2013.05.10
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NPO法人アスペ・エルデの会「楽しい子育て応援団」です 2013、5月号
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堀田あけみ先生の「子育て応援エッセイ」 第84回
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◇◆灯台下暗し
新学期が始まりました。
我が家の朝の風景も変わりました。
春休み中に観ていた、朝ドラ「あまちゃん」を気に入ったコトコの為に、時計代わりにつけるテレビが、Eテレの子ども番組から、七時半からBSで先行放送される「あまちゃん」になりました。
これを、家族全員が観ている。面白いドラマなのですが、カイトまでもが面白がる要素があんのか? でも、カイトも観終わるまでお着替えをしません。いつも、早くに準備を整えてしまって、学校に行くのが早過ぎるんじゃないかと思っていたので、これで時間が調整出来ました。
マナトは高校生になりましたが、家から通える高校の中で、ほぼ一番近いところになったので、これ観てからでも間に合います。のんびりとはできないけどね。
さて、そんなこんなで、希望に満ちた日々を平穏に送ってりゃいいのに、なんでやらかすかな、カイトくんは。正確に言うと、君たち兄妹は。いや、もっと正確に言うと、私も含めて。おとうさんは、最近、取材続きでほんとに家にいないから無関係としても。
カイトとコトコの冷戦は、日々激化しております。どっちもどっちだ。コトコが、いちいちカイトのすることにいちゃもん付けるのは良くない。でも、カイトがそれに対抗して、地味な嫌がらせをするのも悪い。
地味な嫌がらせとは、どんなものかと言うと。
コトコの好きな番組(「あまちゃん」含む)が始まると、自分が観ているユーチューブの音量を上げる。
自作の歌を歌い続ける。コトコが止めてと言ってるのに。ま、言ってるからなんですけど。でも、その歌大嫌い、という理由で、歌うなというコトコもひどい。
私がコトコに注意すると、後ろで「そうよ、そうよ」という。ここからの修羅場が一番厄介。なので、抜け作コトコに注意をできない日々。
マナトだって、じゃれてんだか、いじめてんだかわかんないときもあるし、そりゃストレスも溜まりますわ。
で、なんかあると、壁に頭をぶつける。口では「ごっちーん」と言いながら、そっとぶつけるなんちゃって自傷です。
の、筈だったんだけどなあ。イオンで頭から血を出すまでは。フードコートでトイレに行ってたカイトが、血まみれになって戻って来たときには、流石に驚きました。
その日は、カイトの大好きなゆっくりくらぶの学習会の日。なのに、コトコが地下鉄の切符を入れた、お気に入りのポシェットを落としてしまい、捜したり、駅で手続きしたりしているうちに、かなり遅刻してしまったのです。ぐずぐず泣くコトコに、カイト堪らず鉄拳。しかし、コトコの反撃の方が圧倒的に強い。なにせ、その二週間前に、極真会館空手道愛知県大会で準優勝したばかりだ。そして、新年度なので、3年間一緒だった大好きなお兄さんはいない。
地下鉄でイオンに移動して、マリオカートして、おやつ食べて、さあ帰ろうというときに、おかあさんに訊きました。
「今日の晩ご飯なに?」
「まだ決めてません」
更に3分程経ってから、また訊きました。
「今日の晩ご飯なに?」
私、同じこと言われるの大嫌い。おとうさんから、同じことの念を押されるの大嫌いだし、わかりきったことをわかっていないのも嫌。
「さっき、言ったよね? なんて言った?」
「まだ決めてません」
「わかってること訊くな」
この後ですよ。イオンの壁に頭ぶつけたのは。
頭の切り傷なので、血は沢山出ます。私がそのとき考えたのは、どうにか家で手当て出来ないかなってことです。このまま、地下鉄で帰って。でも、顔から服から血まみれだしなあ。縫合いるかなあ。
とりあえず、マナトとコトコは、二人で地下鉄へ。私は、インフォメーションで、救急病院を教えてもらいました。
結局、縫ってもらうことに。
でもね、不思議なんですよ。カイト、終止、痛がってないんです。血を観るまで、怪我に気付いていないようでした。服が血まみれなのを確認して、ものすごい棒読みで、
「うわーん、うわーん、痛いよー」
と言ってみたものの、後は平気。
痛いときは痛がるよね、普通。
縫合するときも、麻酔は打ってません。
でも、「アンパンマンのマーチ」を歌いながら、難なく終了。アンパンマンみたいに新しい顔が、すぐに取り替えられたらいいのにね。
私も縫合の経験はありますが、麻酔が切れた後は地獄ですよね。鎮痛剤、効かないし。なのに、カイトは平然としていて、鎮痛剤も処方してもらってません。
痛覚が鈍いとは思っていました。でなきゃ、自傷しないもん。でも、なんちゃってだと思ってました。いやあ、ほんとに痛くないんだね、知らなんだ。
今年もネタの宝庫になりそうな彼らです。何も、ネタ作ろうって思ってやってるわけじゃないんだろうけど。
男子校に進んだマナトも、ラグビー部の先輩から気に入られて、追いかけ回された末に、入部したのが漫画研究部というネタっぽさ。ガタイが良くて、顔が恐いのが気に入られた理由だそうです。
悩んでたけど、必要とされないよりは、された方がいいでしょうよと言っておきました。