2011.05.02
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NPO法人アスペ・エルデの会「楽しい子育て応援団」です 2011、5月号
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堀田あけみ先生の「子育て応援エッセイ」 第60回
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◇◆何度目かの、春
また四月がやってきて、子ども達は一つずつ、上の学年になりました。今年
は、卒業や入学はなし。でも、やっぱり新しい学年は今までとは違うのです。
中二になったマナトが、四月のスクールランチの予約用封筒を持って来まし
た。偉いぞ。
普通の子なら普通にすること。でも、忘れん坊マナトはそれができません。
月に2日間だけのまとめ予約をいつも忘れちゃう。だから、ランチカードなる
物にチャージをして、毎日予約します。でも、その予約を忘れることもある。
そしたら、おかあさんがお弁当を作ります。でも、おかあさんに、予約を忘れ
たことを言うのを忘れちゃうこともあります。そしたら、先生から電話がかか
ってきます。いっつもご飯食べてませんけどって。
そんなマナトが、自分から今月のランチ全部で11回ね、って封筒持ってき
たんですよ。偉いです。
そんなときに限って、おかあさんやらかしました。十円玉と間違えて五円玉
入れちゃった。お金が足りないので予約できません。ランチカードで地味に毎
回予約して下さい。あ、初回3回までは、もう間に合わないので、お弁当持た
せて下さいね。
おかあさんが間違えたんだから、しょうがないよ、ごめんねって、三日間お
弁当作りました。私の平均睡眠時間は5時間。30分の早起きや、休日に朝寝
が出来ないのは、とっても辛いです。これは、7時間以上寝ている人にはわか
らない感覚だと思う。でも、お弁当作り自体は大好きです。お弁当箱に綺麗に
並んだおかずやご飯を見て、にんまりして、蓋をする至福。写メ撮っちゃう人
の気持ち、分かるなあ。見て欲しいもん。だから、ときどきの予約ミスは、い
いきっかけとも言えます。ただ、このシステム、ちょっと配慮が足りな過ぎな
いかなって、炒り卵作りながら思いました。誰が見たって、不注意による凡ミ
スですよね。よくあることです。悪意は無いし、逃げも隠れもしません。だか
ら、「お金が足りないから予約できません」ではなくて、「五円足りなかったか
ら持って来て下さい」であって欲しいなって。予約はさせてくれたっていいじ
ゃん。それ言い出すと、きりがないから、一切例外は認めないってことになっ
てるんでしょうけどね。私みたいに、基本、料理好きって人はいいけど、料理
あんまり好きじゃない上に多忙な人には、辛い話だ。と、炒り卵と鶏そぼろに、
ポケモンの海苔のっけて考えました。
マナトが生まれてから当然のように、春が来る度、子ども達が年を重ねて、
去年とは少し違う生活が始まりました。しばらくは何の疑問も無く、それを繰
り返し。大人になってからの、春が来たってそれほど変わらない生活(ずっと
オーバードクターだったしさ)から、一度抜け出したら、それがずっと続くと
不覚にも錯覚した時期が有りました。でも、後何回かのことなんでしょうね。
カイトの身長が私を追い越して、今やオハラ家でおかあさんより小さいのはコ
トコだけです。これも、数年後には一番小さくなってるよ。
今年は多くの日本人にとって、生涯抱えて行く大変な年になると思います。
それを慰めるかのように、今年の桜は長く保ちました。椙山女学園の星ヶ丘キ
ャンパスの桜が、私のこれからの人生の一里塚になって行くのでしょう。二十
代の頃は、名古屋大学鏡が池のほとりの桜がそうでした。満開の並木の下を、
自転車で走り抜けるのは快感でしたが、いつか「来年もこうしてんのかよ」と
思うようになっていました。人生のそれぞれの時期に、想う桜の木があるのは、
幸せなことかもしれません。
個人的には、秋の初めの金木犀もあってほしいです。たまたま近所にあって、
よかった。
さて、カイトにとっては6年間の小学校生活と、今までの人生の半分を一緒
に過ごした担任の先生との思い出を集大成させる年が始まりました。かっこい
いおにいちゃんぶりを見せて下さい。ひまわり学級にも小さいお友達がやって
きたことだし。
来年は、オハラ家初めての受験です。大変だなあと思う一方で。
どういう展開になるかと、わくわくしてるのは、性ですなあ。
◇◆堀田あけみ先生の略歴
1964年 愛知県生まれ。
1981年、「1980アイコ十六歳」で文芸賞を受賞、文筆活動に入る。
その後、名古屋大学教育学部に入学、卒業後、同大学院教育心理学科に進学。
専攻は、発達心理学・学習心理学。特に、言語の理解および産出のプロセス。
2011年現在 椙山女学園大学 勤務
【主な著書(現在、入手可能なもの)】
「わかってもらえないと感じたときに読む本」「おとうさんの作り方」(海竜社)
「十歳の気持ち」(佼成出版社)、「唇の、することは。」(河出書房新社)
「泣けてくるじゃない」「あなたの気持ち」(角川書店)
「マナティ 夢の人魚」「大草原のプレーリードッグ」(共著、七賢出版)
「White Smile」(共著、ワニブックス)
「発達障害だって大丈夫−自閉症の子を育てる幸せ」(河出書房新社)
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小児科医 宮地泰士せんせいの「子育て応援エッセイ」 第60回
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ある先生がこのようなことを言われました。
「子どもはきちんとした支持があれば、とてもたくましく強いものです。」
「たくましい子とは、安心感を育てられた子である。」と言われます。甘える時には
甘えることができ、頼る時には頼ることができた経験、つまり精神的に(物質では
なく)求めるものがしっかり与えられた子は、そうした充実感を基盤として“未知の
世”へ挑戦していく勇気が持てるということなのではないでしょうか。
ちなみに、“くやしさをバネに頑張れる子”も、それまでにいろいろと助けてもらい、
やり方を教えてもらい、実際に達成感のある成功体験があり、周囲から認められるこ
とで自信を持つことができた子なのだと思います。「くやしい」とは「こんなはずじゃ
ない。」「本当の自分はこうじゃない。できるはずなのに。」という思いがあるから
湧きあがる感情だと思うからです。もし自分に基盤のしっかりした自信がなければ、
失敗しても「やっぱりなあ。」とあきらめ開き直ってしまったり、やけを起こしてしま
うのではないでしょうか。
だから、ガッツのある子に育ってほしいと思うのなら、親はまず子どもを受け止め、
支え、応援し、丁寧に教えることが何よりも大切なのだろうと思います。
人のたくましさの基盤は、人との繋がりや交流から得られた安心感や信頼感なので
しょうね。
◇◆宮地泰士(みやち たいし)先生の略歴
平成7年3月 名古屋市立大学医学部 卒業
同年4月 名古屋市立大学病院小児科 入局、勤務
平成12年4月 医学博士号 修得
平成15年4月 名古屋市児童福祉センター 勤務
平成18年7月 子どものこころの発達研究センター 勤務
平成22年4月 名古屋市あけぼの学園 勤務
【著書】
・可能性のある子どもたちの医学と心理学(共著)
(ブレーン出版 石川道子、辻井正次、杉山登志郎 編著)
・直ぐに役立つ発達障害の診断とサポート(共著)
(東海小児心身医学研究会 発行)
◇◆子育てに難しさをお感じのおやごさん、専門家のみなさんを対象に、
全国的に発達支援に関するセミナーを開催しています。
詳細に尽きましては、順次、当会ホームページにてお知らせ致します。
http://www.as-japan.jp/j/index.html
◇◆「専門情報誌」アスペハート誌のご紹介
アスペハート誌は子育てに難しさをお感じのおやごさんたちに、専門的で
先進的な知見をご紹介する専門情報誌です。発達支援に関わる多くの最新情報を
掲載しています。詳細に尽きましては、当会ホームページをご覧ください。
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