2010.08.01
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NPO法人アスペ・エルデの会「楽しい子育て応援団」です 2010、8月号
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夏休み真只中!海水浴やキャンプなど暑い季節ならではの体験を
子ども達といっぱい楽しみたいですね!
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堀田あけみ先生の「子育て応援エッセイ」 第51回
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◇◆お別れ?
小さい子の泣き声の嫌いなカイトなので、以前は、幼児の不機嫌な声が聞こ
えると、親はスクランブル体制でした。蹴飛ばしに行っちゃうので。もっと大
変だったのは、「この子、小さい子の泣き声が嫌いなんだ」とわかるまで。なん
で、唐突にベビーカーに乗ってる子を叩くのか、わからなかったもんです。だ
から、スクランブル体制をとれるようになってからは、心理的には楽になった
と言えるでしょう。先に抱きとめられるから、ことが起こってから謝りに行か
なくて済みます。
そのうちに、
「叩きに行って良い?」
と訊くようになりました。いけません。
最近では、
「小さい子が泣いてるねえ」
になりました。特に、嫌だとは言いませんが、わざわざ言うってことは、気
になるんでしょうね。
先日、泣いてる赤ちゃんの頭に手を伸ばしたときには心臓痛くなりました。
油断したら、また来たって。良い子良い子してました。いないいないばあ、の
ケースもあり。どうやらカイトくんも、TPOをわきまえられるようになったらし
いです。
だって、家庭内の小さい子には、相変わらずシビア。
「コトコちゃんなんて、だいっきらいだ」
「わーん、カイトのばかー」
もう、おかあさん、聞き飽きました。また、コトコちゃん、すぐに泣き声出
すからね。挑発してるとしか思えんわ。
今年、カイト達のひまわり学級に「二組」ができました。一年生のクラスで
す。二組で合わせて6名なので、一緒に活動することも多いです。そうなると
心配なのが、小さい子に対しカイトがどう出るか。
ひまわり学級には、カイトより三つ上のお兄ちゃんがいて、常に一触即発状
態でした。こだわりが強くて、ちょっとしたことで不機嫌なうなり声が出るの
で、カイトが怒る、揉める、という展開だったようです。
カイトが、一年生くんたちと、そんな状況にならないといいなと思っていた
のですが。
授業参観で見たら、二人とも、
「カイちゃーん、カイちゃーん」
と抱きついてて、カイトも満更でもなさそうでした。意外なことに。
6人のひまわり学級は、バランスよく、とっても楽しそうでいい感じ。
だったのが、一人、転校してしまいます。
ひまわり学級から、誰かが引っ越すのは、初めてです。引っ越して来たり、
普通級から移ったりはありました。卒業もありました。但し、卒業のかなり前
から昼夜逆転で登校しておらず、いなくなった感じはなかったようです。
お引っ越しが決まってから、カイトはちょっとしたことで、
「お別れ?」
と訊くようになりました。夏はオハラ家にとって、お別れの季節でもあるの
です。ポケモンの映画のCMとか、絶対にお別れ感満載ですもんね。
泣いてる人がいると「お別れ?」
選挙事務所でバンザイ見て「お別れ?」
誰かがいなくなることをこんなに意識するのは初めてなのでしょう。
でも、寂しいという感情を憶えるのも大切なこと。
本当のお別れに、カイトは泣いたりはしません。でも、
「カイトくんは、さみしいんだ」
おかあさんは、カイトのそんな姿が、寂しかったり、少し頼もしかったりし
ます。
あと、一年と半分で、本当の大きなお別れが来るよ。ひまわり学級との。
そのとき、こんなに泣けるのが幸せだって思いたい。
カイトくんは無理でも、おかあさんはね。
◇◆堀田あけみ先生の略歴
1964年 愛知県生まれ。
1981年、「1980アイコ十六歳」で文芸賞を受賞、文筆活動に入る。
その後、名古屋大学教育学部に入学、卒業後、同大学院教育心理学科に進学。
専攻は、発達心理学・学習心理学。特に、言語の理解および産出のプロセス。
【主な著書(現在、入手可能なもの)】
「わかってもらえないと感じたときに読む本」「おとうさんの作り方」(海竜社)
「十歳の気持ち」(佼成出版社)、「唇の、することは。」(河出書房新社)
「泣けてくるじゃない」「あなたの気持ち」(角川書店)
「マナティ 夢の人魚」「大草原のプレーリードッグ」(共著、七賢出版)
「White Smile」(共著、ワニブックス)
「発達障害だって大丈夫−自閉症の子を育てる幸せ」(河出書房新社)
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小児科医 宮地泰士せんせいの「子育て応援エッセイ」 第51回
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子どもの熱が下がったり病気が治ったりする時、「誰(何)が病気を治したか?」
という問いに何と答えるでしょうか。親?医者?薬?栄養?・・・しかし突き詰める
とそれらはいずれも子ども自身の治癒力をただ手伝っているだけのことだと気づき
ます。これと同じことが子どもの成長・発達においても言えるかもしれません。
つまり親が子どもに与える影響は重要ではあるものの、子どもは周囲の人々や様々な
環境要因の影響を受け、自分の力で見聞きし、動いて体験し考えてその子らしく成長し
ていきます。親は子どもを取り巻く要因の1つにしか過ぎず、必ずしも絶対的・決定的
なものではないということです。
また親の役割について過剰に意識を持ちすぎると、自分の思いが優先され孤独に
なってしまったり、かえって子育てにプレッシャーや窮屈さを感じて悩んだり、無理を
して不自然になってしまう危険もあります。
だからこそ子育てを気持ちよく続けていくためには、「親は所詮子どもの成長・発達の
お手伝いにすぎない。」という自覚も必要なのかもしれません。
もともと子どもの成長・発達には“然るべき方向”、“然るべきペース”、“然るべきタ
イミング”というものがあり、親にとってはままならないことはたくさんあります。し
かしそれが自然なことであり、だから親は変な驕りや余計な気負いをせず、子どもが成
長していくために少し手を貸すくらいのつもりで丁度よいのかもしれませんね。
◇◆宮地泰士(みやち たいし)先生の略歴
平成7年3月 名古屋市立大学医学部 卒業
同年4月 名古屋市立大学病院小児科 入局、勤務
平成12年4月 医学博士号 修得
平成15年4月 名古屋市児童福祉センター 勤務
平成18年7月 子どものこころの発達研究センター 勤務
平成22年4月 名古屋市あけぼの学園 勤務
【著書】
・可能性のある子どもたちの医学と心理学(共著)
(ブレーン出版 石川道子、辻井正次、杉山登志郎 編著)
・直ぐに役立つ発達障害の診断とサポート(共著)
(東海小児心身医学研究会 発行)
◇◆子育てに難しさをお感じのおやごさん、専門家のみなさんを対象に、
全国的に発達支援に関するセミナーを開催しています。
詳細に尽きましては、順次、当会ホームページにてお知らせ致します。
http://www.as-japan.jp/j/index.html
◇◆「専門情報誌」アスペハート誌のご紹介
アスペハート誌は子育てに難しさをお感じのおやごさんたちに、専門的で
先進的な知見をご紹介する専門情報誌です。発達支援に関わる多くの最新情報を
掲載しています。詳細に尽きましては、当会ホームページをご覧ください。
http://www.as-japan.jp/j/heart/heart.html
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