2012.02.02
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 NPO法人アスペ・エルデの会「楽しい子育て応援団」です 2012、2月号

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 学年の集大成に向け、子供たちは毎日、勉強に運動に頑張っていますね。
 充実した一日を過ごし、元気に帰宅する子どもの笑顔は、
 お父さん、お母さんのパワーの源です!
 今月も堀田あけみ先生、宮地泰士先生のほのぼのエッセイを
 お楽しみくださいね。

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    堀田あけみ先生の「子育て応援エッセイ」 第69回
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◇◆起承転結
                         
 夏休みに、カイトに絵日記を描かせたことがあります。これは、大爆笑もん
でした。登場人物がアンパンマンのキャラクターなのです。特定の配役はあり
ません。カイトがアンパンマンだったり、ばいきんまんだったり、チーズだっ
たり。コトコと喧嘩した日は、ばいきんまんとドキンちゃんが、壊れたしょく
ぱんまんの人形を間に言い争っている絵で、これで一悶着。
「私、ドキンちゃんじゃないもん!」
 なので翌日の日記も「コトコちゃんとけんかしました。」
 同じ絵ですが、コトコが横から青く塗って、コキンちゃんにしました。
 こうなると、家族全員が今日はどんなんだろって、わくわくしながら待つこ
とになります。髪を切った日なんて、一体どのキャラクターがカイトになるん
だろうって。だって、髪の毛のあるキャラクター、少ないよ、アンパンマン。
ジャムおじさんとバタコさんは帽子かぶってるし。バタコさんはときどき脱ぐ
けど、ジャムおじさんは脱がないねえ。
 結果、アンパンマンでした。鋏で切ったら、あんこ出るぞ。更に、髪を切っ
ているのは、睫毛のついたアンパンマンだ。誰? ピンクのうわっぱり着てる
から、女性の美容師さんてことだよねえ。カイト、いつもお兄さんに切っても
らうよ。
 面白いので、夏休み終わっても描かせようと思いましたが、おかあさんが家
にいて、「やろうね」って言わないとできないねえ。

 今年の冬休みには、おとうさんがカイトに漫画を描かせました。ストーリー
性のある続き絵は、以前から描いていたのですが、今日あったことを描きなさ
いって、日記ですね、要は。
 始まりは、カイトが自分で髪を切ってしまったことです。私にとっては、研
究室にいたらメールでいきなり「カイトが自分で髪を切ってしまった。床屋さ
んで直してもらって来ます。」と言われたわけで、忙しいときに、そんなもん、
何が気に入らんかったかしらんが、まったくもう、というわけで、「すっぱり刈
ってもらってください」と返信しました。でも、床屋さんで「はげにしないで」
と頼み込んだ結果が、すんごく中途半端な髪型。私は、学校で切ったと思った
んですが、家で切ってしまったということです。その理由を、口では言えない
のですが、絵だったら伝えられるのでは、ということです。
 結果、

1、ばいきんまんが、嬉しそうにシャツを切っているところ。嫌なことがある
 と、カイトも切ってしまうことがあります。忘れた頃に、やるんですよね。
2、アンパンマンとカレーパンマン「こらー、おようふくをきるな」
3、「ごめんなさいなのだ」「どうしておようふくきりましたか」
4、「わからないのだー」すごく困った顔。
5、アンパンマンの周りに吹き出しが一杯。「クイズだよ」
 「どうしておようふくきりましたか」「1、やなことあった」「2、けんかした」
6、大喜びのばいきんまん。「やなことあった」
7、ところが、アンパンマンは「ざんねん、ふせいかい。もういちどかんがえ
 よう」

 という、なかなかの作品が出来上がりました。ばいきんまんが表情豊かなの
に、アンパンマンは目が白く描かれてて、無表情に見えます。窓が描いてあっ
て、ドキンちゃんとかびるんるんが覗き込んでいます。
 おとうさんは、ばいきんまんがカイト自身、叱っているアンパンマンはおか
あさん、黙って見ているカレーパンマンがおとうさん、覗いているのはマナト
とコトコなんじゃないか、と言っています。
 多分、やなことあったんですね。その、やなことの具体的な内容が知りたか
ったんですが、無理でした。
 でも、これいいんじゃない、ということで、日記。
 何故か、毎日4コマです。ちゃんと、起承転結になってます。描くこと無い
日は、違うけど。例えば元旦、やることなかったせいか、1コマめでお餅、2
コマめでほうれんそう(正確には餅菜ですね)、3コマめで花かつお、4コマめ
でかまぼこを食べています。
 大学で創作を教えていても、起承転結が理解できなくて、苦労する子がいる
ものですが、どうやって、把握したんでしょうね、彼は。頼もしいと思います。
構図にも工夫があって、キャラクターをいろんな角度で描けます。遠近法も使
えます。 
 でも、一番嬉しいのは、カイトの描く絵が楽しそうでかわいいってこと。見
てて楽しいこと。
 やっぱり、冬休み終わると描かなくなっちゃったけど、ときどき自主的に描
いてます。

◇◆堀田あけみ先生の略歴
 1964年 愛知県生まれ。
 1981年、「1980アイコ十六歳」で文芸賞を受賞、文筆活動に入る。
 その後、名古屋大学教育学部に入学、卒業後、同大学院教育心理学科に進学。
 専攻は、発達心理学・学習心理学。特に、言語の理解および産出のプロセス。
 2011年現在 椙山女学園大学 勤務

【主な著書(現在、入手可能なもの)】
 「わかってもらえないと感じたときに読む本」「おとうさんの作り方」(海竜社)
 「十歳の気持ち」(佼成出版社)、「唇の、することは。」(河出書房新社)
 「泣けてくるじゃない」「あなたの気持ち」(角川書店)
 「マナティ 夢の人魚」「大草原のプレーリードッグ」(共著、七賢出版)
 「White Smile」(共著、ワニブックス)
 「発達障害だって大丈夫−自閉症の子を育てる幸せ」(河出書房新社)

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   小児科医 宮地泰士せんせいの「子育て応援エッセイ」 第69回
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 人の人生を春夏秋冬にたとえると、子どもの時代は少し意外に感じますが
“冬”なのだそうです。つまりその時期は冬のようにじっと力をため、青年期という
“春”に、それまでためてきた力を発揮し開花する。そして大人になった時には
様々なことに“夏”のように熱心に活動し、年老いた時に実り多き円熟した“秋”を
迎えるのだそうです。
 
 また、春に咲く花の多くは冬の寒さを経験してやっと春に花を咲かせます。例えば
チューリップや桜は1年中ポカポカ陽気では花を咲かせないそうです。つまり冬の間、
土の下でたっぷり養分や水分を吸収したり、外見的には何の変化もないように見えても
満開の花を咲かせるその時が来るまで“生きるエネルギー”をしっかり蓄えたりしてい
るのでしょう。
 
 そういう意味では、人にとっても子ども時代はコミュニケーションや社会性、情緒
豊かで心満たされた、いわゆる“生きるエネルギー”をじっくり蓄えることが大切で
あるのかもしれません。その間はいろいろ失敗もするし叱られたり注意を受けたりす
ることもあるでしょう。しかしそれこそ子ども時代にしかできない(許されない)“子ど
もの特権”でもあり、そのような様々な経験やそれに伴う適切な教えや手助けこそが、
子どもにとっての大切な養分であるように思います。
 
 私達親は春に咲く花を育てるように、やがてその子の芽が出て花が咲くその時を待ち
ながら、じっくりと子育てをしていきたいものですね。

◇◆宮地泰士(みやち たいし)先生の略歴
 平成7年3月  名古屋市立大学医学部 卒業
 同年4月    名古屋市立大学病院小児科 入局、勤務
 平成12年4月 医学博士号 修得
 平成15年4月 名古屋市児童福祉センター 勤務
 平成18年7月 子どものこころの発達研究センター 勤務
 平成22年4月 名古屋市あけぼの学園 勤務

【著書】
 ・可能性のある子どもたちの医学と心理学(共著)
   (ブレーン出版 石川道子、辻井正次、杉山登志郎 編著)
 ・直ぐに役立つ発達障害の診断とサポート(共著)
(東海小児心身医学研究会 発行)

◇◆子育てに難しさをお感じのおやごさん、専門家のみなさんを対象に、
 全国的に発達支援に関するセミナーを開催しています。
 詳細に尽きましては、順次、当会ホームページにてお知らせ致します。
   http://www.as-japan.jp/j/index.html

◇◆「専門情報誌」アスペハート誌のご紹介
 アスペハート誌は子育てに難しさをお感じのおやごさんたちに、専門的で
 先進的な知見をご紹介する専門情報誌です。発達支援に関わる多くの最新情報を
 掲載しています。詳細に尽きましては、当会ホームページをご覧ください。
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