2012.04.04
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  NPO法人アスペ・エルデの会「楽しい子育て応援団」です 2012、4月号

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新年度が始まり、ワクワクドキドキの毎日ですね!
子ども達も、緊張しながら新生活へと一歩踏み出します。
頑張ってる背中に向かって「いつも応援しているよ!」とそっと声掛けしたら
恥ずかしそうに笑顔を返してくれました。
辛抱強く見守り続ける『親の力』も試される4月です。

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    堀田あけみ先生の「子育て応援エッセイ」 第71回
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◇◆ 大人になりたい
                         
「20ばんのカードがでますように」
「ぼくちゅうがくせいになれますように」
「ひまかじまいきますように」
 カイトは六年生の七夕のとき、短冊にこう書きました。20番のカードとい
うのは、ゲームセンターにあるアンパンマンのゲームでもらえるカードです。
コンプリート目指してたのに、20番が出ない、全然出ない、ちょっとあり得
ないくらい出ない。週末毎にイオン行って、200円分ゲームやって。いや、
それだけなら、確率論的に出なくても不思議は無いのですが、おとうさんは私
に隠れて2000円分とかやらせてるわけです。コンプリートしたいとなった
ら、その衝動は並ではないのはご承知の通り。これだけの数があるんだったら、
出ていいんだけどなあ。統計学の先生に言ったら、何枚目であろうが確率は2
4分の1から動かないので云々と難しいこといわれそうだから言いません。ま
あ、今、統計学の先生身近にいないけどね。
 コトコは、
「かぞくや友だちが元気でいますように」
「空手がつよくなりますように」
 ええ子や。

 カイトが中学生になりたがっているのは、どうしてなんでしょう。中学生に
なったら、何が待っていると思っているのでしょうか。今も「めばえ」買って
もらってるのに。むしろ、中学生になったら制限だらけ。気ままに振る舞えな
い環境になることに、「カイちゃんが一番心配」と担任の先生もおっしゃってい
ました。
 もしかしたら、年下の子をいじめることが多くなったので、その度に「中学
生になれないよ」ということを、学校でも家でも言っていたので、「なるもん」
という意思表示なのでしょうか。
 私は、へたれた子どもだったので、中学生になるのが嫌でした。毎年、新し
いクラスに適応するのさえめんどくさいのに、なんで学校にまで適応しなきゃ
ならんのか。只でさえ、厄介な人間関係に更に、倍の人数が加わるて、何なん。
昭和39年生まれの私は、子どもが沢山いる時代に子どもやってて、小学校に
入学したときは、45人学級が8つ、卒業するときは、学校自体が3分割され
た5クラス、中学は再度8クラスです。300人から同級生がいて、誰と同じ
クラスになるかわからんて、ほんと、面倒だ。部活とか、難しくなる勉強とか、
全部ノーサンキューというひねくれものでした。小学校が居心地よかったかと
いうと、そうでもないんだけどね。
 でも、カイトはとても居心地の良い、ひまわり学級を出て行くというのに、
中学校にいくのが楽しみでしかたないようです。そして、それはとっても良い
ことだと思います。
 人は大人になるもので、この運命から解放されることはありません。私は大
人になった今、子ども達には大人になりたいと思って欲しいと切実に感じてい
ます。それは、素敵な大人がいないとできないことだから。カイトにとって、
両親はともかく、先生は素敵なお手本だったと思います。大人になって働くっ
て、先生みたいになること。
 そして、成長しなきゃいけないという自覚もあるのでしょう。

 以前より、先のことを気にする発言が格段に増えています。
 正直、うざいです。
 前は、そういう傾向がほとんどなかったのに、まず休日の使い方から始まり
ました。
「今度の土曜日、どこ行く?」「日曜日は?」
 これが、3週間分くらい。祝日があれば、それもちゃんと入ります。何月何
日が日曜日かなんて、得意中の得意ですから、どんどん行けます。
 イオンにいけるかどうかが気になっているだけかと思っけど、今度は献立。
「今日の晩ご飯は?」「明日の晩ご飯は?」
 決めてない。
 お昼食べたら、すぐ、
「晩ご飯、何?」
 決まっていても教えたくない。昼が不満だったから、夜にかけようとしてる
みたいじゃないか。
 決定打が、
「中学の次はどこ行くの?」
 実に幸いなことに、名古屋市民は、現時点では希望者全員が特別支援学校の
高等部に進学できます。
「高等部の次は?」
 次は… 。
「お仕事」
「お仕事の次は?」
「なにもない」
「ないの?そんなの、いやだよ」
「死ぬまでお仕事」
「ぼく、死なないよ」
 いつか、理解できる日が来るんですかね。
 大人になりたいのは、大人が大変だってことがわかってないだけなのかしら。

 こんなカイトが小学校を卒業しました。卒業式には中学校の制服を着ていき
ました。公立の中学校にはめずらしい、ブレザーにエンブレム、グレンチェッ
クのズボン、レジメンタルタイです。これが、カイト、似合うんだ。おにいち
ゃんには負けるけど。
 卒業式の話は来月です。まだ、心の整理が出来ていません。
 同じ先生と、同じ友達との6年間が終わった感慨が、だだもれの状態で言葉
にするのは、プロの仕事では無いので。
 入学に関しても、ひと月遅れかな。

◇◆堀田あけみ先生の略歴
 1964年 愛知県生まれ。
 1981年、「1980アイコ十六歳」で文芸賞を受賞、文筆活動に入る。
 その後、名古屋大学教育学部に入学、卒業後、同大学院教育心理学科に進学。
 専攻は、発達心理学・学習心理学。特に、言語の理解および産出のプロセス。
 2011年現在 椙山女学園大学 勤務

【主な著書(現在、入手可能なもの)】
 「わかってもらえないと感じたときに読む本」「おとうさんの作り方」(海竜社)
 「十歳の気持ち」(佼成出版社)、「唇の、することは。」(河出書房新社)
 「泣けてくるじゃない」「あなたの気持ち」(角川書店)
 「マナティ 夢の人魚」「大草原のプレーリードッグ」(共著、七賢出版)
 「White Smile」(共著、ワニブックス)
 「発達障害だって大丈夫−自閉症の子を育てる幸せ」(河出書房新社)

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   小児科医 宮地泰士せんせいの「子育て応援エッセイ」 第71回
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 子どもに「玩具を片付けなさい。」と言った後、子どもがやや乱暴に玩具を片付け
始めたら、みなさんはまず何と言いますか?「そんな乱暴な扱い方をして!」と怒るで
しょうか。
それともとりあえず片付けはじめたことを褒めてから、もう少し丁寧に片付けることを
注文するでしょうか。

 褒めて育てるには、まず、子どものことを本当によく知る(あるいは知ろうとする)
必要があります。そうでなければ子どもに適切な要求(期待)ができません。不適切な要
求(期待)は子どもにとっても応えるのが難しく、お互いにイライラしてしまう恐れがあり
ます。
 それに大人にとって当たり前のことでも、子どもにとっては難しいことはよくあることな
のですから、子どもを褒めて育てようと思ったら、子どもが成功してくれることをただ待っ
ているのではなく、子どもに分かりやすく、やりやすいように教え、促し、応援し、時には
一緒にやって、子どもが(自分に)褒められること自体を手助けする必要もあるでしょう。
 
 そして、結果はうまくいかなかったとしても、あるいは稚拙なやり方だったとしても、子
どもなりに頑張ろうとしたことや子どもなりにどうしたら良いか考えたことなど、表面的な
失敗にかき消されそうな “子どもが頑張ろうとした芽”を見逃さない眼と、物事を前向きに
捉える気持ちがなければ褒めることなどできません。

 つまり、子どもを褒めるも叱るも私達大人次第ということなのでしょうね。

◇◆宮地泰士(みやち たいし)先生の略歴
 平成7年3月  名古屋市立大学医学部 卒業
 同年4月    名古屋市立大学病院小児科 入局、勤務
 平成12年4月 医学博士号 修得
 平成15年4月 名古屋市児童福祉センター 勤務
 平成18年7月 子どものこころの発達研究センター 勤務
 平成22年4月 名古屋市あけぼの学園 勤務

【著書】
 ・可能性のある子どもたちの医学と心理学(共著)
   (ブレーン出版 石川道子、辻井正次、杉山登志郎 編著)
 ・直ぐに役立つ発達障害の診断とサポート(共著)
(東海小児心身医学研究会 発行)

◇◆子育てに難しさをお感じのおやごさん、専門家のみなさんを対象に、
 全国的に発達支援に関するセミナーを開催しています。
 詳細に尽きましては、順次、当会ホームページにてお知らせ致します。
   http://www.as-japan.jp/j/index.html

◇◆「専門情報誌」アスペハート誌のご紹介
 アスペハート誌は子育てに難しさをお感じのおやごさんたちに、専門的で
 先進的な知見をご紹介する専門情報誌です。発達支援に関わる多くの最新情報を
 掲載しています。詳細に尽きましては、当会ホームページをご覧ください。
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