2020.04.10
 数ヶ月先の分までは、一応ネタを準備しとくんです。でも、全ての準備が吹っ飛ぶコロナウイルスです。
 今までも、こういうことはありました。私の職場ですと、留学できるかどうかが大きな問題になりますが、北米留学を全員キャンセルした年もあります。非常勤先の大学が、感染者が確認されて三週間の閉鎖という目にも逢いました。若干、被害者的な表現になったのは、閉鎖の直前に講義室に水筒を忘れていたからです。電話は繋がったので、確認しました。
「先週、水筒忘れたんですが。青いステンレスのボトルです」
「はい。ありますね」
「中身、捨てておいていただけますか」
「いえ。勝手に開けたりしてはいけない決まりなので」
「だって三週間ですよ? 以前、冷蔵庫の中のペットボトルにマリモみたいなの、うっかり作っちゃったことありますけど、常温で三週間て」
「決まりは決まりですので」
三週間後、取りに行って、その場で中身を見てみました。
「マリモ、できてました?」
 と確認されました。
「今回は、クラゲでした」

しかし、そこまで行っても結構な他人事でした。知り合いもしくは本人が感染するまでは、他人事モードなのが相場です。
それが今回は一気に多くの人が当事者になってしまいました。二月末の一斉休校です。各自治体に任せるという文言はついていましたが、愛知県は既に感染者増加中、クラスターの存在も確認されている、疑わしいのにスポーツクラブや回転寿司に行く人はおる、まずはお前らから休め、と言われても仕方がない状況です。「コロナ撒き散らしたる」が出現するのは、その後。さらに衝撃的な結末はもっと後。

首相からの要請が木曜日だったので、翌金曜日にいきなり当該学年最後の日。ロッカーの中身とか全部持って帰れ、という展開になりました。
我が家への影響はと言うと。
長男は大学生なので、春休み。影響、ほぼなし。
次男、時差出勤開始。因みに職場は、クラスター感染があったスポーツクラブのすぐ近く。
長女、故あって一週間のカナダ滞在中。
写真家である夫は、アザラシの赤ちゃんの写真をカナダの流氷の上で、三十年以上撮り続けています。我が家の子ども達の名前は夫の被写体に因んだもので、長女は真っ白でまん丸なタテゴトアザラシから名前をもらいました。念の為、ゴマフアザラシではありません。温暖化の影響で流氷は年々薄くなり、その上でアザラシの赤ちゃんと会うことが難しくなってきているので、どうしても厚い氷の張った今年に娘に見て欲しかったのです。長男のときにも、名前の元になったマナティと一緒に泳いで欲しくて家族でアメリカに行きました。そこで、よくよく話し合った結果、学年末試験の直前ではありますが、カナダに行かせました。勉強道具一式持って。
便利な世の中になったもので、道具立てさえ揃えば、スマホで簡単にコミュニケーションが取れます。滞在して三日くらいに、
「勉強全然できてない」
 とのメッセージ。
「こういうときは仕方ないよ」
「本当に全然まったくしてないの」
「インフルで寝込んだと思って割り切ろう」
「とは言っても」
 という遣り取りの直後に休校要請。彼女の学校は私学なのでHPを確認したら、やっぱり週明けから休校です。当然、学年末試験もありません。一学期と二学期の成績と通常点で、三学期に成績をだすそうです。
 大勝利やんけ。

 とはいうものの、職場でも卒業式も謝恩会も模擬授業もなくなり、非日常感はどんどん増すし、休日にもうかうか出かけられないし、次男の計画年休を三月末にとっちゃったけど、旅行どころじゃないし。不要不急の外出ってどこまでなんだよ。いや、いつまでなんだよ。それが一番の問題ですし。
 と言うのも、家にいるからゲームばっかりして、とかとは違うレベルの問題も生じるからです。
日常のリズムが整わないことで、子どもが心身に不調を来たしてしまうことがあります。そうなると子どもは不機嫌に。子どもの不機嫌は、保護者の心的負担に、という負の連鎖を呼びます。特に、そう言う傾向が強いお子さんだとお母さんの負担は大きくなります。
更に大変なのが、学校に戻って行くとき。学校大好き、わーい、なら良いのですが、もともと腰の重いタイプだと、思わぬ長期休暇の後では、朝に起きられなくなったりします。
 
 いつも気晴らしに使うようなところは軒並み閉まっています。ゲームセンターもカラオケ屋さんも、子どもだけでは入れてくれなくなりました。図書館も閉鎖されています。
普段はできないことをしよう、と様々な呼びかけがあります。実際に、アニメ専門チャンネルを期間限定で無料化したり、マンガや動画をネットで見られるようにしたり、ぬりえのダウンロードサービスがあったり。
ここは、工夫のしどころでしょう。祖母が言っていました。
「なんかが足らんと思ったら、それは工夫が足らんのだわ」
 お料理を子どもと一緒に作ったり、普段は子守に使っちゃいがちな子ども番組を一緒に観たり。思い切って、一緒に大掃除でもしてみましょうか。
 起床と就寝の時間は守りたいものですが、一緒に昼寝代わりにごろごろしたり。
 沢山の「一緒に」ができる時間だと解釈してみましょう。
 だって、悔しいじゃないですか。病気に一方的に振り回されちゃうなんて。
 それから、ポジティブでいることが免疫をあげるというのは、専門家の発言ですよ。お湯を飲んだらウイルスが死ぬとか、アオサで免疫ができるという類のものとは違います。
 どうか、元気を出して。非日常が去る日まで、頑張りましょうね。
 学校に行き出したら行き出したで、バトル始まりますから。

 その後、三月の連休を前に、テレビ等でリスクの少ない外出先のまとめが取り上げられたりしました。
 同じ方向を向いていて、互いに会話をしない映画館や、水でウイルスが薄められる温泉などが上がっていました。映画館も席を空けて座るようになっていますね。
 できるだけ、情報をきちんと吟味して、自分達の状況に合った対策を工夫したいものです。


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