2013.07.10
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  NPO法人アスペ・エルデの会「楽しい子育て応援団」です 2013、7月号

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     堀田あけみ先生の「子育て応援エッセイ」 第86回
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◇◆大所帯

  カイト達のクラスは、今、13人の生徒に3人の担任の先生がついています。
 表向きは、2クラス。ただ、ほとんどの授業を、一緒に行っているようです。
 昨年までは、ある程度、別れていたので、中心になる先生が変わられて、方針も変わったのでしょう。
 他にも、変わったことはあって、昨年度は定期試験の日、カイト達はお買い物と調理実習だったのですが、一学期にそれはありませんでした。多分、これからもないんでしょうね。その代わり、毎日マラソンがあります。カイトにとっては、歓迎できない変化です。でも、痩せました。身長が180cmに近くなったので、結構かっこいいです。
 カイトは、変化に弱いタイプではありません。中学校に入学したときは、むしろ活き活きしていました。徹底したフォロワー気質なので、一番下の学年で、先生からも先輩からも面倒見てもらえて、こっちが面倒見る必要がない環境は、非常に居心地がよかったものと思われます。
 でも、先輩になっちゃいましたもんね。それも、6人も後輩が入ってきましたよ。中には、不随意な発声のあるお子さんも。カイト、苦手そうだ。と、授業参観で思っていたら、やっぱり手が出たそうです。叩かれた本人が気付かないくらいのものだったそうで、そこはカイトも加減しないといけないと思ったのでしょう。もしかしたら、叩く振りをするだけのつもりだったのが、当たってしまったのかもしれません。でも、叩いたのはカイトが悪い。しっかり注意されて、謝りました。それから気になるタイプの女の子もいます。意外にも、女子の好みはしっかりしていて、昨年度も、クラスで一番好きな子はぶれませんでした。今年度もそうなりそうなんだけど、好き好き光線を出すのではなく、わざと意地悪言ったりしてるみたいです。現代用語で言う中二病かって。
 あ、中二でしたね。

 カイトは構ってもらいたがりで、やきもちやき。
 その、やきもちが困った方向に発展したのが6年生のときです。とても可愛がっていた1年生を、2学期からいじめるようになりました。先生は、どうしてこうなったのか、悩んでおられたのですが、赤ちゃん返りだと思う、とお伝えしたら、「あ」と思い当たるところがおありのようでした。担任の先生が一番手をかける子と、カイトの相性が微妙になることを繰り返してきたようです。
 だから、カイトにとっては、人数が少なくて、学年が下なほど、居心地が良いのです。ところが、特別支援級への希望者は年々増加しているようです。小学校も中学校も、入ったときには少人数、出るときには大所帯、クラス数も増えている、というパターンで、カイトにとってはありがたくない状況です。
 それにしても、この増加傾向は尋常ではない気がします。小学校は、入ったときには、3つ上に一人いるだけでした。それまでは、マンツーマンだったそうで。カイト達の下も、しばらくは入学時からの子はいなくて、転入・転級で増えていきました。増加が目に見えたのは、3つくらい下の学年からでしょうか。増加傾向は、今も止まっていないようです。
 中学校も、カイト達が入るまでは、一学年一人とか二人だったそうです。先生もお一人でした。カイト達で、一気に3人体制に。さらに、今年も沢山入り、どうやら来年も、ということらしいです。
 まあ、小学校が1学年4クラス、中学校が5クラスから6クラスという規模にしては、支援級に在籍する子が少な過ぎたんでしょうね、今までが。お話きいてると、小学校までは普通級、という方も少なくないようです。支援級がなかったからとか、小学校入学時には不自由を感じなかったからとか、理由は様々ですが。
 必要な人が、必要な支援を得られるのは大切なことです。「支援が必要」って気付くことも大切。
 カイトにとっては、人数は少ない程、ストレスは感じないのですが、そんな思いを引き受けての、この大所帯です。歓迎しなければ。カイトはときどき、ストレス故の失敗もしますが、結構ほほえましい失敗です。
 4月の授業参観は、みんなの自己紹介でした。全員がちゃんと言えました。その度に、拍手が起こる、温かい授業参観でした。細かいこというと、好きな番組が深夜にやってるグロアニメだったりしたケースもありますが、細かいことはいいんです。
 今年も、このクラスでどんな運動会や合唱祭を見せてくれるのか、とても楽しみです。本当に、外さない子達ですから。




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