2009.05.01
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  NPO法人アスペ・エルデの会「楽しい子育て応援団」です

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いきいきとした若葉の季節ですね。
でも、ちまたでは「五月病」なんて言葉も聞かれます。
新しい環境には、ゆっくりと馴染んでゆけばいいんですよ?。
あせらない、あせらない!まだスタートしたばっかりですもんね?。


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 堀田あけみ先生の「子育て応援エッセイ」 第36回
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◇◆おとうさんの試練
                      

 4月から、肩書きが変わりました。長い浮き草暮らしを終えて、椙山女学園大
学国際コミュニケーション学科の専任教員になりましたので、忙しいです。
 でも、忙しいって、文句言っちゃいけないと思います。以前より、
「また、お仕事?お仕事大嫌い!」
 というオハラ家の子ども達には、お仕事が沢山あるのは大変だが、全然無いの
は、比べものにならんほどえらいこっちゃ、と教えてきました。楽なお仕事なん
て、ありませんよ。それに、大学の先生って、かなり自由な職種だと思います。
とりあえず、時間厳守で出勤して、タイムカード押す必要はありませんから。私
は、講義を1時間目ばっかりにしてるから、朝はきっちり出勤しますが。
 さて、私が定職を得て、大喜びしたのは、おとうさんです。これで、経済的な
基盤がしっかりして、安心できるって。ぼくだって、できるだけのことするから、
あけみちゃん、頑張ってね。
 しかしですね、現実は、おとうさんの想像より、過酷だと思いますよ、と予告
はしておきました。その現実は、私がずっと直面してきたものです。さらに、相
方がまったく不在で、ちょっとお迎えだけ行ってくれたらいいからさあ、という
手が使えなかったり、実家の母に頼って、家の中のゴミ屋敷っぷりを説教された
りという状態には、おとうさんは陥りません。でも、日常生活のプレッシャーに
は意外と惰弱なおとうさんなのでした。過酷な自然状況は、楽しめたりすらする
のにね。

 4月1日、辞令交付式の日から、私は大学にいましたが、子どもたちは、まだ
春休みです。一日、家にいる。お昼ごはんも食べる。昼ごはんは、結構外食続き
だったようです。最近、子ども達がしっかりしてきたことを見越して、おとうさ
んは私の留守でも仕事場にいるようになりました。でも、リビングで声とかなん
かの気配があったら、放ってはおけません。かくして、子どものことはよおく知
っていたつもりのおとうさん、意外とそうでもなかった自分を見つめなおすので
した。
「30分に1回くらい、喧嘩するんだよ、こいつら」
 そうですよ。
「朝食べたら、すぐお昼で、お昼食べて、ちょっとなんかしたら、おやつなんだ
よ、子どもの一日って」
 はい、その通り。
 ようやく、子ども達も昼間はそれぞれの持ち場につくようになったら、おかあ
さんが、お泊りで新入生の学外研修を引率することになりました。実際は、学生
スタッフが、ほんとにしっかりしきってくれるので、おかあさんはむしろ、引率
されてますけど。
 研修先では、久し振りに、一人で温泉に入りました。長男が生まれてから12
年、ずっと誰かと一緒でした。それは、楽しいけど、ゆっくりは浸かれません。
 手足伸ばして、温泉入って、一人でお布団に寝て。
 でも、帰ったら、部屋の中は、大惨事だろうし、洗濯物もたまってるんだよな。
おとうさんは、子どもの世話さえ最低限しとけば、という方針に最近なったので。
以前は、遊ぶほうには熱心で、相手してくれてたんですが。いずれにせよ、おか
あさんが毎晩、子どもが寝た後にする、部屋の整理と掃除はしない。お洗濯もし
ない。
 ところが、戻ったら、部屋はそれほど散らかっていませんでした。これは、子
どもたちが散らかすような遊び方を、たまたましなかったからです。でも、お洗
濯物が干してありました。
 ちょっと、感動しました。
 今までと、違うんだなって。
 大丈夫、頑張るからというおとうさんを、私はあまり信じていませんでした。
きっと、今まで通りだろうって。ほんとは、もっと頑張ってほしいけどって。で
も、改めてフルタイムで働こうというおかあさんを支えてくれる気があったんで
すね。
「お洗濯、ありがとうございました」
「あ、自分の水着、洗いたかったんで」
 そういうオチでしたか。
 最近、ちょっとリバウンドしちゃったおとうさん、ダイエット再開ですので。
 でも、途中で飽きたり、手を抜いたりしながら、きっと頑張ってくれると思い
ます。そうしているうちに、いつのまにか、子育ては終わっていくんでしょう。
 家族は、終わらないけどね。

◇◆堀田あけみ先生の略歴
 1964年 愛知県生まれ。
 1981年、「1980アイコ十六歳」で文芸賞を受賞、文筆活動に入る。
 その後、名古屋大学教育学部に入学、卒業後、同大学院教育心理学科に進学。
 専攻は、発達心理学・学習心理学。特に、言語の理解および産出のプロセス。
 現在、椙山女学園大学・中京大学で非常勤講師を勤める。

【主な著書(現在、入手可能なもの)】
 「わかってもらえないと感じたときに読む本」「おとうさんの作り方」(海竜社)
 「十歳の気持ち」(佼成出版社)、「唇の、することは。」(河出書房新社)
 「泣けてくるじゃない」「あなたの気持ち」(角川書店)
 「マナティ 夢の人魚」「大草原のプレーリードッグ」(共著、七賢出版)
 「White Smile」(共著、ワニブックス)
 「発達障害だって大丈夫?自閉症の子を育てる幸せ」(河出書房新社)

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   小児科医 宮地泰士せんせいの「子育て応援エッセイ」 第36回
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先日ラジオを聴いていると、子どもに絵本を読む時のコツについてこんなことが話
されていました。
「絵本を“読んであげている”という風に読むと、読み手の(つまらない。)という
気持ちが子どもに伝わって、子どもは物語に集中できずつまらなくなります。だから
読み手が面白いと思うものを子どもと一緒に楽しむつもりで読むこと。絵本の種類や
読み方の上手下手よりも、読み手の感情が物語に入っているかどうかが大事。“読み
聞かせる”のではなく“読み語る”ことがコツです。」
 
また子どもが感性豊かに育ち共感性や社会性が育まれるためには、周囲の大人達が
自分達の感性を語り、子どもの感情を察して代弁してあげることが大切であると言われ
ています。 

子育てにおいて親が様々な場面で湧き上がる感情を子どもにとって分かりやすく、
そして受け入れやすく伝えることは大変重要であると思います。そして子育ても“し
てあげている”という気持ちでいるとそれが子どもに伝わって、子どもは成長に集中
できずつまらなくなり、お互いに物事が思うように進まなくなるでしょう。育児はい
ろいろ大変な面もありますが、せっかくなのですから子どもの失敗や成長を一緒に楽
しむつもりでやりたいものです。絵本と同様に子育てについてもやり方の種類や上手
下手よりも、育て側の気持ちがどのように込められ子どもに語られるのかにコツがあ
るのかもしれませんね。

◇◆宮地泰士(みやち たいし)先生の略歴
 平成7年3月  名古屋市立大学医学部 卒業
 同年4月    名古屋市立大学病院小児科 入局、勤務
 平成12年4月 医学博士号 修得
 平成15年4月 名古屋市児童福祉センター 勤務
 平成18年7月 子どものこころの発達研究センター 勤務
 現在に至る

 【著書】
 ・可能性のある子どもたちの医学と心理学(共著)
   (ブレーン出版 石川道子、辻井正次、杉山登志郎 編著)
 ・直ぐに役立つ発達障害の診断とサポート(共著)
(東海小児心身医学研究会 発行)

◇◆子育てに難しさをお感じのおやごさん、専門家のみなさんを対象に、
 全国的に発達支援に関するセミナーを開催しています。
 詳細に尽きましては、順次、当会ホームページにてお知らせ致します。
   http://www.as-japan.jp/j/index.html

◇◆「専門情報誌」アスペハート誌のご紹介
 アスペハート誌は子育てに難しさをお感じのおやごさんたちに、専門的で
 先進的な知見をご紹介する専門情報誌です。発達支援に関わる多くの最新情報を
 掲載しています。詳細に尽きましては、当会ホームページをご覧ください。
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