2010.09.01
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NPO法人アスペ・エルデの会「楽しい子育て応援団」です2010、9月号

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9月に入りましたが、暑い毎日が、続いていますね。
体調に気を配ってお過ごしくださいね。
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    堀田あけみ先生の「子育て応援エッセイ」 第52回
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◇◆おかあさんの夏休み
                      
「まぐまぐ」の締め切りは、毎月二十日です。なので、この原稿を書いている
のが、アスペ・エルデの会ではおなじみ、日間賀島合宿の最中です。今年は、
首尾よくコトコもきょうだいプログラムに滑り込ませました。両親と長兄は、
実に解放的な日々を過ごしております。本当は、マナトも行かせたかったので
すが、おとうさんが一緒に「アプリ製作講座」に行くというので、止めました。
 この時期、私が一泊で東京の仕事を入れていたので、おとうさんとしては、
二人いなくなってくれて万々歳です。私も、後顧の憂い無く、外泊できるのは
ほんとうに久しぶりで、お仕事なのに、夏休み気分でした。打ち合わせしてても、
お食事してても、「今頃どうしてるかな」「大丈夫かな」を気にしなくても
いいんですよ。日間賀島は、連絡が無い限り、大丈夫に決まってるんだから。
 二十年来使っているスーツケースに、一杯お仕事詰めて出かけました。静か
なホテルで、遅れてるお仕事、一杯するんです。「発達障害だって大丈夫2」の
原稿なんて、一年締め切り踏み倒している。
 でも、出来ませんでした。見事に何もしていない。そんな私はホテルで何を
していたか。
 寝ていました。
 もう、眠たくてしょうがないんです。
 久しぶりに東京で、電車に沢山乗って移動したこともあるかもしれません。
アウェーな上に、人が多くて乗り換えが難しい。
 でもね、多分、一人で眠れるときなんて、ほとんどないから、体が命令した
のかもしれません。ここで、寝ときなさいって。で。無理しないで寝ました。
さっき、原稿急ぎますからって約束したばっかりなのに、ごめんなさい。でも、
気持ち良かったなあ。

 翌日お仕事終わって帰って来たら、家には誰もいません。おとうさんとマナ
ト、アプリ講座に行ってる。地下鉄の階段を疲れて上がって来たら、そのまま
休めるって、すごい、十三年振りだよ。いつも、疲れ果てて家に戻ると、すぐ
に晩ご飯の支度だもの。お風呂にゆっくり入って、静かな部屋でニュースを見
ながら、いつもより丁寧に洗濯物を畳みました。
 二人、合宿にやったって言うと、寂しくないって訊かれるけど、今は解放感
のほうが大きいです。もっと長くなったり、二度と戻って来ないって思ったと
きに、寂しくなるのでしょう。マナトは、解放されることを一番喜んでたのに、
半日で寂しくなっちゃいました。彼は、心底優しい男なんだなあ。
 でも、沢山眠った二日間の後、大学に出勤して、帰ったときには、ちゃんと
ご飯が作れました。疲れてたのにね。
 脳と体は知ってたんでしょう。もう、おかあさんの夏休みは終わったんだよ
って。

 って、よおく考えたら、仕事じゃん、これ。
 仕事が休みに見えちゃうって、すげえわ。

◇◆堀田あけみ先生の略歴
 1964年 愛知県生まれ。
 1981年、「1980アイコ十六歳」で文芸賞を受賞、文筆活動に入る。
 その後、名古屋大学教育学部に入学、卒業後、同大学院教育心理学科に進学。
 専攻は、発達心理学・学習心理学。特に、言語の理解および産出のプロセス。
 
【主な著書(現在、入手可能なもの)】
 「わかってもらえないと感じたときに読む本」「おとうさんの作り方」(海竜社)
 「十歳の気持ち」(佼成出版社)、「唇の、することは。」(河出書房新社)
 「泣けてくるじゃない」「あなたの気持ち」(角川書店)
 「マナティ 夢の人魚」「大草原のプレーリードッグ」(共著、七賢出版)
 「White Smile」(共著、ワニブックス)
 「発達障害だって大丈夫−自閉症の子を育てる幸せ」(河出書房新社)


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   小児科医 宮地泰士せんせいの「子育て応援エッセイ」 第52回
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「好き」の反対は「嫌い」ではない。「無関心」である。

 ある調査で「日本の親は海外と比べて子どものネット利用に対する関心が低い」という
新聞記事を読みました。日本をはじめ米国など世界14カ国で保護者に質問したところ、
「子どもがネット上で見ている内容を把握しているか」という問いに対し「いつも知ってい
る」や「時々知っている」と答えた割合は日本が最下位。また「ネット利用について家族で
ルールを決めている」や「ネットを安全に使う習慣を子どもと話したことがある」という回
答も日本は全体平均の半分程度であったそうです。さらに「何か問題が起きた時だけ子ども
のネット活動を調べればよい。」という回答は平均の約2倍で日本が1位だったというのです。
この結果に私は大変ショックを受けました。
 そこで思い出したのが先述の言葉です。
好きも嫌いもどちらも相手を考え思うからこそ湧きあがる感情であるのに対し、無関心は相
手の言動の意味や存在すら否定しています。また子どもでも誰でも、自分に対し普段無関心で
いる相手に信頼を抱くことは困難ですし、無関心である側もいざという時相手に対し適切な対
応がとれるとは思えません。そういう意味では好きや嫌いの反対で人間関係において最も悪い
のは無関心といえるのです。
 皆さんはお子様についてどのくらい知っていますか?どのくらい知ろうとしていますか?
この機会に自己点検をしてみるのもよいかもしれませんね。

◇◆宮地泰士(みやち たいし)先生の略歴
 平成7年3月  名古屋市立大学医学部 卒業
 同年4月    名古屋市立大学病院小児科 入局、勤務
 平成12年4月 医学博士号 修得
 平成15年4月 名古屋市児童福祉センター 勤務
 平成18年7月 子どものこころの発達研究センター 勤務
 平成22年4月 名古屋市あけぼの学園 勤務

【著書】
 ・可能性のある子どもたちの医学と心理学(共著)
   (ブレーン出版 石川道子、辻井正次、杉山登志郎 編著)
 ・直ぐに役立つ発達障害の診断とサポート(共著)
(東海小児心身医学研究会 発行)

◇◆子育てに難しさをお感じのおやごさん、専門家のみなさんを対象に、
 全国的に発達支援に関するセミナーを開催しています。
 詳細に尽きましては、順次、当会ホームページにてお知らせ致します。
   http://www.as-japan.jp/j/index.html

◇◆「専門情報誌」アスペハート誌のご紹介
 アスペハート誌は子育てに難しさをお感じのおやごさんたちに、専門的で
 先進的な知見をご紹介する専門情報誌です。発達支援に関わる多くの最新情報を
 掲載しています。詳細に尽きましては、当会ホームページをご覧ください。
  http://www.as-japan.jp/j/heart/heart.html

◇◆「楽しい子育て応援団」へのご意見、ご感想をお待ちしています。
heart@as-japan.jp


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