2009.06.01
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NPO法人アスペ・エルデの会「楽しい子育て応援団」です
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大好きなものを思い出していたら、幸せな気分になってきました。
心の中の主人公はまぎれもなく自分自身です。
今日は楽しかったですか?
嫌になってしまう事もあったけど、ニッコリ笑っておやすみしたら
明日はきっといい気分。
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堀田あけみ先生の「子育て応援エッセイ」 第37回
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◇◆「いや」と言えること
休みの日、おとうさんいない、実家にも帰らない、特に行くとこない。
だったら、どうしますか?
私は、ツタヤへいきます。
結構、多数派だと思っています。知り合いに会うし。別に、ゲオでもいい
ですけど。
ツタヤへ行っても、自分のものは借りません。子ども達の見るもの。その
間、私は昼寝する。夜間の平均睡眠時間5時間の生活は、30分とか1時間
のお昼寝ができるかできないかで、その日の体調が大きく変わったりもする
のです。
さて、その日は、マナトがいませんでした。お年頃のマナトは、おとうさ
んと二人で男の付き合いをしてることも多いのです。思いっきりスキーした
り、試合で遠征したり。
でも、大丈夫、そんなとき、コトコはカイトにとても従順なのです。いつ
もは、マナトをバックに、生意気な口ばっか叩いてるくせに。
その日も、二人仲良く、サンリオの棚を見ていました。カイトも、サンリ
オのアニメが大好きです。
でも、コトコがなかなか決められない。サンリオやめて、ポケモンの棚に
移ります。そこで、小学1年生くらいの男の子から、声をかけられました。
「プリキュアなら、こっちだよ」
10年後なら、完全にナンパです。
コトコ、無視はしてない。彼の方を見るけど、そっちには行きません。プ
リキュア、特に見たくないもん。プリキュアに反応しないコトコに、彼は今
度はディズニーの棚に移ります。
「これは?これは?」
いかにも女の子の好きそうなお姫様のついた、「魔法にかけられて」のジャ
ケットを見せます。これにも反応なし。
「これも、女の子のアニメだよね」
今度は「ふたご姫」。コトコ、ようやく口を開きます。
「昔、見たから」
以前は大好きだったけど、特にメジャーじゃないし、2年くらいで終わっ
ちゃったしね。
コトコの反応がぱっとしないので、ターゲットはおかあさんになります。
「俺、これ、持ってるよ」
と、「レミーのおいしいレストラン」を指差す。
「へー、そうなんだ」
応えると、
「これも、これも、これも…」
随分、DVD持ってます。お母さんの気持ちが、わかる気がしました。多分、
DVD見てる間はおとなしいんじゃないかな。そうでないと、ずっとしゃべっ
てるとか。
延々と、自分の所有するDVDを提示し続ける彼を見てると、ちょっと、
お友達?という気にもなりました。
コトコのDVDは、まだ決まりません。
「プリキュア、とってあげる」
あくまでも、女の子にはプリキュアの彼。踏み台を持って来て、上の方の
DVDをとってくれようとします。でも、組み立て式の踏み台、足が一本出て
いません。
「あぶねっ!ちょっと、待って。足、出てねえじゃん」
私の悪いところは、日常において子どもとの接触が多いために、よそのお
子さんにぞんざいな口をきくことです。
そして、構わず上ってしまったその子を抱えて、
「だから、危ないって」
と言った途端、
「自分でやりますから」
それまで、近くで、全然知らん顔してた女性が、彼に訊きました。
「どれがほしいの」
「俺がほしいんじゃない」
「あ、そう」
それだけ。
年齢からすると、お母さんではなく、おばあちゃんではないかと思います。
そんな近くに保護者がいらしたなんて。油断した。
「嫌だった」
帰り道、コトコが言いました。
知らない男の子から、話しかけられるのは、嫌だったのだそうです。
「だったら、嫌って言ってもいいんだよ」
「いい子は、そんなこと言わないんでしょう?」
「そうだね。例えば、自分で選びたいから、って言うとか」
「でも、みんなとなかよくしないといけないんでしょう?」
「ううん、嫌なことは、嫌って言えることも大切」
「そうかなあ」
きっと、幼稚園ではみんなと仲良くしましょうが、お約束なんでしょうね。
確かに小さいうちは、好き嫌い言わない方がいい。
でも、この先、嫌なことは嫌とはっきり言うべきシーンも出てくると思い
ます。それが言えることは、とても大切。特に、女の子だったり、カイトみ
たいに人の言いなりになりがちなタイプは。
言ってもだめなときには、手を振り払ったりできることもね。
小さいうちは、全面的ないい子を要求されるもの。そこから、どうやって
抜け出して行くか。コトコにも、その時期が近付いて来たようです。
でも、手を振り払うことを覚えるのは、カイトの方が先かな。コトコは強
いから。
傷つけたくなくても、傷つけないではいられない、そんな状況が、これか
ら出てくるからね。大人は、そういうものだから。
例えば、、心を動かしてくれない人から、好きって言われたって、好きには
なれない、絶対に。
だから、自分の気持ちに正直になることを、きちんと覚えようね。
まあ、コトコは、ほんとの恋をする頃には、たいていの男より、強くなっ
てそうだけどなあ。
◇◆堀田あけみ先生の略歴
1964年 愛知県生まれ。
1981年、「1980アイコ十六歳」で文芸賞を受賞、文筆活動に入る。
その後、名古屋大学教育学部に入学、卒業後、同大学院教育心理学科に進学。
専攻は、発達心理学・学習心理学。特に、言語の理解および産出のプロセス。
現在、椙山女学園大学・中京大学で非常勤講師を勤める。
【主な著書(現在、入手可能なもの)】
「わかってもらえないと感じたときに読む本」「おとうさんの作り方」(海竜社)
「十歳の気持ち」(佼成出版社)、「唇の、することは。」(河出書房新社)
「泣けてくるじゃない」「あなたの気持ち」(角川書店)
「マナティ 夢の人魚」「大草原のプレーリードッグ」(共著、七賢出版)
「White Smile」(共著、ワニブックス)
「発達障害だって大丈夫?自閉症の子を育てる幸せ」(河出書房新社)
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小児科医 宮地泰士せんせいの「子育て応援エッセイ」 第37回
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◇◆手をかけ 心をこめて 愛情がわく
この言葉はあるお寺の前を通りかかった時に、その境内の看板に書かれていたも
のを偶然見かけたものです。
何気なくこの言葉を読んだ時、私は「おやっ?」と思いました。
通常なら愛情があるから手(間)をかけたり心を込められるのではないかと思う
のですが、ここに書かれている順番は逆だったからです。
もちろん愛情があるから手(間)をかけたり心を込めることができるという考え
も正しいわけで、これはどちらが先というよりお互いに影響し合い循環するものな
のでしょう。
外見や立ち振る舞いをそれらしくすることで次第に内面もそれに合わせて充実し
てくることを「まずは形から。」などと言ったりしますが、この看板の言葉はそれ
と同じことを言っているのかもしれません。
そのように考えると、親は最初から“親”なのではなく、子育てに手(間)をかけ
心をこめていく過程で次第に“親”になっていくものであり、まず手(間)をかけ
心を込めていくことは、親子の理解と愛情を実らせるために必要なことなのかもし
れません。
それに親としてはあまりにも手(間)がかかる時はついイライラしてしまうことも
ありますが、逆にあまりにも手(間)がかからないと、それはそれで寂しかったり
かえって不安になってしまうものではないでしょうか。
ある程度手(間)がかかること、手(間)をかけることは親子にとって大切なこと
なのですね。
◇◆宮地泰士(みやち たいし)先生の略歴
平成7年3月 名古屋市立大学医学部 卒業
同年4月 名古屋市立大学病院小児科 入局、勤務
平成12年4月 医学博士号 修得
平成15年4月 名古屋市児童福祉センター 勤務
平成18年7月 子どものこころの発達研究センター 勤務
現在に至る
【著書】
・可能性のある子どもたちの医学と心理学(共著)
(ブレーン出版 石川道子、辻井正次、杉山登志郎 編著)
・直ぐに役立つ発達障害の診断とサポート(共著)
(東海小児心身医学研究会 発行)
◇◆子育てに難しさをお感じのおやごさん、専門家のみなさんを対象に、
全国的に発達支援に関するセミナーを開催しています。
詳細に尽きましては、順次、当会ホームページにてお知らせ致します。
http://www.as-japan.jp/j/index.html
◇◆「専門情報誌」アスペハート誌のご紹介
アスペハート誌は子育てに難しさをお感じのおやごさんたちに、専門的で
先進的な知見をご紹介する専門情報誌です。発達支援に関わる多くの最新情報を
掲載しています。詳細に尽きましては、当会ホームページをご覧ください。
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