2019.09.10
前回、夏祭りの話をしました
我が家の近くに、織田信長所縁の八幡さまがあって、7月の中旬、盛大な夏祭りが3日に亘って行われます。茅の輪くぐりや盆踊り、もちろん屋台もたくさん。小さい子の頭に赤い点を打って、健康の祈願とする「赤丸頂戴」って地域的なものでしょうか。旋毛に打つところもありますが、ここでは、額に打ちます。
これが年々人が増えてるように思えます。気のせいでしょうかね。地元の子どもはほとんど行きますし、先生も見回りにきています。先述の赤丸のように、小さい子向けの行事もあるので、もちろん、乳幼児連れも。大変だ。
家族と行く、から始まって、友達と行き、恋人と行き、新しい自分の家族と行くという、地元の行事が発達と関連するサイクル、そういう生き方は私には理想的に見えます。私は、自分が育ったところと、子どもを育てるところが、ちょっとずれたので、そういうわけには行きませんでしたが。
今は、高一の長女が友達期です。地元の友達とも行くし、高校で出会った子も誘います。地元の子と一緒の方が、帰宅が遅いので、やっぱり付き合いの長い子達だからね、と思っていましたが、高校の友達は遠方に帰るので、早く解散しただけでした。違う地域のお祭りで、喜んでもらえたようです。すぐ近くの高校に通っているので、学校帰りに友達を誘うことはできるけど、自分からはいかないんですね。私は逆でした。
まあ、高校生にとっても夏祭りは、友達と屋台を巡る、どこでも似たようなもの、とは思いながら、決定的に違うこともあります。私は2年前に、久し振りに津島の天王まつりに行きました。津島市が主催する小説のコンテストで、審査員を務めたご縁から、お招きいただいたものです。そのときに驚いたのが、女子の甚平姿の多さ。今、住んでいる辺りでは、浴衣しか見かけません。男子もほとんどいないかな。大人の男性が着るもの、という感覚に私自身も陥っていましたが。
そうだった。老若男女問わず、夏の普段着として着てましたね、はい。
次男は、お出かけが大好き、お祭りも大好きです。
夏休みに入って、ちょこちょこと、休暇を取って家族で出かけたり、社会人グループで日間賀島に行ったりしているので、お出かけに対する欲が満たされているのか、最近、ちょっと前まで頻繁に行っていた一人お出かけはしていません。
夏祭り、彼は初日は私と行ったものの、あと二日は一人で行きました。
そんなに行きたいんだ。
それが、兄と妹には理解できないようです。誰かがいるから行くのであって。
三日連続、たこ焼き食べて、サメ釣りして、かき氷食べることに、何の意義があるのだ。
私にもわかりません。たこ焼きが意義かしら。
そう言えば、次男は映画も大好きで、「行く?」と声をかければ、なんでもついて来ます。複雑な物語を理解するだけの力があるかしら。大きな音も苦手だし。それを妹は、
「チュロス食べたいだけじゃん」
と言います。ポップコーンは苦手なの。
私もそんなもんじゃないか、と思っていた時期もありました。
でも、だったら、別の食べる機会を探してもいいわけで、見たくないもの我慢してチュロス食べなきゃいけないわけはないんですよね。お祭りも然り。
彼は、言葉を上手く使いこなすことができません。だから、私には一生わからないと思います。でも、夏祭りだったら、夜の神社のあの雰囲気を、映画館だったら席について上映を待つわくわく感を、彼なりに楽しんでいるのだと、今は思っています。
夏祭り、私は今、明るい広小路通を通って、自宅に戻ります。この道が、この子達の思い出の道になるのでしょう。
蛙の声がする真っ暗な道を、子どもに配られるアイスキャンデーを舐めながら、満天の星を眺めて帰った昔を思うと、少々彩りに欠ける思い出であるような気がします。でも、多分、本人達にとっては大きなお世話で、何物にも代え難い彼らの思い出なのでしょうね、ここが。
赤丸を額に戴いたお陰で、3人とも元気に大人に近づいています。年齢的には、成人が二人いるけど、まだちょっと大人じゃないな。今の彼らにとっては、幼児の額の赤い丸は自分とは関係ないものでしょう。目にも入らないかもしれません。私は、今だから目につきます。自分の子どもがもらってる頃には、他所のお子さんなんて、目に入りませんでした。自分の子から目が離せなくて。
額の丸が、この子を守ってくれますようにと、どの子を見ても思います。
長男の額の染料が汗で流れて、すれ違った人から出血と間違えられたのも思い出になりました。
あの頃は、次男が一人でここに来る日は来ないと思っていました。この子だけは、ずっと私が手を引いて来るものだと。でも、現実と誠実に向き合えば、障害を持ちながらも成長して行くものです。
子どもと過ごす夏は、一年毎に彼らの様子が変化して行きます。同じ夏は二度来ない、それがしみじみと感じられます。
人間て、結局思い出を作る為に生きてんだなあ。
あなたは今年のお子さんと、どんな思い出を作りましたか。