2014.06.09
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NPO法人アスペ・エルデの会「楽しい子育て応援団」です 2014、6号
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堀田あけみ先生の「子育て応援エッセイ」 第97回
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◇◆ぼくは大きくなる
アンパンマン大好きなカイトでしたが、最近、卒業を宣言しつつあります。文字通り。つまり、
「卒業します」
と言いながら、アンパンマンの何かを持って来る。ぬいぐるみだったり、玩具だったり。つまり、捨てていいということですね。
比喩でも謙遜でもなく、とっても狭い我が家は、おとうさんの機材と趣味の道具と、カイトのアンパンマンでもっと狭くなっています。だから、捨てるのは大歓迎の筈。
しかし、私も捨てられない女なのでした。まだ使えるじゃん、だったり、記念にとっときたい、だったり。でも、捨てる。思い出も捨てちゃうの、なんて感傷に浸っている暇はないくらい、我が家の狭さは緊急事態になってきました。
でも、何かを忘れる為には、次のターゲットが必要です。でないと寂しくなっちゃう。
それが、スーパーマリオです。
でも、ほんとにカイトは、アンパンマンよりマリオが好きなのかな。マリオが好きなのは間違いありません。マリオの動画を見たり、ゲームをしているときは、とても嬉しそうです。文房具についたキャラクターもアンパンマンから、マリオに変わりました。ゲームセンターに行っても、幼児用のアンパンマンのゲームから、マリオカートになりました。速いです。おとうさんがマジでやって負けてます。マナトもやばいです。
ゲームセンターのマリオカートで遊んだ後、カイトは訊きます。
「マリオカートは何歳までですか」
だから答えます。
「大人になってからもいいですよ」
「そうかあー。良かった」
心底、安心し切った顔をします。
ほんとは好きなんでしょ、アンパンマン。各地のアンパンマンこどもミュージアム、行きたくてしょうがないもんね。行くと楽しそうだもんね。私服は全部アンパンマン。おとうさんが買ってくれるからだけど。もう好きじゃないんなら、あんな顔しないよ。
お気に入りは背中に大きく「愛と勇気」と墨書してあるものです。こどもに受けるように、お父さん用の服もあるし、版元さんに行けば、保育用品も扱っているので、男性保育士さん用の大きなアンパンマンTシャツもありますから。
カイトは自然にアンパンマンから離れたわけではないと思います。カイトの中に以前からうっすらとあった危機感が、しっかり形を取って来たのです。自分はもう、アンパンマンを好きでいるとおかしい年齢なんだって。遅い。でも、自分で気付いたのは偉い。
大人になっても大丈夫な興味の対象を探して辿り着いたところがマリオだったんだと思います。まあ、鉄道とかスポーツとかの方が座りはいいんだけど、そこはマナトもポケモンオタクだし。
本当の大人への一歩目を踏み出したんだとも言えます。自分を客観視することを獲得しました。でも、アンパンマンの服を、
「もう着ません」
て言う日はしばらく来ないと思います。だって、マリオの服、ないんだもの。そういうキャラクターではないんだよね。
あ、マリオが好きっていうのは正確ではありませんでした。ルイージが好きです。だって、弟だもん。
うん、そういう点でも自分が見えて来ている、最近のカイトです。
もう、十五歳ですから。