2007.03.01
◆◆◆◆◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◆◆◆◆

   NPO法人アスペ・エルデの会「楽しい子育て応援団」からのお知らせ

◆◆◆◆◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◆◆◆◆
暖かくなってきましたね、もう3月です。
明るい季節とはうらはらに、子どもの入園、進学を考えると、すごく不安に
なったり,いつもより、すこし神経質になったりします。でもね、自分だけが
心配性ではないんですよ!お母さんは、みんなそんな気分なんです。

 ■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  堀田あけみ先生の「子育て応援エッセイ」 第11回
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
◇◆欧米か!
 おかげさまで、先月、新刊「発達障害だって大丈夫」が刊行されました。その
関連のインタビューが続いています。ありがたいことだ。
 しかしですね、複数のインタビュアーさんから同じこと言われて、それが本意
でなかったりすると、「ん?」と思ってしまうわけで。
 今回で言えば、「心理学者の視点は、ほとんどありませんよね」。
 多分褒め言葉なんだと思う。だいたい、「学者の書く本って、難しいばっかりで
面白くないし」って続くから。でもね。
 拙者とて、学者の端くれ、そういう言葉は、笑って聞き流せんぞ。
 学者として役立たずだって言われてるみたいだ。
 学者って、愛すべき人種だと思ってますから。基本的には。

 基本的には、というのは、当然、例外もあるということで、発達心理学の本と
か論文読んでると、特に自分が親になってからは、この人、子どもの実像わかっ
てんのか、とか、こんな言い方されたら、親はたまらんなあ、とか、思うことが
あります。
 例えば、あるとき、翻訳書でアメリカの論文が紹介されていたんですが、内容
が「乳児と同じベッドで母親が隣に寝ると心拍数が安定する」といったものなん
ですね。それを、新しい知見として紹介して、なおかつ奨励しようってことなん
ですが。
 それって、「添い寝」といって、日本人は昔からやっとります。多分、アジアや
中南米、アフリカのほとんどの国がそうしてるよ。それ書いた学者さんは(名前
からして男性)知らないのかな。

 私が子どもの頃は、なんでもアメリカ式がいいとされて、日本の伝統的な生活
様式は、否定されがちでした。子どもは一人で寝かせたほうが、自立心が育つと
か。この頃建てられた家は、個室を重視しています。家族の一人ひとりが部屋を
持ち、プライバシーを尊重するのがいいことだと考えられていました。そういう
うちをもてるのは、豊かな証拠でもあるしね。そうそう、ベッドで寝てる子って、
ステイタス高かったな。
 ところが大人になってみると、家はLDKを中心とした、家族が共有できる空
間を重要視したものになっていました。更に、最近では、子ども部屋を与えない、
与えるとしても質素なものにする、勉強は居間や台所でする、という傾向にある
らしい。有名中学に合格する子に、居間・ちゃぶ台組が多いという記事も、週刊
誌で読みました。居住性の良い部屋が無きゃ、引きこもる気にもなりませんから
なあ。
 うちでは、どうしてるか訊かれることもあります。長男は、食卓で勉強してま
すよ。
「やっぱり」
 って言われるようなことじゃないです。場所、ないんで。一応、母と子の共有
の机はあるんですけど、ものすごくどうでもいいものがちらかってて、勉強する
スペースがないんです。
 で、私が子どもの頃、憧れてたような2階建ての家は、今、すごく暮らしにく
くなっています。主人の生家が、まさしくそれで、昭和40年代に建てられた家
なのですが個室・個室で、団欒するところがないもん。狭い部屋に無理から大人
数がいるから、お正月とか大変だ。多分、私がそういう家に住んだことがないせ
いもあるでしょう。嫁だし。
 一方、こちらの実家は、新築なんですが、田舎なので、法事が出来るように、
一階は襖を外せば大広間になる造りです。台所から、すべてが把握できる。慣れ
や、くつろげるってこともあるでしょうが、この方が、暮らしやすいだろって思
ってしまう。
 だって、日本人だから。
 昔から、家族が共生してきたんですよ。時間を共有するのが幸せだと、感じて
きたんですよ。
 なんだか、欧米流が格好良く見えて、それをひたすら真似てきた時期があった
けど、日本人だから、日本流でいいんじゃない、ってとこに、戻ってきたんじゃ
ないかと思います。だって、快適だもん。

 人間、慣れているのが一番だから、私は論文の結果はどうあれ、欧米人に添い
寝は勧めません。いきなり子どもと一緒って、そのうち、邪魔くさくなるって。
家が、そういう造りになってないから大変だし。
 うちの近所には、転勤族が多くて、海外の経験者も多いのですが、欧米で子育
てした人は、早くから子どもと別に寝てるし、お風呂も一緒に入りません。
 子どもに個室を与えて、お風呂も一緒に入る形をしていない家で、子育てを始
めたから、そういうもんだと体が覚えてるんですね。
 無理はしないのがいいのです。自分がやりやすいように。子育てだって、家事
だって。毎日のことだから、楽しくないとね。
 こうしなきゃいけないって鉄則は、ないんですよ。

 ■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 小児科医 宮地泰士せんせいの「子育て応援エッセイ」 第11回
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
3月は卒業シーズン。子ども達が新しいステージに向け、今までいた場所から
巣立ちをする時期です。
「親にとって子どもは何歳になっても子ども。」と言われるように、親から子へ
の思いは何歳になっても変わらないものです。でも、たとえば3歳児の子育てと
15歳児の子育ては同じではありません。
 最初は分からない者同士でとにかく子どもに振り回されっぱなしの赤ちゃん時代、
お互いに意思の疎通や関わり合うことができるようになる幼少期、子どもも素直
だからこそ手取り足取りいろいろなことを教えてあげられる小児期。時には反抗期で
手を焼いたり、子どもにとって大切だからこそきつく叱ったこともあるでしょう。
自我が芽生え子どもが自己主張するようになると、もうただ単に従順にさせるの
ではなく、互いに話し合ったり交渉し、協同して物事を決めていく姿勢が段々必要に
なってきます。そしてまだ危なっかしいけど子どもの自立を見守りながらまかせると
ころはまかせていく思春期。一人の社会人として時に対等の立場で時に人生の先輩
後輩として語り合う成人期と、子育ても子どもの成長に応じてある意味“卒業と入
学”を繰り返していくものなのでしょう。
 人は何歳になってもその歳としては初心者で、「もう完璧、私はこれ以上成長す
る所はない。」なんて言えないのですから、子どもだけが成長していくのではなく、
親も一緒に日々成長していけるといいですね。

◇◆子育てに難しさをお感じの親御さん、専門家のみなさんを対象に、
全国的に発達支援に関するセミナーを開催しています。
詳細に尽きましては、順次、当会ホームページにてお知らせ致します。
  http://www.as-japan.jp/j/index.html

◇◆「専門情報誌」アスペハート誌のご紹介
アスペハート誌は子育てに難しさをお感じの親御さんたちに、専門的で
先進的な知見をご紹介する専門情報誌です。発達支援に関わる多くの最新情報を
掲載しています。詳細に尽きましては、当会ホームページをご覧ください。
http://www.as-japan.jp/j/heart/heart.html

◇◆「楽しい子育て応援団」へのご意見、ご感想をお待ちしています。
 heart@as-japan.jp


****************
NPO法人アスペ・エルデの会
  「楽しい子育て応援団」

  http://www.as-japan.jp/
****************


BACK NEXT

Copyright(C) 2004,Asperger Society Japan.All Rights Reserved