2013.08.10
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NPO法人アスペ・エルデの会「楽しい子育て応援団」です 2013、8月号
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堀田あけみ先生の「子育て応援エッセイ」 第87回
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◇◆お祭りだから、ごちそうさま
夏祭り、夏休みがやってきました。
私達のあたりでは、日泰寺の参道に個性豊かな店が並ぶ夏祭り、オーソドックスな方では八幡様のお祭りがあります。八幡様では、小さいうちは、疳の虫鎮めの赤丸を額に描いてもらっていましたが、もうコトコすら卒業し、祓え葦を持って、茅の輪をくぐるだけです。でも、どちらのお祭りも、近くの子はほとんど来るので、誰かに会えないかな、と期待しながら出かけます。特に、マナトは高校に進学して、近所の子とは普段会えていないので、期待が高まるというものです。
さて、お祭りの楽しみと言えば、屋台。特に、カイトはわくわくです。食べるのが好きというものありますが、屋台に出るようなものが好き。たこ焼き、かき氷、チョコバナナ。夜ですから、晩ご飯を軽く食べて出かけます。そしたらカイト、いつもの半分位で、ごちそうさまをしました。
「おなか一杯なの?」
「ううん、お祭りで買ってもらうから」
おや。これ、偉くない?
もともと、先のことが見通せていないと不安なカイトです。何度も確認されるから、すごく鬱陶しい。なんか、文句あるのかとも思われがちです。知っておきたいだけなんだけど。と言いつつ、一番きれるのは、おかあさん。だって、一日に10回以上、なんらかの確認をされるんだもん。それに、綿密な予定は立てませんから。4週間先の土日の予定なんか、知るか。それに、うっかり約束しちゃうと、履行の義務が生じるし。ドタキャンすると、不安定になって、うわずった声で繰り返し同じこと言って、今度はコトコがきれるし。
そこまで先に拘るのに、計画が立てられるかというと、それはまた別。お祭りはお祭りで、晩ご飯は食べるのが、今までのカイトでした。満足を先延ばしにできるのは、見た目よりずっと大きな一歩なのです。それはそれで、ごはんを少なめにしたから、お外で沢山食べていいって、理由付けにもできてしまうんだけど。
今回、オハラ家の兄弟のハートを射止めたのは「金のからあげ」なる屋台。彼らのお気に入りになったので、検索してみたら、「金のとりから」のばったもんのようですね。間違ってたら、失礼しました。マナトはぽん酢を、カイトはマヨネーズをトッピング。それぞれ体型を、食べ物が表しています。でも、カイトも痩せましたよ。毎日、300回縄跳びしてるし、担任の先生が変わってから、毎日ランニングがあるし。
コトコは、かき氷が大好き。複数あるお店のシロップの内容を比較して歩きます。今年は、唯一ピーチのあるお店にしました。
「晩ご飯、少なくしたから、たこ焼き食べる。これで最後」
カイトの台詞、完璧でしょう? 普段は一つしか選べないものを二つ選ぶ理由も、この先は何も食べないっていうのも、言われる前にちゃんと言うんですよ。
帰り道、マナトはいません。途中で会ったお友達と帰るって。
ご近所の方も、夫婦だけとか下の子だけとかの組み合わせが多くなりました。
夏祭りの帰り、田んぼのあぜ道の真っ暗な中を、蛙の声に送られて歩いた経験を持てないこの子達は、可哀想な気もします。でも、都会には都会の幸福や感傷があるのです。
10歳と14歳になっても、手をつなぎたがる子が、傍に残ってくれてる幸せを大切にしながら帰ります。
「暑い、のど乾いた、だるい」
じゃ、コンビニ寄りますか。