2007.02.01
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NPO法人アスペ・エルデの会「楽しい子育て応援団」からのお知らせ
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今年の冬は暖かいですね。そんな過ごしやすい今冬でも、
「インフルエンザで学級閉鎖」の新聞記事が目につくようになってきました。
ご家族の健康をあずかるお母さまにとっては、いちばん気のもめる季節です。
読むサプリ「楽しい子育て応援団」で、ちょっとひとやすみしてみませんか?
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堀田あけみ先生の「子育て応援エッセイ」 第10回
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◇◆「ぼく」と「おれ」の間
日本語の特徴として、家族間の呼称が、最年少者に合わせたものになる、と
いうのがあるそうです。つまり、こどもができると、妻を「かあさん」、母を
「ばあさん」と呼ぶようになるってことですな。ここに、下の子が入ると、自
分の息子を「おにいちゃん」と呼んだりする。じゃ、実際の自分の兄は?答え、
「おじさん」。
私の父は八人兄弟な上に、末っ子が一人離れたいわゆる「はじかきっこ」で
した。で、その末っ子は、小さい頃から、長兄夫婦と同居していて、自分と年
の近い甥・姪もいましたから、当然のように母親を「ばあさま」と呼んでたそ
うです。年齢的にも違和感無いんで、学校の個人面談のときも、「おーい、ば
あさま、こっちこっち」とか言って、先生も「中島君は、おばあちゃんがいら
してるんですね」と納得してたとか。
だから、日本人はよくないとか、だれだれの奥さんとか、なんとかちゃんの
おかあさんて呼ばれたくないとか、一時期、議論があったものです。でも、私
は「ほったあけみ」専業が長かったんで思うんですが、何十年、同じポジショ
ンてのも、しんどいですよ。私は、誰かの何かであることに、ほっとしますけ
どね。
そして、未成熟な幼児の視点に、周囲が合わせるのは、リーズナブルでもあ
ります。他者の視点の獲得は、子どもの認知発達でも、比較的困難な課題です
から。自分のおかあさんが、おばあちゃんから見たら、子どもだってことの理
解は、個人差がありますが、6歳以降くらいです。
複雑な人間関係の把握も、大人が思うほどできてないようです。一旦、大人
になっちゃうと、わかってて当然の事なんで、子どもにも要求しちゃうんです
けど。私は、上記の通りの環境で、いとこも多かったんですが、親同士が兄弟
で、自分たちがいとこだってことは、小学2年生くらいまで、理解できていま
せんでした。「みんな友達(親も子どもも)」という解釈してた。そう言えば、
いとこの中でも一番上の男の子は「ぼく」が通称でした。その後、何人男の子
が生まれても、彼だけが「ぼく」。今でも、「ぼく」。50歳なのに。最初に、
一族全員から「ぼく」と呼ばれたから。
他者の視点と、自分の視点が区別できないうちは、一人称が上手く使えませ
ん。だから、小さい子は自分を、親と同じ呼び方で呼びます。一般的なのは、
名前ですね。うちでいうと、長男は「まなと」、長女は「ことちゃん」が、
一人称の始まりでした。次男はちょっと、変わっている。通称は「かいちゃん」。
親は呼び捨て。なのに本人は自分を「かいとくん」と呼びます。なんだこの、
自閉らしくない展開は。
そして、本来の一人称を獲得していきます。最近は、そうじゃない人もいま
すけどね。大学生が自分を名前で呼ぶのは珍しくないし、神田うのは、30
過ぎても「うの」ですもんね。でも、改まった場所で、普通に一人称を使う能
力は身につきます。これが、女性だと「わたし」でいいんですが、男性だと選
択の幅が一気に広がります。「僕」「俺」「私」、どれも普通に使います。
さて、うちの倅たちは自分をなんと呼ぶか。「俺」です。
最初、おとうさんはこれを何とかしたいと言っていました。こんな小さな子
どもが「俺」を使うなんて。どうにも、耳に馴染まなくていけない。彼自身、
今でも一人称は「僕」です。
でも、私はこのままでいいとしました。一番大きな理由は、周りのみんなが
そうだから。東京の文京区出身のおとうさんからすると、子どもが使うにはあ
まりにも荒っぽいことばも、名古屋ではスタンダードだってことです。下手に
直したら、浮くぞ。そして、私自身が男は自分を「俺」と呼ぶもんだと思って
て、「僕」使った時点で、おかまかと思うくらいでしたもんね、若い頃は。今
でも、おとうさんの「僕」には実は、違和感あります。それを言い出すと、彼
の東京弁全部に違和感があるので、聞かない振りをしてるだけ。
周囲から浮くと言われれば、おとうさんとしては引くしかありませんが、あ
ちらも、未だに違和感は拭えないでいるようです。
とくに、次男に関しては。彼は、主に自分を「かいとくん」と呼びます。彼
以外にそう呼ぶ人がいないのに。でも、一人称を使うときは「俺」ですね。ご
つい少年になった長男が「俺」なのはいいけど、こんなにかわいい次男が(年
齢と体格の割りには、ほんとに可愛いので)「俺」ってのは、どうよってこと
らしいです。
多分、本人たちにしてみたら、「どっちでもいいじゃん」て感じだと思いま
す。「僕」って呼べって言われたら、そうするでしょう。作文のときとか「僕」
ですしね。でも、大人からすると、「僕」と「俺」の間には、深くて大きな川
がある。とりあえず、今は私が支持してるほうが勝ってて良かった。こっちが
地元だから、当たり前か。
地元だからでは済まないようです。名古屋っ子でも、「子どもが俺なんてと
んでもない」って、「僕」を徹底してる人もいます。やっぱり、上品な感じが
いいんでしょうか。
私が「俺」派なのは、慣れてるからと、もうひとつ。自分を「俺」って呼ぶ
いじめられっこって、あんまりいない気がするから。
末っ子は、既に自分を「わたち」と呼んでいます。女の子は、簡単でいいで
すね。指導も干渉もしなくていい。
ですが、今後、20歳過ぎて、自分を「ことこ」と呼ぶようなことがあった
ら、断固、指導します。個人の自由ではない、そこにはやはり親として、きち
んとした大人を作る義務があると、最近痛感しているので。
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小児科医 宮地泰士せんせいの「子育て応援エッセイ」 第10回
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朝起きて外を見たら、昨夜から降っていた雪が積もり、朝日にキラキラ輝いて
いるのを見て感激した経験はどなたでもお持ちではないでしょうか。
人の成長や子育てはこの雪にたとえられることがあります。
子どもの成長は雪のように一進一退してちょっとずつ積みあがるものなので、
ちっとも先に進んでいないような気がして、(本当にこれでいいのだろうか。)、
(もっと上手い方法があるのではないだろうか。)などと焦りや不安を感じたり
します。
しかし、ある時ふっと気づくといつの間にか子どもは様々なことを知っていて、
いろいろなことができるようになっていて驚かされることがよくあります。
今日という日はそれまでの毎日の積み重ねで成り立っているのですから、子育て
に焦りや不安を感じたら、過去を振り返り自分達が着実にステップアップしている
こと、これからも自分達らしく進んでいけばいいことを確認できるといいですね。
あるいは未来の日はそれまでの毎日の積み重ねでたどり着くものですから、何か
悩みや行き詰まりを感じたら、原点に立ち返り今までの歩みを点検することで、
これからの方向性が決まることもあるでしょう。
まさに、“子育てに王道(特別な近道)なし”です。
あせらずあきらめず、良いと思うことを確かめながらちょっとずつちょっとずつ
やっていることが、あのカーテンを開けて一面の銀世界を見た時の感動と同じ気持
ちをいつかもたらすことでしょう。
◇◆子育てに難しさをお感じの親御さん、専門家のみなさんを対象に、
全国的に発達支援に関するセミナーを開催しています。
詳細に尽きましては、順次、当会ホームページにてお知らせ致します。
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