早くから一日不在になるのは避けられません。まあ、私立の学校に勤めていれば、休みの日にいつもより早い出勤は多々あります。驚く程、種類の多い入試とかで。そして、その日に辛いのは帰ってからの家事。即ち、一日不在にした後の片付けです。朝ご飯から、そのままだもんね。
でも、今年のオープンキャンパスは違いました。帰宅したら、朝ご飯と昼ご飯とおやつの食器が積み重なっている筈の食卓には、ちょっとお菓子の包み紙があるくらいです。食器はコトコが洗ってくれていました。片付けは、マナトのようです。カイトは私が買って帰った夕食のおかずを、いそいそと台所まで運んでくれました。その日の家事は、とても楽で、その勢いで仕事が進むのが、有難かったです。
コトコは、小さい頃からお手伝いと言うより、自分で何かをするのが好きな子でした。小さな盥と洗濯板のセットをねだったり、可愛い食器洗い用スポンジを買ったり。それで、ちゃんと自分のものは自分で洗うとか、できるときには、食器は洗うとか、続いているから、たいしたものです。
マナトやカイトも、コトコがやってくれるからいいや、というのではなく、コトコがこれをするなら、自分は何をして役に立とうか、と考えてくれます。こんな子ども達ですから、カツオくんが金か物目当てでしかお手伝いをしないのにイラッとくるそうで、最近は、日曜の夕方に「サザエさん」観ないで、BSの「軍師官兵衛」観てます。
三人の子どもを働きながら育てるのは大変でしょって言われる度、でも、楽しいことの方が多いんですよって答えて来ました。
だけど、大変ですよ、そりゃ。今でも。
それでも、きっとこれから、こうしてだんだん楽になっていくんだろうなあ。因みに、マナトとコトコの近い将来の目標は、免許を取って、車を買って、おかあさんをどっかに連れて行ってくれることなんだそうです。
でも、それって、オハラ家におけるおとうさんの存在感をかなり揺るがすことにならないか、とも思うのですが。車の運転は、おとうさんにしかできないことなので。でも、そろそろ年だっていうのも確かではあります。
もう一つ、おとうさんがいないから、心置きなくお手伝いが出来るけど、おとうさんが帰って来ると、逆に気を遣っちゃうかも、というのもあります。おとうさんに、家事やれってプレッシャーかけちゃうんじゃないかって、子ども達は心配しています。
大丈夫、おとうさんは、そんなことにプレッシャー感じる人ではないのです。
今まで通り、気が向いたときには、気が向いたようにお手伝いしてくれると思います。
だから、気にしないで働いてくれていいんだよ。