2007.06.01
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NPO法人アスペ・エルデの会「楽しい子育て応援団」です
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子育ては大変です。
ひとりで悩みを抱えてしまうと、ますます、負担が重く感じられます。
気軽に話せる仲間がいれば、ずっと
「楽しい子育て応援団」は、仲間がいっぱいです。
堀田先生や宮地先生の応援メッセージは、今月もパワー全開です!
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堀田あけみ先生の「子育て応援エッセイ」 第13回
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◇◆こわい話
先月、延長保育の開始が予想外に遅かったことへの対応策は、まだ考えていな
いと言ってた堀田です。対応できました。長女は、彼女が去年まで通っていた保
育園の一時預かりにお願いすることになりました。最初は、近所の方が送ってっ
てくれることになってたけど、近いので(200メートルくらい離れてるだけ)、
お迎えも行ってくださるそうです。流石だ。
いろいろ、ありがたいの一言です。
そして、こういうとき、地域の中で子どもを育てる大切さを、実感します。
さて、今月の本題です。
子どもって、好きですよね。恐い話。嫌だ嫌だと言いつつ、避けて通らない。
大人もそうか。最近のホラー映画は、半端じゃなく恐いですもんね、ビジュア
ル的には。
でも、それって、ほんとに恐いかなあ。簡単に首が飛ぶし、怪獣も出るんだけ
ど、「怪奇大作戦」の暗さや、最初のアニメ版「ゲゲゲの鬼太郎」の、うわあ、子
どもにこんなもん見せるなや、マジで的なやばさは、ない。
我が家の長男、ほんとに臆病で恐いもの嫌い。悲しいのも駄目。テレビや本見
てしょっちゅう泣いてる。
今までも、恐そうなものは避けて通ってたのですが、先日、マンガ雑誌の恐い
話を読んでしまいました。怪談物は避けてたはずなのに、ついつい。
気持ちはわかる。絵が、可愛かったんですよ。彼の好み。
で、読んじゃったけど、恐くて眠れなくなったらどうしよう、といいつつの熟
睡は、健康な子どものお約束。
そして、母も読んでみました。感想。
なんじゃ、こりゃ。
ぬるい。
虫をいじめた子が虫に仕返しされるという、道徳的なお話です。恐くないじゃ
ん。いい子にしてたらいいんですよってことでしょう。
口裂け女にしろ、トイレの花子さんにしろ、それから逃れるのに必要なのは、
知識です。ポマードっていうとかの。道徳性じゃない。
それに、虫なんてわかりやすいものでは、恐怖の対象にならん。もっと、わけ
わからんもんでしょう。トイレの中から聞こえる声とか、鏡にうつる知らない人
とか。
講義で、「物語スキーマ=物語とはこういうものだという枠組」について教える
とき、例として、学生たち自身の学校の怪談について語らせます。どこの学校で
もだいたい同じ。それは、物語スキーマにのっとって語られているから。でも、
細部に出てくるバリエーションが面白い。
例えば「○○をすると、誰々が全速力で追いかけてくる」というパターンがあ
ります。追いかけられたらたまらんけど、想像するとなぜか笑える。追いかけて
くる相手が、学校によって違います。二宮金次郎・ベートーベン・マリア様。誰
が一番嫌ですかね。私、ベートーベンは恐くない。体力なさそうだから、振り切
れると思う。やっぱり、二宮金次郎が嫌ですね。足腰鍛えてそうで。若いし。
なんでも、昔がいいという気はないけど、マニア向けには思い切りハードで、
子ども相手には所詮子どもだまし、という最近のホラーに関しては、やっぱり、
昔はよかったなあ、と言いたくなります。後ろ暗さがよかったんです。きっぱり
した、赤や白を基調にした装丁で、裏表紙に鶯色地に黄色の円が大きく書かれて
いた、少女向けの恐怖マンガのシリーズ、憶えてる人、いないかなあ。吸血少女
とか、ミイラ女とか、双面の美少女とか。B級感覚がたまらんかった。
そして、長男はあのマンガのことは、忘れたようです。まあ、しいて思い出す
こともせず、日々、安眠しています。彼の学校に怪談はあるのか聞いたら、ある
けど、聞かないようにしているとのことでした。
そういえば、新設校で怪談がなくて面白くないから、みんなで作ったって子も
いたな。それ、恐くないじゃん。作り話って、わかってんだから。言われた方
恐いからいいのか。怪談の始まりって、そんなもんだったんだろうしね。
子どもの中に、こわいもの、得体の知れないものを求める何かはあるんでしょ
う。それを、共有する快感とかね。
大人だって、自称霊感が強い人は一杯いるし。一時期、「見える」ことを売りに
してるアイドルが複数いましたしね。どこに行っても、臆面もなく「見えた」経験
を話してたもんです。「嘘だろ」って言われて泣いたりしてた。
私?信じませんよ。ホラーも嫌い。科学者ですから。
健康に眠る長男を見てると、小学時代、マンガで本気で眠れなくなった経験を
待つ私は羨ましい限りです。「ベルサイユのばら」でルイ十五世が天然痘で亡くな
るときの絵は、すごく恐かった。たまたま最初に目にしたのがその回だったので、
しばらく「ベルばら」はホラーだと思ってました。
でも、昭和40年代、一番恐かった少女マンガは、毎年8月に巴里夫が「りぼ
ん」に発表していた戦争マンガです。親の世代にこういうことがあったというの
は、当時の私には、猛烈な恐怖でした。自分にも、降りかかるかもしれないとい
うことだから。
こういうものこそ、続いていくべきなんだけど、少女マンガの分野では、ずっ
と出てませんね。少年マンガでは出てるのに。
恐すぎて、目をそらしたくなるからか。
そらしちゃいけないんだけどね。
◇◆堀田あけみ先生の略歴
1964年 愛知県生まれ。
1981年、「1980アイコ十六歳」で文芸賞を受賞、文筆活動に入る。
その後、名古屋大学教育学部に入学、卒業後、同大学院教育心理学科に進学。
専攻は、発達心理学・学習心理学。特に、言語の理解および産出のプロセス。
現在、椙山女学園大学・中京大学で非常勤講師を勤める。
【主な著書(現在、入手可能なもの)】
「わかってもらえないと感じたときに読む本」「おとうさんの作り方」(海竜社)
「十歳の気持ち」(佼成出版社)、「唇の、することは。」(河出書房新社)
「泣けてくるじゃない」「あなたの気持ち」(角川書店)
「マナティ 夢の人魚」「大草原のプレーリードッグ」(共著、七賢出版)
「White Smile」(共著、ワニブックス)
「発達障害だって大丈夫?自閉症の子を育てる幸せ」(河出書房新社)
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小児科医 宮地泰士せんせいの「子育て応援エッセイ」 第13回
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「育児は育自です。」
あるお母さんが教えてくれました。
たとえば子どもが赤ちゃんなら親は24時間お世話をしたりあやしたりと振り回さ
れっぱなしでしょう。もちろん大きくなったらなったで、いろんないたずらや失敗を
したり反抗期になったりで、親って本当に大変です。まるで修行をしているような錯
覚にとらわれることもあるでしょう。
でもたしかに子どものことに気を配って子どもを教え育てていくうちに、いつしか
自分にも得るものがたくさんあります。忍耐力や寛容さだけではありません。周囲へ
の気配りや物事の考え方が変わっていくこともあります。親になって強くなる人もい
ます。責任感を感じてしっかりしてくる人もいます。子どもと付き合うことで自分の
新たな一面を発見することもあるでしょう。子育ては親にとっても結構いろいろなこ
とを学ぶチャンスだったりするのです。
それに子育ての大変さばかりに目を奪われ、やけを起こしたり誰かを責めてばかり
いてもいいことは何一つありません。むしろこちらの心がけ次第では、他では絶対味
わえないような喜びや楽しみを見出すことができるのも子育ての面白いところです。
親は最初から親なのではなく、子育てを通して親になっていくものなのかもしれま
せん。
育児を通して親も自分を育てていくことを心がけていれば、おのずと子育てのポイ
ントが分かり、子育てが楽しくなるかもしれませんね。
◇◆宮地泰士(みやち たいし)先生の略歴
平成7年3月 名古屋市立大学医学部 卒業
同年4月 名古屋市立大学病院小児科 入局、勤務
平成12年4月 医学博士号 修得
平成15年4月 名古屋市児童福祉センター 勤務
平成18年7月 子どものこころの発達研究センター 勤務
現在に至る
【著書】
・可能性のある子どもたちの医学と心理学(共著)
(ブレーン出版 石川道子、辻井正次、杉山登志郎 編著)
・直ぐに役立つ発達障害の診断とサポート(共著)
(東海小児心身医学研究会 発行)
◇◆子育てに難しさをお感じのおやごさん、専門家のみなさんを対象に、
全国的に発達支援に関するセミナーを開催しています。
詳細に尽きましては、順次、当会ホームページにてお知らせ致します。
http://www.as-japan.jp/j/index.html
◇◆「専門情報誌」アスペハート誌のご紹介
アスペハート誌は子育てに難しさを御感じの親御さんたちに、専門的で
先進的な知見をご紹介する専門情報誌です。発達支援に関わる多くの最新情報を
掲載しています。詳細に尽きましては、当会ホームページにてご覧ください。
http://www.as-japan.jp/j/heart/heart.html
◇◆「楽しい子育て応援団」へのご意見、ご感想をお待ちしています。
heart@as-japan.jp
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