2007.10.01
◆◆◆◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◆◆◆

    NPO法人アスペ・エルデの会「楽しい子育て応援団」です

◆◆◆◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◆◆◆

■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    堀田あけみ先生の「子育て応援エッセイ」 第17回
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
◇◆風になった?
 先月、ちょっと触れたんですが、父が亡くなりました。
 先月の原稿かいてる時点で、死ぬこと想定したら、縁起悪いもんな、という自主
規制が働く状況だったので、速かったです。でも、今日か明日かって言われてから
2週間保ったので、その間に一杯泣いて、心の準備も出来ちゃって。苦しい時間が
短くてよかったと、思うようにしています。
 心が決まってから、一番の気がかりはカイトでした。
 おじいちゃんが本当に本当に大好きなカイトです。やせ細って、死相が浮かんだ
父に、笑いながら駆け寄って、
「おじいちゃん、早く良くなってね。一緒にお風呂に入ろうね」
 といい続けたのは、この子だけです。他の子は、泣けてしまって、遠くから見る
のがやっとでした。父も、最期まで、カイトの声には、よく反応して、手を動かし
てくれたので、手を握らせて帰ってきました。
 今は、会える。
 でも、こんな状態にも会えなくなったら、どうするのか。彼は、死を理解できる
のか。
 葬儀の場で、
「おじいちゃん、起きて、起?きーて」
 とやらかすのではないか。
 何度も何度も、おじいちゃんどこ、と訊くのではないか。
 いろいろと、考えていたものです。
 でも、彼には、わかっているようです。
 棺の窓を開けて、何度も何度も、父を覗き込み、何かを話しかけていましたが、
窓を閉めるときには、合掌していました。
 通夜も葬儀も拾骨も、おりこうにしていました。
 実家は、曹洞宗なので、葬儀の際に、シンバルみたいな楽器をじゃんじゃん鳴ら
しますが、それにも動じず。出棺の時には、静かに涙を流していました。
 何度も何度も、ハンカチで、
「おかあさん、泣かないで」
 と、涙を拭ってくれました。
「おじいちゃんの病院に行く」
と言い出したときには、やっぱりわかってなかったのかと思いましたが、
「もう病院にはいないよ」
 と答えたら、矢継ぎ早に訊いて来ました。
「いなくなっちゃった?燃えちゃった?もう終わり?風になった?」
 私は、泣いて答えられなかったけれど、それ以来、彼はもう、祖父を探そうとは
しません。
 それにしても、「風になった」ってのは、彼らしくない台詞です。そんな抽象的
なこと、よく言えたもんだ。そもそも、「千の風になって」を聴いて、意味を理解で
きてたのか。あの歌詞が、八事で見た一面の墓石と繋がるとしたら、たいしたもの
です。
 でも、やっぱり、抽象的・間接的な表現は苦手かな。
 特に、「死」には、そういう表現がつきものですよね。星になった、遠くへ行った。
天使になる、神様になる、仏様になる、天国へ行く、あっちへ行く、彼岸へ行く、
三途の川を渡る、長い旅に出る、帰らぬ旅に出る。
 ちょっと混乱するかも。
 彼は、位牌を持ち帰ろうとしたんですよ。すごく不自然に隠してたので、すぐば
れました。
 父は8人兄弟で、年が近くて結構似てる。おじいちゃんそっくりのおじいさんが
一杯。誰かが、位牌を触って、
「カイト、じいちゃん、こんなもんになってまって、いかんな。早すぎるって怒ったれ」
 と言ったのです。
 これが、じいちゃんだと、思っちゃったかな。
 でも、その後は、特に変わったこともなく。
 大好きなおじいちゃんちに行ったら、ちゃんとお参りをしてから遊んでいます。
 わかってるんだと思います。誰も教えられないけど、わかってくれたんだって。
 そして受け止められてもいる。事実と向き合えてると。
 カイト、えらいぞ。ほんとに偉い。
 おかあさんは、まだ、ちょっと駄目ですよ。
 
◇◆先月のエッセイでお父様の病状を書いていらしゃいましたが、
その後お亡くなりになられました。堀田先生のお父様のご冥福をお祈り申し上げます。                        

■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   小児科医 宮地泰士せんせいの「子育て応援エッセイ」 第17回
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
 あるお母さんが言っていました。
「子どもが寝ぐずりで泣いていると、ああこの子は眠たいのにねむれなくて困って
いるんだと思う。」と。
 子どもが激しくぐずったりすると、親としては正直つらいと思います。
でもそこでイライラしても、子どもの機嫌は余計に悪くなりますし、自分自身も
ますます憂鬱になっていいことなんて何一つありません。
「ああ、この子もつらいのかな。」と思いやり、あやしたり世話をしながら一緒に
過ごしてあげられると、その時間は親子にとっては意味のある時間になるのでしょう。
同じように子どもが失敗をしてしまった時、「何やってるの!」と言いたくなること
もありますが、(一番困惑しているのは子どもの方かもしれない。)と思うと励まし
たり優しく手を差し伸べてあげることができるでしょう。
 人は自分の考え方ひとつで幸せにもなるし不幸にもなるといわれます。親子の関係
や子育ても同じなのでしょう。
 でも現実にはそう簡単なことではないですよね。
「分かってはいるけれどつい・・・。」というのが本音だったりもします。
前にもご紹介したように“育児は育自”ですから、子どもとともに親としての自分自
身を少しずつ育てていければそれでよいのではないかと思います。
 もしも難しい子だったりままならぬ自分だとしても、それはある意味“育てがいが
ある“と言えるのかもしれません。育児(自)は前向きに考えていくことが大事ですね。

◇◆丸善名古屋栄本店にて『アスペハート』『はじめの一歩』店頭販売中
 大好評につき、期間延長!!(10月15日まで)
 通常HP上にて販売をしています「アスペハート」「はじめの一歩」を、期間限定で
 丸善名古屋栄本店にてお買い求めいただけます。お近くにお住まいのみなさま、
 この機会に是非一度、お手にとってご覧ください。
 詳しくは下記のアドレスからご覧下さい。
  http://as-japan.jp/j/file/2007/maruzen/

◇◆子育てに難しさをお感じのおやごさん、専門家のみなさんを対象に、
  全国的に発達支援に関するセミナーを開催しています。
  詳細に尽きましては、順次、当会ホームページにてお知らせ致します。
  http://www.as-japan.jp/j/index.html

◇◆「専門情報誌」アスペハート誌のご紹介
  アスペハート誌は子育てに難しさを御感じの親御さんたちに、専門的で
  先進的な知見をご紹介する専門情報誌です。発達支援に関わる多くの最新情報を
  掲載しています。詳細に尽きましては、当会ホームページにてご覧ください。
  http://www.as-japan.jp/j/heart/heart.html

◇◆「楽しい子育て応援団」へのご意見、ご感想をお待ちしています。
 heart@as-japan.jp


****************
NPO法人アスペ・エルデの会
  「楽しい子育て応援団」

  http://www.as-japan.jp/
****************


BACK NEXT

Copyright(C) 2004,Asperger Society Japan.All Rights Reserved