2008.02.01
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   NPO法人アスペ・エルデの会「楽しい子育て応援団」です

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インフルエンザや胃腸風邪、お母さま方にとって、一年の中で最も
体調管理に頭が痛い季節です。たっぷりの栄養をとって、乗り切りたい
ものですね。そうそう、メルマガでホッと一息しませんか!
今月も“堀田家の楽しい様子”や“小児科医 宮地ドクター”からは
ワンポイントアドバイスも♪


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堀田あけみ先生の「子育て応援エッセイ」 第21回
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◇◆サンタさんは来ない
                      

 嘘はいけません。
 今日も、4歳の娘から質問されました。「嘘ついたら、おまわりさんに捕まるの?」
 しかし、親がみんなうそつきになる季節がある。
 みなさま、クリスマスはいかがでしたか?
 うちは、カイトにばれました。サンタさんはいないってことが。サンタさんにお願
いした玩具が、車のトランクにあるのを、見つけたんですね。親は速攻、隠し場所を
変えました。ぐれました。
 そりゃそうだよな。一人分ならまだしも、三人分まとめて、リクエスト通りのもの
があったんだから。で、風が冷たくなる頃から、おかあさんの決まり文句は、
「そんなことしてると、サンタさん来ないかもよ」
 だったから、騙された、と思うわ、そりゃ。玩具えさに、いい子にさせようとして
たんだもんな。
 で、俺達は騙されてるんだ、と同志達に伝えたかったんだと思う。だから、おにい
ちゃんに言いました。
「サンタさん、来ない」
「縁起でもねえっ」
 そうだねえ。サンタさんは、ほんとうはいなくて、おとうさんが買ってきてたんだ
って、その証拠に、おとうさんの車のトランクに入ってるって言いたくても、それを
伝える言葉を、君は持ってない。
 らっきー。
 この際、そう言っておきましょう。

 さて、ぐれたカイトはどうしたでしょう。
 けして、頭が悪いわけでもないのよ、この子は。
「アンパンマンがちゃころりんいらない」
 と言い出した。
「どきどきアンパンチ欲しい」
 つまり、本物だったら、ほんとに欲しいものくれるだろってことです。
「どきどきアンパンチ欲しいの?群馬のおばあちゃんに買ってもらおうね」
「いやだ。サンタさんにもらう」
 可愛いものなので、気長に対処していましたが、50回くらい言われると、流石に
いらいらしますな。
「そんなこと言ってると、サンタさん、カイトの分だけプレゼント捨てちゃうよ」
 なんて言っても、カイトは動じません。
「ぽいだ」
 とものを捨てる動作をして、不貞腐れている。黙っていられないのは、マナトとコトコで、
「僕達の分は大丈夫?」
「いい子にしてたらね」
「カイトの、どこに捨てられたの?」
「バルト海あたり。今頃、お魚さんが遊んでます」
 以来、カイトの口癖は、「ちがう」「そうじゃない」、何かするように言われる
たび、「しないもん」。
 
 さて、クリスマスイブ。子ども達が寝付くと早々に、おとうさんがうきうきと登場します。
「プレゼントの用意は?」
 ちなみに、4ヶ月で117キロから77キロへの減量をしたおとうさん、この時期
、食べるものが違うから、食事もほとんど別、スポーツクラブが生活の中心で、そこに
入りびたり、カイトの肥満を解消するために、トレーニングするとかいいながら、2
・3回でやめて、自分のトレーニングに飛んでいくという生活で、家での存在感はほ
とんどありませんでした。子どもとも接してないから、子どもが良くわかってない。
「今は駄目だよ」
「なんで」
「私、今日、3時くらいまで仕事したいもん。それまでに、子ども起きてくるかもしん
ないもん。ここに荷物あったらまずいじゃん」
 私、正解。
 カイト、寝ないのなんのって。
 もともと、起きやすい子です。でも、いつもはすぐにまた寝付きます。でも、
この日は1時くらいに起きてきて、全然寝ない。
 とりあえず、寝室に入るように言って、急いで用意をし、いつもは枕元におくプレ
ゼントを窓際に置きました(サンタさんは窓から来るという設定)。居間の電気を消
して、隣接する和室に入ります。カイトをしっかり抱きしめて、一緒に寝ようねと言
うと、すぐに寝息が聞こえました。
 そして、翌朝ってか、待ちきれなくて起きたマナトにつられて早く起きたから3時
間後、彼は、「アンパンマンのがちゃころりん」で夢中で遊んでいました。いらない
って言ってたのに、目の前の玩具には勝てなかったようです。

 マナトは、そろそろ疑問を抱き始めています。友達が、サンタさんは本当はお父さ
んだと言い始めています。薄目を開いて見ちゃったとか、お正月のトイザらスで、サ
ンタさんにもらったはずのプレゼントを見た親が、
「クリスマス前の半額だがや」
 と憤慨したとか。
 探りを入れるように、私にそんな話をするマナトへの答えは、
「信じない子のところには、サンタさん、来ないからねえ。大丈夫、サンタさん
が来てくれなかったら、おかあさんがなんか買ってあげるよ」
 でも、サンタさんにもらったほうが、楽しいので、信じることにするみたいです。

 ただねえ、いつまでも信じっぱなしってのも痛いという真実があります。
 大学の教え子で、いるんです。クリスマスの枕元には、腕時計やネックレスがある
らしい。いつ、知らせるんだ。一生そのままか。結婚したら、だんなさんは、子ども
とヨメの枕元にプレゼントか。
 となると、カイトがここで決定的な証拠によって、真実を知ったのは、良かったの
かもしれません。この先、なんとなく空気読んで、そういうもんやな、と思うこ
とは、やはり難しいと思うので。不可能だとは思いませんが。
 とりあえず、子ども達は大人のところにサンタさんが来ないのは知っています。お
とうさんとおかあさんは、お互いのプレゼントをお店で買ってるし。
「いつから、サンタさん来なくなるの?」
 やっぱりしんじられなくなっちゃったらね。
  
                      
◇◆堀田あけみ先生の略歴
 1964年 愛知県生まれ。
 1981年、「1980アイコ十六歳」で文芸賞を受賞、文筆活動に入る。
 その後、名古屋大学教育学部に入学、卒業後、同大学院教育心理学科に進学。
 専攻は、発達心理学・学習心理学。特に、言語の理解および産出のプロセス。
 現在、椙山女学園大学・中京大学で非常勤講師を勤める。

 【主な著書(現在、入手可能なもの)】
 「わかってもらえないと感じたときに読む本」「おとうさんの作り方」(海竜社)
 「十歳の気持ち」(佼成出版社)、「唇の、することは。」(河出書房新社)
 「泣けてくるじゃない」「あなたの気持ち」(角川書店)
 「マナティ 夢の人魚」「大草原のプレーリードッグ」(共著、七賢出版)
 「White Smile」(共著、ワニブックス)
 「発達障害だって大丈夫?自閉症の子を育てる幸せ」(河出書房新社)


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   小児科医 宮地泰士せんせいの「子育て応援エッセイ」 第21回
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「赤いボールを想像してはいけません!」
こう言われた時赤いボールを全く思い浮かべなかったという人はいません。むしろ赤
いボールをより詳しく想像してしまった人もいるでしょう。
 よく子育てにおいて「?してはいけません」という否定的な言い方よりも「○○し
てね」という声かけの方がよいと言われるのには理由があります。
 ひとつはたとえそれが正論でも自分のしていることを否定されるのは気持ちのいい
ことではありません。あれもこれも否定され続けるとピリピリしたりオドオドして、
やがてやる気や自信も失っていきます。もうひとつが先ほどの例で示したように、
「?してはいけません」という言い方は一回やってはいけないことを想像してからそ
れを打ち消さなくてはならないということです。そうするとむしろやってはいけない
ことをもっと想像してしまうことがありますし、それを消したとしても結局どうした
らよいのかは何も分からないままです。
 「○○してね」「○○した方がいいよ」と言う時にはポイントが2つあります。ひ
とつは○○するとどんな良いことがあるのかを付け加えるといいこと。もうひとつは
○○した方がいいと替わりの行動を提案するのですから、子どもの状況や気持ちを察
することで、より適切な行動を伝えてあげられるということです。
 本来はその子のためを思ってのことなのですから、その気持ちがきちんと伝わるよ
うな言い方にも気を配りたいものですね。


◇◆宮地泰士(みやち たいし)先生の略歴
 平成7年3月  名古屋市立大学医学部 卒業
 同年4月    名古屋市立大学病院小児科 入局、勤務
 平成12年4月 医学博士号 修得
 平成15年4月 名古屋市児童福祉センター 勤務
 平成18年7月 子どものこころの発達研究センター 勤務
 現在に至る

 【著書】
 ・可能性のある子どもたちの医学と心理学(共著)
   (ブレーン出版 石川道子、辻井正次、杉山登志郎 編著)
 ・直ぐに役立つ発達障害の診断とサポート(共著)
(東海小児心身医学研究会 発行)

◇◆子育てに難しさをお感じのおやごさん、専門家のみなさんを対象に、
全国的に発達支援に関するセミナーを開催しています。
詳細に尽きましては、順次、当会ホームページにてお知らせ致します。
 http://www.as-japan.jp/j/index.html

◇◆「専門情報誌」アスペハート誌のご紹介
アスペハート誌は子育てに難しさを御感じの親御さんたちに、専門的で
先進的な知見をご紹介する専門情報誌です。発達支援に関わる多くの最新情報を
掲載しています。詳細に尽きましては、当会ホームページにてご覧ください。
http://www.as-japan.jp/j/heart/heart.html

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