2019.04.10
新しい年度が始まりました。新しい連載も始まりました。
これから、月に一度、このコーナーで子育てのお話をしていきます。
私は、作家であり、心理学者であり、3児の母、うち一人は自閉症で、一人は鬱病リハビリ中です。語り手としての立ち位置に、不足はないかと思います。いや、不足大ありの方が幸せですが。
さて、年度が改まると、新しい環境に馴染みにくいタイプのお子さんは、大変です。だって、変わるものが多すぎる。
行くところが変わる子、いますね。教室が変わるだけで、緊張したり、パニックになったり。だから、通う先が変わるのは大変です。
通う先が変わるということは、他の変化もついてきます。鞄が変わる。服装が変わる。お弁当が給食になったりします。
さて、その変化にどうやらついていけなさそうなときには、どうしましょうか。
焦らずにゆっくりと、少しずつ慣れていきましょう。
山盛りの課題を一度に処理することはできません。できることから一つずつ。
例えば、ランドセルを背負いたくないなら、手に持って行けばいいんです。それも嫌なら、別のカバンでは駄目なのか先生に相談しましょう。
何かをしなくてはいけないと思い詰めるのは、親にとっても子どもにとってもよくないことです。それで家庭がぎすぎすしたりしては、本末転倒です。つまり、何かに従うために何かを我慢するのでなく、我慢しなくてよいことには、我慢を回避する方法を見つけましょうということです。
黙っていないで、担任の先生に相談する、教育相談を利用する、とにかく、誰かに悩みを共有してもらうことです。
もちろん、しなければいけないこともあります。
うちの次男の場合は、他者に危害を加える結果になったとき、迷惑をかけたとき、親切にしてもらったとき、「ありがとう」と「ごめんなさい」を言うこと。例えば、相手に怪我をさせてしまったら、どんな理由があっても、まず「ごめんなさい」です。相手が先に仕掛けてきたとか、悪気がなかったとか、そもそもこっちは障害あるし、というのは関係ありません。まず、ごめんなさい。話はそれからだ。
育てるのが難しい子の教育には、二つの視点のバランスが必要です。
特に問題のない子だと、将来を見据えて、大人が舵取りをしてあげれば良いのです。彼らは今を十分に楽しんで生きることを本能的にしているからです。その舵取りが余計なお世話だった場合には、親に反抗する術も知っています。
でも、そうでない子は。
周囲とのずれや、ちょっとした違和感を、上手く言葉にできなかったり、言われるままにしか行動できなかったりする子にも、将来を見据えた指導は必要ですが、今を幸福に生きるための手助けも、してあげてください。特に、環境が変わった直後、浮かない表情だったりしたときには。
一度も笑わないで一日を終えることのないように。
特に小さいお子さんだと、鉄板の笑いどころってあるでしょう。
うちわで思いっきり扇ぐと大笑いするとか。
お気に入りの動画を一緒に見るだけでも良いです。
親の悩みが多い子どもは本人の悩みも多いもの。
課題をいっぱい抱えた子は、課題と向き合うだけでいっぱいいっぱい。ちゃんと席に着いているだけで疲れ果てたりもするのです。
将来も大切だけど、楽しい今を一緒に生きたい。
そんな手助けをできたら良いなと思っています。