2007.01.01
◆◆◆◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◆◆◆

 NPO法人アスペ・エルデの会「楽しい子育て応援団」からのお知らせ

◆◆◆◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◆◆◆
新年あけましておめでとうございます。
今年がみなさまにとって、素晴らしい年になりますようお祈り申し上げます。
「楽しい子育て」ってそんな簡単にいかないですよね?。
「あ?!つかれちゃった?」ってとき、堀田あけみ先生と宮地泰士先生の
エッセイで癒されてください。
実は、わたしもそのひとりです。
           
■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
堀田あけみ先生の「子育て応援エッセイ」 第9回
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
◆◇何ができるかな
 子育てってのは、いろいろあるもんです。
 障害のある子を育てていますので、そのいろいろも、ちょっと幅が広くて。
 障害がある子に対する偏見は、多くあります。中には、善意に基づくものもあっ
て。涙ながらに、次男に千円札を握らせてくれたおばあさんは例外としても(返し
ましたよ、もちろん)。
 周囲の理解にとっても恵まれていると感じている私ですが、その私の感じる偏見
とは。

1.障害者は見た目でわかる
 だから、うちの子のように、一見普通の子は「なんで障害があるの」と(あくま
でも善意で)訊かれたりします。こっちが訊きたいわ。神様に。

2.障害者は何も出来ない。
 次男が、幼稚園の年少に入った時点で、平仮名が全部読めたとわかったとき、い
ぶかしがられました。知的な障害があるから、と思って親切にしてきたのに、裏切
られた気分だったようです。
 それでなくても、出来ることも出来ないとみなされてることがあります。出来る
ことは、できるだけ本人にさせたいんですけど、助けてくれる手を、無碍に断るこ
ともできず、ですよね。

 ただ、最近気がついたのは、「この人、ちょっとわかってないかも」、と感じた相
手にも、次第に違和感が薄れていくんですね。あ、わかってくれてるじゃん、
って。で、それが、普通の人間関係となんら変わらなかったりするんですよ。
 他人の考えてることなんて、わかるもんじゃないのが普通だし、完璧に理解され
ることもすることも不可能で。
 でも、付き合ってると、少しずつわかる範囲が広がっていくのが、人間関係じゃ
ないでしょうか。
 
 次男の言語に関する能力の低さは、非常に深刻です。
 どれくらい深刻かというと、私の音痴くらいだ。
 いやあ、真剣に音感が無い。歌っても、ギャグにしか聞こえないため、42歳に
してカラオケ未経験の、日本人としては、天然記念物並みの存在ですわ。
 じゃあ、どうして彼は「障害者」で、私はそうではないのでしょう。
 脳が機能してないという点では、どっこいどっこいだと思うのですが、社会で生
活していくにあたって、困るか困らないかという問題でしょうね。
 彼にはできることがたくさんあります。頭にカーナビ入ってるし、教えなくても
好きな曲はキーボードで弾くし、写真だって上手い。携帯でショートムービーも撮
る。
 小学1年生には不要な技だが。
 でも、出来ることに変わりはありません。

 最近、新しい年を迎えると、ちょっと不安になります。
 また1つ、大きくなっちゃったな。
 出来ないことが「かわいい」で済まされる、子どもの時代がまた短くなった。
 この子には、何が出来るんだろう。
 そう自問して気づきます。
 この子だけの問題じゃない。
 長男に対しても、長女に対しても、状況は同じです。親の思うとおりに育ってく
れる子なんて、いないもん、滅多に。なのに、障害があるから、次男のことばかり
気になる。これは、3人それぞれに対して失礼ですね。

 私は、子育て依存症なので、3人の子どもたちが成人したら、がっくりくると思
います。時間の経過が恐いのは、そのせいもあるかも知れません。
 でも、人生、何がどう転ぶかわからんしなあ。
 20代で結婚・離婚を繰り返し、親を失望させたうちのお父さんも、今や、3兄
弟の中で、唯一の所帯持ちかつ人の親だ。
 子どもたちの人生は、最終的には彼らのもので、私のものではないんだし。
 いろいろ考えちゃけど、「何か出来るよ」と鼻歌でも歌って見守れる母親になりた
いものです。

■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   小児科医 宮地泰士先生の「子育て応援エッセイ」 第9回
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■


新年あけましておめでとうございます。
今年もみなさんにとってよい年であることを願っています。
 「一年の計は元旦にあり。」と言いますが、今年はどんなことをしようか、どんな
ことができるだろうかと目標や計画をたててみえることでしょう。
 子育てについては、通常はこちらの思い通りになることはあまりなく、計画どおり
にいくなんて、それこそ昨年の流行語になった、“信じられな?い!”ではないでし
ょうか。特に子どもの年齢が小さければ小さいほど、親の方が振り回されて大変です
よね。
 以前参加した子どもの発達についての講習会の資料の中に、こんな言葉をみつけま
した。
子どもは成長の設計図を持っている。
その子の速さで伸びる。
その子の時間で育つ。
その子の図案で実る。       ドロシー・ロー・ノルト
その資料を紹介してくださった講演者の方は、さらにこんなことを付け加えられました。
親はその子の設計図どおりに育てればいい。
どんな設計図かはその子に学べばいい。
子どもの個性をよく理解し、その子らしい成長の仕方を見つけられると、親子とも
ども一番自然で穏やかになれる、“らしい”子育てがみつかるのかもしれませんね。
“その子自身”を知るために、親が振り回される期間は、子育てにおいて必要なこと
なのかもしれません。
 どうせ振り回されるのなら、その子の設計図を見抜いてしまいましょう。
 相手を知る面白さこそ子育ての醍醐味なのですから。


◇◆子育てに難しさをお感じの親御さん、専門家のみなさんを対象に、
  全国的に発達支援に関するセミナーを開催しています。
  詳細に尽きましては、順次、当会ホームページにてお知らせ致します。
   http://www.as-japan.jp/j/index.html

◇◆「専門情報誌」アスペハート誌のご紹介
  アスペハート誌は子育てに難しさを御感じの親御さんたちに、専門的で
  先進的な知見をご紹介する専門情報誌です。発達支援に関わる多くの最新
  情報を掲載しています。
  詳細に尽きましては、当会ホームページにてご覧ください。
   http://www.as-japan.jp/j/heart/heart.html

◆◇「楽しい子育て応援団」へのご意見、ご感想をお待ちしています。
  heart@as-japan.jp


****************
NPO法人アスペ・エルデの会
  「楽しい子育て応援団」

  http://www.as-japan.jp/
****************


BACK NEXT

Copyright(C) 2004,Asperger Society Japan.All Rights Reserved