2011.08.02
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NPO法人アスペ・エルデの会「楽しい子育て応援団」です 2011、8月号

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新聞に『夏休みに子どもに体験させたいことは、何ですか?』という
アンケートが掲載されており、第1位は、“田舎体験”。
“自転車で日本一周!”という壮大なものもありました。
二度とやって来ない今夏、楽しい思い出を作りたいですね♪

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    堀田あけみ先生の「子育て応援エッセイ」 第63回
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◇◆台風一家
                          
いえね、間違えちゃいませんて。これでも、大学では「日本語表現法」も担当し
てるんです。
 以前、マナトがハリケーンボーイの極寒ボーイでエルニーニョだって話をしました。
そして、オハラ家の行くとこ行くとこ出現する異常気象を全部マナトのせいにしてき
ました。
 また、やらかした。
 相変わらず、子どもたちが本当に私たち夫婦の子どもでいてくれるうちに、思い出を
作ることにやっきになっているオハラ家、夏休みは北海道です。おとうさんの仕事に全
員でついて回って礼文島まで。キャンプ道具に機材一式、カヌーまで積んだ車で行ける
に越したことはないので、フェリーで行きます。波が少ない日本海。一等個室を取って、
優雅な船旅。
 の筈なのに、なんで来る、台風。なんでやたら遅い、進度。
 毎日、波予測見て、行き方変えた方がいいかなって思いつつ、でも、進路は南にそれ
てるし、出港はできるだろうなって、やはり日本海で行く事に決めました。敦賀発、苫
小牧行き、出港は深夜一時。子どもたちは、十一時半の乗船までテレビ見て気を紛らせて、
船に乗ったら、酔い止め飲ませて、あっと言う間におやすみなさい。起きたら、揺れの
ひどいところは通り過ぎている予定だったけど、起きてもしばらく揺れてました。こう
いうことに意外と強い筈のカイト、見事に連続リバース。どうも、気持ちが悪くなって
いることに、無自覚なので、対処しないらしいです。おとうさんとカイト、というチー
ムも悪かった。「気持ち悪いなら、寝てなさい」「吐くといけないから、無理して食べ
なくていい、つか、食べるな。食べるんだったら、刺激の少ないものを少量」とかいう
指示を、おとうさんは出しませんから。
「太平洋は、だいたいこんなもんだけどね。太平洋側で揺れがひどいのって、こんなも
んじゃなかったし。でも、日本海側では今までで最悪だったな。あ、帰りのフェリー、
青森までにして、後は車でぼちぼち戻ることにする。3回続けて、揺れがひどかったから、
船に乗る時間は最小限にしたい」
 とは、おとうさんの弁。私たちは、いつまでもおとうさんにつきあっていられないの
で、先に飛行機で戻ります。塾や宿題や空手のこと考えないで、どこまでもついて行け
たらいいね。でも、私は今の子どもたちには、日常をきちんと積み重ねて行く事に、幸
せがあると思っています。多分、おとうさんも。
 と、いい話をしようと思っていたら、気がつきました。マナトがいなくても、船、揺
れてたんですよね。今回以上に。そして、マナトの行くところって、大概おとうさんも
いますよね。
 マナトのせいじゃないんじゃない。
 でも、おとうさんのせいだというのも、やめにしましょう。
 オハラ家の誰かが、異常気象を呼ぶ体質なんですよ。もしかしたら全員が。
 大丈夫、どんなひどい体験も、過ぎてしまえば、いい思い出にできる私たちだから、
天災だって降って来るんだ。いい思い出にならない不運に比べたら、こんなもの、贅沢
言っちゃ罰が当たる。
 でもね、揺れさえしなければ、カイトのような子には、フェリーの旅、いいもんじゃ
ないかと思います。ちょっと奮発して、個室とってね。船の中、飽きない工夫がされて
るので、結構楽しいです。大浴場も映画館もゲームセンターもあるし、なんだかんだ、
海は見ていて飽きないものです。くどいようですが、静かならね。敦賀や舞鶴から出る
けど、名古屋から2時間弱で行けます。岐阜ならもっと近いです。
「また、お船にのせてね。楽しいから。ゴージャスな感じがするし」
 揺れを一番怖がってた(おかあさんと二人の時には。男性陣が一人でもいると、「ぜ
ーんぜん、怖くない」)人が、一番けろっとして言ってます。なんだかんだ、おとうさ
んが一番逆らえない人なので、また、どっかへの船旅企画することになるかもしれませ
ん。 

◇◆堀田あけみ先生の略歴
 1964年 愛知県生まれ。
 1981年、「1980アイコ十六歳」で文芸賞を受賞、文筆活動に入る。
 その後、名古屋大学教育学部に入学、卒業後、同大学院教育心理学科に進学。
 専攻は、発達心理学・学習心理学。特に、言語の理解および産出のプロセス。
 2011年現在 椙山女学園大学 勤務

【主な著書(現在、入手可能なもの)】
 「わかってもらえないと感じたときに読む本」「おとうさんの作り方」(海竜社)
 「十歳の気持ち」(佼成出版社)、「唇の、することは。」(河出書房新社)
 「泣けてくるじゃない」「あなたの気持ち」(角川書店)
 「マナティ 夢の人魚」「大草原のプレーリードッグ」(共著、七賢出版)
 「White Smile」(共著、ワニブックス)
 「発達障害だって大丈夫−自閉症の子を育てる幸せ」(河出書房新社)

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   小児科医 宮地泰士せんせいの「子育て応援エッセイ」 第63回
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?啄同時(そったくどうじ)という言葉をご存じでしょうか。
「?」というのは卵の中の雛が殻をつつくのを、また「啄」は親鳥が卵の殻を外
側からつつくことを意味し、そうやって卵から雛がかえる様子になぞらえて、機が
熟して悟りを開こうとしている弟子に師がタイミング良く教示を与え、悟りの境地に
導くことを意味する禅の言葉です。
しかしこの言葉は禅の師弟関係だけでなく子育てにおいても大切なことを示している
ように思います。つまり子育てにおいては、親は子どもの意欲を察しながら見守り、
必要に応じて補助をしながら成長を促すという姿勢が大切であると言えるのではないで
しょうか。
 しかし、子どもの成長の様子を見ていると、1人1人によって興味を持つものやその
順番が違うように思えます。だから「他の子がやっているから。」と我が子にも同じこと
をさせようとしても、あるいは親が自分の思いだけで子どもを促そうとしても、なかな
か上手くいかないかもしれません。?啄同時は、人の成長とは親と子の協働作業である
のと同時に、「?」(子どもの意欲や興味)に「啄」(親の補助や導き)が合わせられるこ
とによって促されるということも言っているのだと思います。
 もちろん色々な経験を促し、子どもの興味が生まれるきっかけ作りも大切ですが、そ
れ以上に大切なのは、今子どもは何に興味を持ち、何をがんばろうとしているのかを親
がよく見ることなのかもしれませんね。

◇◆宮地泰士(みやち たいし)先生の略歴
 平成7年3月  名古屋市立大学医学部 卒業
 同年4月    名古屋市立大学病院小児科 入局、勤務
 平成12年4月 医学博士号 修得
 平成15年4月 名古屋市児童福祉センター 勤務
 平成18年7月 子どものこころの発達研究センター 勤務
 平成22年4月 名古屋市あけぼの学園 勤務

【著書】
 ・可能性のある子どもたちの医学と心理学(共著)
   (ブレーン出版 石川道子、辻井正次、杉山登志郎 編著)
 ・直ぐに役立つ発達障害の診断とサポート(共著)
(東海小児心身医学研究会 発行)

◇◆子育てに難しさをお感じのおやごさん、専門家のみなさんを対象に、
 全国的に発達支援に関するセミナーを開催しています。
 詳細に尽きましては、順次、当会ホームページにてお知らせ致します。
   http://www.as-japan.jp/j/index.html

◇◆「専門情報誌」アスペハート誌のご紹介
 アスペハート誌は子育てに難しさをお感じのおやごさんたちに、専門的で
 先進的な知見をご紹介する専門情報誌です。発達支援に関わる多くの最新情報を
 掲載しています。詳細に尽きましては、当会ホームページをご覧ください。
  http://www.as-japan.jp/j/heart/heart.html

◇◆「楽しい子育て応援団」へのご意見、ご感想をお待ちしています。
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