2014.02.10
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  NPO法人アスペ・エルデの会「楽しい子育て応援団」です 2014、2号

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     堀田あけみ先生の「子育て応援エッセイ」 第93回
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◇◆新年の大事件
                          
 新年早々、オハラ家に大変なことが起きました。
 ただ、その真っ最中なので、具体的なことは書けません。
 子ども達が大きくなったので、個々にネットに触れることもでき、彼らの友人もそれは同様です。
「ウィキペディアに名前載ってるって、すごくね?」
 などと、言われたりもするそうです。
 となると、個人を特定出来る名称で、自分の身辺の出来事について書くという手段をとって来た私(そして、おとうさん)には、ほんとはこういう情報こそ、読んでくださる方には有用なんだろうなあ、ということが書けなくなってもしまうわけです。偏見やいじめへの対処の経験とかですね。ご近所の方が読んだら、いじめてるの誰、ってなっちゃいますもん。特定して、合ってんならまだしも、デマが歩いていっちゃうかもしれませんもん。
 思えば去年の暮れあたりから、マイナス方面に触れるような事件が、我が家に続いて起こりました。私としては、決定的なものではありません。うん、ま、そういうこともあるだろうなという。でも、多くの人にとっては、相当な事件のようです。私は、いろんなことを受け流して生きて来たみたいです。もともと、ちょっと厄介な星の下に生まれてしまったので、普通でないことを普通だと思って来たというか。その後の人生もいろいろ在りましたし。
 十七歳で、田舎の高校生が作家という肩書きをもらったときから、大きなイベントに関する感覚が麻痺してしまったかなと考えたこともあります。それとも、もともと、周囲に起こることに動じない、もしくは他人事のように思ってしまう性格傾向があるのかもしれません。おとうさんなんか、もっと何とも感じてないように見えます。
 所詮、私の身辺のことなんて小さいですから。
 マナトの同級生が、SKE48のメンバーとして紅白歌合戦で歌ってたりとか、カイトの同級生がAKB48で CMに出てたりの方が、ずっとインパクトあるわ。
 多難な幕開けになった2014年ですが、想定外の出来事に振り回されたお蔭で、駿河湾フェリーの上から美味しいたこ焼きを食べながら紅富士を見ていたオハラ家です。どう考えても、幸先よさそうだわ、このシチュエーション。ていうか、振り回されながら、そこに持ってってるのがすごいわ。
 時間の経過とともに、子ども達が大きくなってしまって、親としての役割も変わって来て、小さい子の問題は個人的なものが多いけど、大きくなった子の問題は、個人と社会が複雑に入り組んでいて、でも、やっぱり親はいつまでも親で、ってことばかりを、ここのところ考えていたんです。でも、現実はもっと複雑だ。本人が年取るってことでもあり、親が老いるってことでもあるんだよなあ、と思わされた年頭でありました。
 でもって、富士山通り越したら、秋葉原行って、原宿行って、横浜に泊まって。
 カイトの趣味は、アンパンマンとかマリオをキーワードにして動画を検索することです。そうすると、意外や膨大にヒットするのが、個人が挙げているお子さんが遊園地の遊具で遊んでいる動画。ユーチューブに挙げといたから、おじいちゃん、見てね、っていう感じなんでしょうね。で、撮影場所がタイトルに入っていることが多いですから、聞いたこともない、地方の小っさな遊園地に行こうって言い出します。今回は、マリオとヨッシーのバッテリーカーを見つけました。アンパンマンのシリーズは多いけど、マリオは珍しいのです。
「八景島シーパラダイス行こう」
 ここで、いつもなら、
「遠いから行けないよ」
「何キロ?」
「500キロ(適当)」
 と続くのですが。
「いいよ」
 どうせ横浜行くし。
 喜ぶかと思ったら、予想外の答えに呆然としていました。
 で、シーパラダイスに行ったら、バッテリーカーもいいけど、コトコが「食育アトラクション」なるものを発見。生簀で釣った魚を、その場で料理してもらうコーナーです。そこで、3人が大騒ぎで、釣るわ釣るわ、でも、針から外せないわ、ついでにそれぞれの拘りがあるから、違う生簀で釣ってるわで、魚を針から外すのに走り回らされました。
 なんだよ、君たち、まだ子どもじゃないか。
 大変な筈なのに、その疲れが嬉しい年でもあるのです。
 地味に、カイトが一番釣りが上手いです。
 おとうさん曰く、
「毎年、行ってるんだから、日間賀島の漁師さんとこで、カイト修行させられないかなあ。ていうか、発達障害者向けの仕事として良くない?」
 いや、あくまでも、カイト向けの仕事としてだろ、仮定するとしても。
 びちびち跳ねる魚とか、時化た日の海とか、苦手な人の方が多いと思う。あと、魚と目が合わせられなかったり。
 そんなことを考えながら、おとうさんの言うことに反論すると面倒なので、ああそう、と聞いていました。
 オハラ家は、今、大きな波の中。でも、生きてりゃこういうときもあるのです。
 自分できちんと、波が過ぎて行ったとき、自分の感情を消化して、誰かの役に立つ形で、伝えられるように、準備をしておきましょう。
 私の座右の銘は日替わりです。今日は、「転んでも、只では起きない」。
 あ、因みに常に変わらない、常駐型のもあります。座右の銘を尋ねられたら、こう答えることにしています。
「漁夫の利」。 


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