2008.12.01
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NPO法人アスペ・エルデの会「楽しい子育て応援団」です
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今年も最後の1ヶ月となりました。
このメルマガが、みなさんとって、楽しい子育ての手掛かりのひとつに
でもなれば幸いです。ご愛読いただきありがとうございます。
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堀田あけみ先生の「子育て応援エッセイ」 第31回
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◇◆顔面一本
年中、あちこちで講演している堀田ですが、秋から冬は特に多いです。テーマは
子育て、特に障害児を持つ親についてが、圧倒的。そうなると、主催者さんは拙著
「発達障害だって大丈夫」で予習をしておこうと思われるようですな。幸い、いつ
も「いいお話でした」と言っていただきます。最近では、例外が一回だけあって、
ある中学校で保護者向けの講演をした後、校長先生から「もっとこういう内容にし
てほしかった」とクレームがつきました。教頭先生と打ち合わせたとおりの内容に、
そんなこと言われても困る。観察していると(この辺が、堀田のやらしいとこなん
ですが)、校長と教頭の仲が悪いんだな、どうやら。そんなことに巻き込まれたら、
ますます困る。まあ、おおむねご満足はいただけているようで、安心しております
が、あえて言うならと、物足りない点を指摘される方もいらっしゃいます。
「コトコちゃんの話題があまりありませんでしたね」
まあ、ストレートにいうと、コトコ、障害ありませんからね。いいネタは持って
んですけど。
やはり、本に出てくる、「まわちげりっ!」「かかとおとちっ!」が印象深いよ
うです。当時は、言ってるだけでしたが、今や、踵落としはまだできないものの、
回し蹴りで技ありくらいはとるようになっちゃいました。
先日も、アスペ・エルデの会の中でも、知的障害を伴うタイプの子どものグルー
プ、「ゆっくりクラブ」の会合で、学生スタッフのおにいさん、おねえさんに一生
懸命お話していました。
「コトコ、この前、顔面で一本取ったの」
正確に言うと、顔面攻撃は反則なので、側頭部です。どうも、コトコには、頭囲
ぐるっと、顔面のようです。
「すごいね、どうやって?」
「上段のまわちげり」
おしゃまなこというようになった5歳児ですが、滑舌はいつまでも心もとないです。
「他には何か出来る?」
「せいけんちゅうだんづき」
「どやってするの?」
「みぞおちに、えいって」
そこで、ツジイ先生から、
「おにいさんに、やっていいよ。でも寸止めね」
との許可がおりたのですが、コトコはフルコンタクト育ちなので、寸止めをしりま
せん。聞いたことすらないと思います。だから、型だけ。攻撃なし。5歳女児だと思
って見くびったら、比喩でなく怪我する可能性ありです。
文武両道のコトコは、踵落としに、正拳、金的、鳩尾、黒帯、総合格闘技、エベル
トン・ティシェイラと、豊かな語彙を誇っておりますが、WISK?R検査には絶対
出てきません。
でも、相変わらず、乙女なコトコでもあるのです。お花や、ハートや、りぼん、ぬ
いぐるみが大好きです。幼稚園は私服ですが、規則でスカートがはけないため、お休
みの日は絶対、シャーリーテンプルです。もちろん、私が買ったんじゃありません。
お下がりです。
そして、私、母として、この乙女な部分を死守してまいりたいと思っております。
骨格からして、将来的に華奢な少女に育つ可能性は零。この際、断言します。そ
れで、空手が強いとなったら、女子はともかく、男子はかかわりたくなくなるじゃな
いか。今から、好みの男にはとことん尽くす、健気なコトコが男に縁が無いなんて、
かわいそ過ぎます。お兄ちゃんの友達が家にいるとき、どうでもいい子がトイレに行
くのは気にも留めないのに、好みの子だと、「こちらでしゅ」と誘導して、便座まで
上げるんですよ。
「コトコ、尽くしすぎる女は、不幸になるからやめなさい」
「そうだよ、うんこしたかったらどうすんだよ」
痛くない程度に、可愛げのある少女を目指して、母は頑張ります。バレンタインデ
イに、目をあわせてもらえないような子に、ならないように。そして、コトコは、お
手伝いなんでも大好き、お料理もお洗濯もお掃除も、とっても上手、編み物だって少
しならできますよ、という子になっております。よし、その調子だ。
現在、我が家の課題の一つが、年明けの試合にコトコを出すかどうか。ほとんどの
子が出場する、大切な試合なのです。でも、幼年部は20キロからが重量級。コト
コ、21キロなんです。
私は、出さなくてもいいと思ってます。だって、年長さんの男の子ばかりのクラス
に出したら、5秒で負けるに決まってます。
「そういうことも、大切よ。特に、今のコトコにはね」
最近、送り迎えもお風呂も、「おかあちゃんがいいの。おとうちゃんは嫌!」と言
われっぱなしのおとうさんの主張でした。
◇◆堀田あけみ先生の略歴
1964年 愛知県生まれ。
1981年、「1980アイコ十六歳」で文芸賞を受賞、文筆活動に入る。
その後、名古屋大学教育学部に入学、卒業後、同大学院教育心理学科に進学。
専攻は、発達心理学・学習心理学。特に、言語の理解および産出のプロセス。
現在、椙山女学園大学・中京大学で非常勤講師を勤める。
【主な著書(現在、入手可能なもの)】
「わかってもらえないと感じたときに読む本」「おとうさんの作り方」(海竜社)
「十歳の気持ち」(佼成出版社)、「唇の、することは。」(河出書房新社)
「泣けてくるじゃない」「あなたの気持ち」(角川書店)
「マナティ 夢の人魚」「大草原のプレーリードッグ」(共著、七賢出版)
「White Smile」(共著、ワニブックス)
「発達障害だって大丈夫?自閉症の子を育てる幸せ」(河出書房新社)
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小児科医 宮地泰士せんせいの「子育て応援エッセイ」 第31回
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「気がついたらもうこんな時間」、「もうこんなに月日が経ってしまった。」と、大
人になると時の流れを早く感じるようになりますね。振り返ってみると、自分が子ど
もの頃に感じていた時間の感覚が大人になるにつれて変わってしまったような気がす
ることはありませんか。
よく「子どもがさっき叱られたばかりなのにすぐケロリとして遊び出すので余計腹
がたった。」というお話を聞くことがあります。親としては子どもを怒るということ
はそれだけ真剣なわけですから、あまり素早く立ち直られると何だか自分の真剣さが
伝わらなかった気がして怒れてくるのでしょう。しかし先に述べたように大人と子ど
もでは時間の流れ方や感じ方が違うのかもしれませんね。こちらにとっては「まだつ
いさっき。」でも、子どもにとっては十分な時間なのかもしれません。
また逆に大人の私達からすると短時間で十分なことでも、子どもにとってはたくさ
ん時間が必要なこともあるのでしょう。「もう十分でしょ。」、「いつまでそんなこ
とをしているの。」などとつい子どもに言ってしまったことがある方もみえるのでは
ないでしょうか。でもそれはこちらの感覚であって、子ども自身の感覚ではないわけ
です。
同じことは子どもの成長や学習についても言えるのではないでしょうか。
お互いをよく知るということは、お互いに必要な時間の流れを理解することなのか
もしれませんね。
◇◆宮地泰士(みやち たいし)先生の略歴
平成7年3月 名古屋市立大学医学部 卒業
同年4月 名古屋市立大学病院小児科 入局、勤務
平成12年4月 医学博士号 修得
平成15年4月 名古屋市児童福祉センター 勤務
平成18年7月 子どものこころの発達研究センター 勤務
現在に至る
【著書】
・可能性のある子どもたちの医学と心理学(共著)
(ブレーン出版 石川道子、辻井正次、杉山登志郎 編著)
・直ぐに役立つ発達障害の診断とサポート(共著)
(東海小児心身医学研究会 発行)
◇◆子育てに難しさをお感じのおやごさん、保育士、教育関係者など
専門家のみなさんを対象に、全国的に発達支援に関するセミナーを
開催しています。
詳細に尽きましては、順次、当会ホームページにてお知らせ致します。
http://www.as-japan.jp/j/index.html
◇◆「専門情報誌」アスペハート誌のご紹介
アスペハート誌は子育てに難しさをお感じのおやごさんたちに、専門的で
先進的な知見をご紹介する専門情報誌です。発達支援に関わる多くの最新情報を
掲載しています。詳細に尽きましては、当会ホームページをご覧ください。
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