2010.11.01
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NPO法人アスペ・エルデの会「楽しい子育て応援団」です 2010、11月

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 やっと秋が来たと思っていたら、北海道では雪の便り・・。
 急激な気温の変化で、体調を崩しているなんて声をよく耳にします。
 今年も残すところ2ヶ月、時間に余裕がなくなり気ぜわしくなりますが
 子供たちとふれあう時間は大切にしたいものですね!

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    堀田あけみ先生の「子育て応援エッセイ」 第54回
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◇◆子の有難さ
 
 亡くなって知る親の有難さ、とか申しますが、子に関しても言えることです。
いや、亡くしてはいませんが、小学校の行事から軒並みマナトが消えて半年、
カイトにはしんどい日々が続いているのではと思います。マナトがいない上に、
コトコがいるときたもんだ。
 秋は、子ども会関連の行事が目白押し。私は今年会長なので、とても忙しい
です。名古屋市の子ども会の会長って負担大きいですよ。更に、自分の子ども
の世話どころではありません。初めて、会合に出たときの、他の会長さん達の
反応は、
「あけみさん、なんで会長なんてやってんの!」
「なりゆきで」
 行事のなかでもプレッシャーかかるのが、秋の祭礼です。「宿」と呼ばれるお
家を決めなければいけません。大きなお家で、お庭を貸して下さるところ。決
まったら、ご挨拶とお掃除。町内会長さんにもご挨拶、そして打ち合わせ。宮
司さんにお祓いしていただくときの、お布施やお茶の用意。子ども達がお参り
に行くときのお祓いのお礼。祭壇作って、お供え物揃えて、お獅子が終わると、
お供え物を分けて、町内にお配りして、ああ疲れた。
 メインは、子ども達がお獅子を持って、お宮さんに行くもの。いろいろ役割
があって、それぞれの子がしたいものがあって、割り振りが大変です。一番や
りたくないのが、お獅子の後ろの布を持つ役。そりゃそうですね。でも、一番
沢山いる。お獅子の頭は一番人気ですが、拍子木、鉦、笛、どれもやってみた
いので、順番ね、と送り出します。
 子ども達の楽しみは、やっぱりお菓子ですが、子どもの多くない町内に、お
年寄りだけの世帯が多く、子どもの数に較べて、お供え物が多いのです。でも、
一度にたくさんのお菓子を与えるのは教育上よろしくない。ということで、何
度も町内を回って、その都度お菓子をもらうという、体育会系行事となってお
ります。引率するおじいちゃま達も、体育会系。他所の子だろうと容赦有りま
せん。
 今年、カイトは大目玉をくらいました。先にとっとと宿に戻って、
「お菓子、ちょうだい」
 を、やらかしたのです。後から来たおじいちゃまに、
「こんな奴にやるおさがりはない」
 と怒られました。で、このときカイトが拍子木担当だった為に、今後、全員
拍子木禁止になってしまいました。
「拍子木なんて、持たしても鳴らさん。さぼる為の口実になっとる。だったら、
持たせるな!」
 去年までは、マナトが一緒でしたから、安心していられました。コトコは、
ガールズチームですからね。コトコにとっては、運の良いことに、一番の仲良
しさんが同じ子ども会なのです。だから、カイトに構っている暇はありません。
今年は、私がついて歩いたのですが、一度、お宿に残ったら、こういうことに
なってしまいました。ちょうど、同学年の男の子達が、みんな午前中だけで、
いな
くなっちゃったから、高学年の男子はカイトだけで、誰も相手してくれな
かったのかな。
 小学校の行事から消えてみると、マナトの有難さがよくわかります。カイト
のこと、どれだけきちんと見ててくれたか。個人面談でも言われました。カイ
トのお迎えにくるマナトの態度のこと。いつも、丁寧にお礼を言ってから連れ
て帰るって。
 ほんとは、今でもマナトに頼りたいのです。でも、マナトはマナトとして、
したいことは山ほど有るものね。平日は使われることが多いし、道場にも塾に
も行くし、日曜くらいはゆっくりしてもらいます。

 でもね、コトコも有難い子なんですよ。
 だって、学校の休み時間にはカイトを引っ張り出して、友達のことおんぶさ
せたり、だっこさせたり。
「ね、あたしのおにいちゃん、ちからもちでしょ」
 カイトを自慢するんです。カイトとしては、休み時間はのんびりしたいんだ
ろうけど。でも、カイトを「自慢のおにいちゃん」にできるコトコは、親孝行
です。
 登校前も、置いて行かれそうになって、
「待って、おにいちゃん、寂しいから行かないでよ」
 って言い続けて、カイトの機嫌が悪くなっちゃいます。
「だって、カイトと一緒に行きたいもん」
 これぞ、ありがた迷惑。
 でも、おかあさんは、困ったことだけですませたくありません。
 有難いなって、思います。

◇◆堀田あけみ先生の略歴
 1964年 愛知県生まれ。
 1981年、「1980アイコ十六歳」で文芸賞を受賞、文筆活動に入る。
 その後、名古屋大学教育学部に入学、卒業後、同大学院教育心理学科に進学。
 専攻は、発達心理学・学習心理学。特に、言語の理解および産出のプロセス。
 
【主な著書(現在、入手可能なもの)】
 「わかってもらえないと感じたときに読む本」「おとうさんの作り方」(海竜社)
 「十歳の気持ち」(佼成出版社)、「唇の、することは。」(河出書房新社)
 「泣けてくるじゃない」「あなたの気持ち」(角川書店)
 「マナティ 夢の人魚」「大草原のプレーリードッグ」(共著、七賢出版)
 「White Smile」(共著、ワニブックス)
 「発達障害だって大丈夫−自閉症の子を育てる幸せ」(河出書房新社)


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   小児科医 宮地泰士せんせいの「子育て応援エッセイ」 第54回
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 NHKで放映されていた「ゲゲゲの女房」という番組をご存知の方は多いのではな
いかと思います。漫画家の水木しげるとその妻の半生を描く魅力的な話でした。
その中で主人公達は自分達の極貧暮らしを、「貧乏神が取りついている。やっつけ
ろ!」といって乗り越え、今度は多忙になりすぎ大切なことを見落としていた反省を、
「妖怪“いそがし”に取りつかれている。落ち着け!」といって乗り越えていました。
 この、日々の生活の様々なストレスや悩みを妖怪のせいだなどとユーモア交じりに
乗り越えていく前向きな姿はすがすがしく、見ているこちらも元気にさせられました。
 ユーモアは人にゆとりと安息をもたらし、がんばる活力を与えます。だから人の生
活にユーモアは欠かせません。子育てでも同じだと思います。
 例えば叱られた直後の子は、緊張し悲しみと怖れと怒りが入り混じった表情を浮かべ
ます。しかしその後少し笑わせてあげることをすると、顔がほころび、またがんばろう
という表情に変わります。子どもを叱るということは、叱った後、元気を回復させると
ころまでやってはじめて意味があるのでしょう。
 親にとっても、「疲れた。」、「忙しい。」、「自分の言動を反省。」と悩んでばか
りいることはせず、いっそ“妖怪○○”のせいにして、子どもと共にがんばろうという
発想があってもよいのかもしれませんね。
 同じことをするにしても、気持ち次第で結果は全然違うのですから。

◇◆宮地泰士(みやち たいし)先生の略歴
 平成7年3月  名古屋市立大学医学部 卒業
 同年4月    名古屋市立大学病院小児科 入局、勤務
 平成12年4月 医学博士号 修得
 平成15年4月 名古屋市児童福祉センター 勤務
 平成18年7月 子どものこころの発達研究センター 勤務
 平成22年4月 名古屋市あけぼの学園 勤務

【著書】
 ・可能性のある子どもたちの医学と心理学(共著)
   (ブレーン出版 石川道子、辻井正次、杉山登志郎 編著)
 ・直ぐに役立つ発達障害の診断とサポート(共著)
(東海小児心身医学研究会 発行)

◇◆子育てに難しさをお感じのおやごさん、専門家のみなさんを対象に、
 全国的に発達支援に関するセミナーを開催しています。
 詳細に尽きましては、順次、当会ホームページにてお知らせ致します。
   http://www.as-japan.jp/j/index.html

◇◆「専門情報誌」アスペハート誌のご紹介
 アスペハート誌は子育てに難しさをお感じのおやごさんたちに、専門的で
 先進的な知見をご紹介する専門情報誌です。発達支援に関わる多くの最新情報を
 掲載しています。詳細に尽きましては、当会ホームページをご覧ください。
  http://www.as-japan.jp/j/heart/heart.html

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